二十一のお話
「……、……!……!!」
「ん……ぇ…?」
今、誰かに呼ばれた?私はまだ眠たい目を薄っすら開いた。辺りは濃い霧に覆われていて視界が悪い。
「あれ…、チェシャ猫?」
隣にいたはずのチェシャ猫がいない。それどころか、反対側にいた3人の姿もない。それから…
「うっわ何この格好!!??」
ふわふわ可愛らしい白のレースのエプロン。水色のワンピース。白と黒のシマシマ靴下。私はまるで、不思議の国のアリスのような可愛らしい格好をしていた。
「あれ…なんか…私、縮んだ…?」
さっきと同じ場所、花のいい香りがする木の下。なのに、見える景色が少し違う。私は正面の木に鏡が掛かっていることに気がついた。どうしてあんなところに…?私はその鏡の方へ歩いていった。そして鏡を覗き込んだ。
「ぇ…ぇ……」
やはり私は縮んでいた。縮んだというより、小さい頃に戻ったという感じだ。
誰もいなくなり、身体も格好もこんな事になってしまい、どうしていいか分からず私は鏡の前を行ったり来たりした。
「どうしよどうしよう!!」
私があたふたしていると声が聞こえてきた。
「もー!××何してるのー!」
ちょうど名前のところだけ時間が止まったように聞こえなかった。木の下で誰かが私に手をふっている。
あれは…、あの時の影の男の子だ。
「早く!早く!」
男の子はぴょんぴょん跳ねながら手招きする。私は、その影の男の子の方へ歩いていった。
「今日はうさぎさんたちと一緒に隠れんぼするんだよ!」
「隠れ…うわっ、ちょっ…!!」
男の子は私の手を引っ張ってどこかへ走る。覚えてる、この感じ。あなたはいつもそうやって私を連れ出してくれた。
私と男の子は森の中を走った。木には色々な形の鏡が掛かっている。不思議な森だ。
「あー!チェシャ猫ぉー!」
「え?」
私たちは広場のようなところに出た。そこには沢山のうさぎと、チェシャ猫がいた。
「チェシャ猫!!」
私は思わずチェシャ猫に飛びついた。よく分からないけど…。そんな私をチェシャ猫は優しく抱きしめてくれた。
「××は本当にチェシャ猫が好きだなぁ〜」
男の子が楽しそうに言った。あの子はなぜチェシャ猫を知っているのだろう。
「チェシャ猫!どうなってるの!私縮んじゃった!!」
チェシャ猫は私の顔を見て首を傾げた。
「いつもと変わりませんよ?」
いや…、確かに私は背が低いけどぉ!!だけど、ここまで小さくなったらおかしいって思うだろう!
「よく見てよ!服だって制服じゃなくなってるし…」
「…一体どうしたんですか?××さんはいつもと同じ、変わった事なんてありませんよ?」
男の子とうさぎたちも不思議そうに私を見た。どうして?チェシャ猫…、さっきまで一緒にいたのに…。なんで分からないの?もしかして私をからかってる?
「早く隠れんぼしようよ!」
男の子が言った。うさぎたちもまたざわざわし始めた。私はチェシャ猫から少し離れた。
「じゃあ鬼は誰にする?」
「じゃんけんで決めよう!」
みんなは輪になった。この人数でじゃんけんをするのか…、なかなか決まりそうもないが…
「最初はグー!じゃーんけーん」
男の子の声でうさぎたちは利き手をグーにした。
「ポン!」
私の隣のチェシャ猫からぐるっと回ってみんなパー。私だけ…グー…。まるで事前に打ち合わせでもしたかのように私以外全員パー。おかしいだろうオイ…
「アハハ!××の一人負け〜!鬼だよ!あそこの木で目隠しして10秒数えてね〜」
みんな楽しそうに笑いながら走っていった。ぱっと見うさぎは全部で二十羽近くいた。あれを全部探すなんて気が遠くなる。今はそれどころじゃないのに…
私は言われた通り木の下で10秒数えた。
「もーいいかーい」
「もーいいよー!」
返事がちゃんと返ってきた。私はみんなを探しに歩き出した。
「ここだよ〜」
「…あー!見っけ!」
うさぎたちは、なぜかみんな私に居場所を教えてくれる。そのおかげでうさぎは全て見つける事が出来た。残るはチェシャ猫とあの男の子。私は目を凝らして二人を探す。
「う〜ん…」
なかなか見つからないなぁ…。森の中をたくさん歩き回った私は疲れてきた。
「ん?」
今、右側の木の後ろで何かが動いた。私はジッとそっちを見た。見覚えのある紫シマシマの服、きっとチェシャ猫だ!
「チェシャ猫見っけ!」
「見つかってしまいましたか」
チェシャ猫はいつもの薄っすら笑いで出てきた。あとはあの男の子だけ…
「頑張ってくださいね」
「うん!」
今度は反対側に行ってみよう。
「…手強いなぁ」
本当にこの森にいるのか?と、いうくらい見つからない。霧が少し濃くなった。
「うっ…!?」
突如、私の視界はグニャリと歪んだ。私は立っている事が出来ず、地面に崩れ落ちた。目眩がする。耐えられない…
「××〜!」
男の子の呼ぶ声が聞こえる。私は重力に逆らえなくなり、バタンと倒れた。意識が薄れていく…
「××!××〜!」
『…××…起きて…』
男の子の声は、あの正体不明の声へと変わった。
私は、とうとう意識を手放したーー
雑ですみません…。変なところ後で直します…




