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アリスゲーム  作者: いずも
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二十八のお話



あれから十分も経たないうちに2人は食べ終わった。私たちはようやく進む事が出来る。


「そろそろ行きましょうか」


ゆっくりチェシャ猫が立ち上がった。私と副島、東村も立ち上がる。だが、藤原は座ったまま、頭を抱えている。


「なお…どうしたの…」


副島は藤原をとても心配しているようだ。藤原は歩けるのか…いや、無理だろう。


「ねえ、なお歩けないよ…」


チェシャ猫に副島が言った。チェシャ猫は藤原を見た。


「そうですね、あなたがおぶっていけばいいのでは?」


「…」


副島は難しそうな顔をして少し考えた。副島にそんな力はあるのだろうか、背は私より少し高いが力は弱そうだ。


「チビメガネちゃんには無理なんじゃない?お前がおんぶしてけよ」


モエカが東村をおたまで指して言った。確かに、東村は男で力はあるはず、水泳部で鍛えているだろうし…


「…分かった…」


そう言って東村は藤原をどうにかおぶった。きつそうな顔をしていないので結構軽かったのだろう。


「さぁ、行きますか。料理長、ありがとうございました」


「ありがとね!」


私とチェシャ猫はモエカにお礼を言った。東村と副島は軽く礼をした。モエカは少し寂しそうだが笑顔で手を振る。


「うん!じゃーねー!またおいでぇ〜」


私たちは歩き始めた。東村は二度とくるもんか、と言わんばかりの顔をしている。チェシャ猫が包丁の刺さった扉を開けてくれた。みんなが出て私が出る前に、「これでうさぎに美味いもんでも作ってやろ〜」とモエカの声が聞こえた。「これ」とは、まさかあの女性じゃないだろうな、と思いながら私は出ていった。バタンと大きな音を立てて扉が閉まる。


「では、これからロールの道へ行きます」


ロールの道、どんな道なんだろう。私たちは再び森の中を歩き出した。澄んだ青い空に少しの白い雲、とてもいい天気だ。風は花の匂いを運び、小鳥たちが遊びまわる。だが、私たちはその場の雰囲気を壊すようにどんよりして進む。


「ねぇ、いつ着くの?どんな場所なの、そのロールの道って…?」


「あと少しです。ロールの道はロールの道です」


副島がチェシャ猫に質問すると、チェシャ猫は冷たく答えた。私にも教えてくれなかったロールの道、本当にどんな道なんだ?危ない場所じゃないといいが…


「なぁ、俺らいつ帰れんだよ…」


「さぁ」


東村は舌打ちして小さく「巫山戯んなよ…」と呟いた。チェシャ猫は気にせず歩いていく。






優しい風は、いつのまにか冷たく少し強い風へと変わった。さっきまでの青空はなくなり、分厚い雲で覆われている。雨が降りそうだ。私たちはあれから三十分ほど歩いた。


「まだかよ…」


東村が辛そうな顔で呟いた。背負われた藤原の顔は死人のように真っ青、人形のようにぐったりとしている。チェシャ猫はそんな事全く気にせず無視して歩いていく。

天気がどんどん悪くなって、森の中が薄暗くなっていく。


「そこです」


「?」


木の陰になってよく見えないが、壁のようなものが奥にある。またトンネルだろうか…

私たちはそこへ向かって歩いていく。




「ここを通ります」


「何…これ…門?」


壁には、眠った犬のような熊のような、大きな口を開けた門か何かがあった。鋭い尖った歯がたくさん生えている。この口の中を通るのだろうか…?


「ロールの道です」


「これが!?」


私の想像とは大きく違った。少しだけガッカリした。


「!?」


突然門の目が開いた。生きているのか!?ここを通ったら食われてしまうのでは…


「メシ…メシ…」


低く重たい声で門が喋った。門の目は私たちをぐるっと見回した。ずっと口を大きく開けている。お腹が空いているようだ。


「通りたいなら…メシ…くれ…」


「分かりました」


チェシャ猫は答えた。だが、今誰も食べ物は持っていない。どうするのだろう。まさか、その辺に生えている草でも食べさせるのか?私は黙ってチェシャ猫を見ていた。


「さぁ、『それ』を口の中に投げ込んでください」


そう言って、指差された『それ』は東村が背負った藤原だった。まさか、藤原を門に食わせる気か!?


「何言ってるのよ!?なおは人間よ!食べ物じゃない!!」


副島が背負われた藤原の前で両手を広げて叫んだ。チェシャ猫はいつもどおりの薄っすら笑い。


「いつまでも通れませんよ?それに、邪魔じゃないですか」


全員の表情は凍りついた。動けなくなった藤原は、申し訳ないが確かに邪魔になってしまう。でも、藤原も生きた人間だ。門に食べさせる=殺す、という事になる。


「ダメよ!!」


「ほら、東村さん疲れてるじゃないですか、早く投げ込んでくださいよ」


「…っ!?」


チェシャ猫は副島なんて全く気にせず言う。


「あ、そうですね。あなたたちオトモダチですもんね。私がやりましょう」


そう言ってチェシャ猫は東村に近づく。副島が両手を広げ立ちはだかるが、物凄い力で払いのけられる。これはまずいと私は思い、後ろからチェシャ猫に抱きつく形で止めに入った。


「ダメだよ!そんな事したら死んじゃうよ!!」


「あれは死んでもいい人間ですよ?大丈夫、離してください」


「いや、ダメだよぉ!!」


長い前髪の下のつった目は狂気と殺意に満ちている。手を離さなければ、今にも殺されてしまいそうだ。


「大丈夫…」


「あ…」


チェシャ猫はするりと私の腕から抜け出した。そして東村にじりじり近づく。東村は藤原をしっかり抱え、後ずさる。副島は地面に座り込み、ガタガタ震えている。止めないと…

雑でごめんなさい…、変なところ後で直します。

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