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アリスゲーム  作者: いずも
30/88

二十九のお話



「…っ!?」


東村は何も言わずにチェシャ猫から逃げるよう後ずさる。その足は震え、今にも崩れ落ちそうだ。


「なぜ逃げるのですか?あなたももう疲れたでしょう?早く捨てましょうよ」


「チェシャ…猫…」


私の声も届いていないようだ。でも、どうにかしないと…!


「お願い…お願いやめて…」


副島の震えた声、目に涙を浮かべチェシャ猫に悲願する。チェシャ猫は足を止めて副島の方をゆっくりと見た。


「じゃあ、あなたが代わりに食われますか?」


「え……」


「無理でしょ?だからもう死んだも同然のアレを食わせましょうよ」


ついに涙を零し副島は言葉を失った。チェシャ猫は東村の方へ向き直し、またじりじり近づく。


「…来るな…」


「…もう、面倒くさいですあなた…」


「…っ!?!?」


チェシャ猫はすごい早さで東村から藤原を乱暴に奪い、簡単に門の口の中へ投げ込んだ。門の口は藤原をガリガリと噛み砕きすぐに飲み込んだ。そしてまた大きく口を開ける。


「う〜、美味かった…通っていいぞ…」


門の喉の奥に扉が見えた。鋭い牙には血が付いている。東村と副島は唖然として声も出ない。


「さぁ、もう通れますよ」


チェシャ猫は口の中に入り、扉を開けて言う。皆んな一瞬何があったか分からずポカンとしている。チェシャ猫は気にせず扉の中へ入っていった。


「いや…なお…なお…」


副島は門の口を見ながら小さく呟いた。ずっと一緒にいた大切な友達が1人、2人と死んでゆく。きっと辛いだろう。いや、辛いどころの問題じゃないだろうな。


「もう嫌…嫌…帰りたいよ…怖い…なお…」


副島の目からはどんどん涙が零れていく。そんな時、さっと東村が立ち上がった。そして副島の方へ歩く。


「もう、諦めようぜ…。泣いたってどうにもなんないんだよ…。この変な世界から抜け出すには…アイツに着いて行って、お城に行かないと…」


「もう嫌…あんな怖い人には着いて行きたくないよ!ホントに帰れるかどうかもわかんないんだよ!」


副島の言う通り、本当に元の世界になんて戻れるかどうか分からない。それよりも、無事にお城に辿り着けるかどうかも分からない。何もかもがおかしな世界、進めば進むほど不安と恐怖とストレスが山積みになっていく。


「出雲は…出雲はどうしてそんな普通にしていられるの?東村だってなんであんな人に着いていこうとするの?もう嫌!!」


副島が叫ぶように言うと、門が目を開けた。そして…


「お前ら…遅い…顎が疲れる…」


「わっ!?」


門は、長くて鋭い爪のはえた手を伸ばして私たちを掴むと、扉の中へ投げ込んだ。一瞬食べられてしまうと思いとても焦った。


「何…ここ…」


扉の中は、薄暗い部屋だった。大きくて不気味な目が特徴的な女の子のぬいぐるみで、部屋中びっちり埋め尽くされた異様な部屋だった。天井からは、首を吊られたぬいぐるみたちが私たちを見下ろしているようだ。奥には木で出来た扉がある。私たちは急いでその部屋から出た。


次の部屋は、真ん中に小さな赤いオルゴールが一つ置いてあるだけの部屋だった。狭い部屋にオルゴールの不気味な音楽が流れている。この音楽…


「……」


昔、聞いたことがある気がする。でも、こんな怖い音楽じゃなかったような…

私たちはその部屋も急いで出た。次の部屋は…


「……っ!?」


見覚えのあるベッドに勉強机、見覚えのある小さなテーブル、そして絨毯に星空柄のカーテン…。間違いなく私の部屋だ。でも、一つ違うのは、壁に『いつでも一緒だった、あれがなければ』と、真っ赤な血のようなモノで書いてある事だ。どういう意味だろうと思いながら私たちは部屋を出た。それより、どうして私の部屋が…?


次の部屋は、前に進む扉がなく、真ん中にあの水色の猫のストラップが置いてあった。私たちはそれに近づいてみた。東村が拾い上げようとすると…


「うわっ!?」


それは真っ白な光を放った。私たちはその光に飲み込まれたーー

雑ですみません…後で直します…

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