二十二のお話
「……い、……さん…」
「……ん…?」
「美月さん…」
チェシャ猫の呼ぶ声で私は目を覚ました。
「はっ!!?」
私は勢いよく起き上がる。またチェシャ猫にしがみついて寝ていた。まさか…二度もこんな事を…。私は恥ずかしくて恥ずかしくて顔を上げる事が出来ない。
「あっ!?」
私は下を向いた時、制服の赤いリボンが目に入った。スカートも紺色だ。あの可愛らしいエプロンドレスじゃなくなっている。身体も多分元に戻っている。あれは夢だったのか…
「どうしたん…ですか…?」
チェシャ猫は起きた瞬間「はっ!?」だの「あっ!?」だのうるさい私を不思議そうに見ていた。あぁ、もう恥ずかしい事ばかりだ…
「変な…夢を見て…」
「どんな?」
チェシャ猫は楽しそうに聞いた。
「私が小さくなって…男の子とチェシャ猫とうさぎたちと隠れんぼして…」
「私とうさぎたちは全員見つかったけど、男の子は見つからなかった…」
え……。なぜ、チェシャ猫が知っているの?チェシャ猫は私の夢を覗いてた?不思議で不思議で私は目を皿のようにした。その様子をチェシャ猫は楽しそうに見ている。
「楽しかったですねぇ」
チェシャ猫は私をからかうように言った。まさかチェシャ猫は私の夢に入って来ていた!?どんどん分からなくなってきた。
「なんで知ってるの?」
「フフッ、内緒です」
とてつもなく気になる。というか怖い…。
「早く進みたいのですが、あの人たちが起きてくれません」
チェシャ猫は小さなため息をついて立ち上がった。そして木の裏側へ歩いていった。私は明るくなった空を見上げ、伸びをした。今は朝だろうか、昼だろうか、時間がないから分からない。
チェシャ猫の声と、東村の呻き声が聞こえる。3人を起こしているようだ。私も反対側へ向かった。
「さぁ、もう朝です。起きてください。朝食会に遅れます」
「まだ眠いよ…」
「起きてください。じゃないと…食材係のネズミたちに連れていかれますよ?」
3人はビクッとしてバッチリ目を覚ました。食材係のネズミたち、井上をその場で引き千切って連れていった子たちだ。ものすごいトラウマになっているのだろう。
「チッ、朝食会ってなんだよ…」
「朝食会は朝食会、朝ごはんを食べる会です」
東村は相変わらずの怖い顔。副島と藤原はぴったりくっついている。
「行きましょう」
チェシャ猫は歩き出した。私たちはその後ろを着いていく。私は最後に大きな木を見上げた。
『もうすぐだよーーー』
私にあの声は優しくそう言った。若緑色の葉の間に咲いたオレンジ色の花。風にのって甘い匂いが運ばれていく。私はそれを大きく吸い込んだ。
そして、私はみんなに置いていかれないようしっかり着いていった。
雑ですみません…。変なところ後で直します。




