二十四のお話
少々グロテスクなシーンがあります。苦手な方は気をつけてください。
「はいは〜い!そうよ、君のおかあちゃま〜」
下を向いていて顔はよく見えない。藤原と同じ茶髪の女性。モエカは一体何をするのだろう。
「何で…何で…」
藤原はかすれた声で聞く。モエカはニコニコしてまな板に刺された包丁を二丁取った。
「は〜い!藤原ちゃんのおかあちゃま解体ショーの始まり始まりぃ〜」
両手に持った包丁を高く掲げ、カンカンと叩いて鳴らした。そして、女性の髪を乱暴に掴み、顔をこちらに向けた。やっぱりなんとなく藤原に似ている。
「藤原ちゃ〜ん、大好きなおかあちゃまだよぉ〜❤︎」
「やめて…やめて!!」
藤原が叫び立ち上がった。するとモエカは女性から手を離し、藤原を凄い勢いで睨みつけた。物凄い殺気を感じ、私は鳥肌が立った。
「座れ」
全員何も言うことができない。でも、藤原は…
「お願い…お願い何もしないで!!お母さんには何もしないでぇ!!」
泣きながら叫んだ。でも、モエカには届いていないようだ。
「座れって」
もう一度言う。だが藤原は聞かない。
「お母さんは何もしてない!!なんで…なんで…」
「じゃあお前は?」
藤原は静かになった。何も言い返さない。室内は静まり返り、水のポタポタ落ちる音と鍋で何かを煮る音だけが響く。
「お前は、いつも見ているだけ。目の前で、人が、殺されかけても、見ているだけ。さあ、座って見てろ」
「…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい!!」
藤原は突然謝り始めた。あの森の時のように、何かがとり憑いたように。そして糸が切れた操り人形の如く椅子にガクンと座った。ずっと謝り続けている。
「は〜い!それじゃあ気をとり直してぇ…、おかあちゃま解体ショーの始まりで〜す!」
モエカは吊るされた女性に二丁の包丁を突き刺した。真っ赤な血が宙を舞う。藤原は頭を抱えて謝り続けている。東村と副島は耳を塞ぎ顔を隠している。私も気持ちの悪いものは見たくない。それにあの女性は知り合いの母親。私もテーブルに伏せようとしたが…
「ちゃんと、見ていてくださいよ…」
「は!?」
後ろからチェシャ猫が私の頭を掴み、伏せれないようにされた。どうして。見たくないよ…
「ホラ、綺麗に裂けてますね、お腹」
「やっ!!嫌だって!!」
女性のお腹は綺麗に裂かれ、その間からピンク色の何かが見えている。モエカは一丁の包丁を置いて、もう一丁の包丁を女性の口に突っ込んだ。そして、女性の上顎を強引に掴み、顎から喉を下に向かって裂いていく。これは気持ちが悪い。もう見たくない。
「離してって!もう見たくないってばお願い!」
「あなたは…優しい人ですね…」
そう言ってチェシャ猫は手を離してくれた。優しい人?いや、分からないよ。私はすぐに顔を伏せた。
「あれぇ〜、みんな見てよぉ〜、ほらほら〜」
モエカは女性の腹の中に手を突っ込み、中を掻き回した。ドロドロと中身が出てきている。そして何かの臓物を引きずり出した。
「じゃーん!肝臓〜!多分…。だよねぇ、チェシャ猫ぉ」
「知りませんよそんなの」
二人の声だけが聞こえる。あの女性は生きているのか、死んでいるのか分からない。あんな事されてるのに声も出さない。いや、麻酔をかけられている?
「ね〜え〜ね〜え〜」
モエカは副島に近づいた。副島はバッと後ろを向こうとした。が、モエカは副島の胸ぐらを掴んでそうはさせなかった。
「見てよぉ〜、長いよ〜」
モエカの反対側の手は、薄ピンクで赤い液体が付着した何かを持っていた。それは、調理台の後ろの女性の腹に繋がっていた。
「小腸〜、多分…、チェシャ猫ぉそうだよねー」
「そうですね」
副島はいつのまにか白目を剥いて気絶していた。それに気づいたモエカはつまらなさそうに手を離した。副島はバタンとテーブルに倒れてしまった。相変わらず謝り続けている藤原には目を向けず、今度は東村を見た。東村はすでに気を失っていた。
「え〜、おいおいおい…みんな寝るなよぉ〜…。みっきー…」
あぁ、呼ばないで。お願い来ないで…。これ以上トラウマを増やさないでくれ…
「お刺身嫌いだったっけ?」
私は普通の質問をされ、少し驚き顔を上げた。目の前には、返り血でエプロンを赤く染めた恐ろしい女の子が立っている。なのに…この子は怖くない…なぜ…?
「みっきー?」
「えっ、あぁ、えぇと…苦手…」
私は考えるのをやめ、素直に答えた。モエカは「ガーン」と効果音が出てきそうな顔をした。怒らせてしまったのだろうか。
「んもー!早く言ってよぉ〜、食材無駄にしちゃったぁ〜!ウミッペに怒られるかも…」
「ごっ、ごめん!!」
私はすぐに謝った。ウミッペってなんだろう…
「いいのいいの!みっきーは悪くないよぉ〜、別の物作るよん!どうせみんな寝てるし」
「ごめんね…」
モエカは持っていた小腸をぽいっと投げ捨てた。私は吊るされた女性をチラッと見てしまった。顎から真っ二つに裂け、内臓がダラっと出ていた。知らないうちに目と鼻も無くなっていた。あまりにもグロテスクで私は吐き気がした。
「よぉ〜し!美味いもん作るぞ〜」
元気よく、次はおたまを持った手を高く上げた。
雑ですみません…。変なところは後で直します。




