表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリスゲーム  作者: いずも
19/88

十八のお話



金木犀のような、甘くて優しい香り。私はこの匂いが昔から大好きだ。今は暗くて見えないが、きっとこの木には花が咲いてるのだろう。明るくなったら見てみよう。


私は座っている3人を見た。3人はもう眠っていた。疲労とストレスでいっぱいなんだろう。東村の手元に置いてある血のついたナイフが、月明かりに反射してキラリと光った。私は、3人を起こさないようこっそり近づいてそのナイフを奪った。こんな物を東村が持っていたら、いつかチェシャ猫を刺したりしそうで怖かった。そういえばチェシャ猫は…?

いつの間にかいなくなっていた。私の後ろにも木の裏側にもいない。どこへ行ってしまったのだろう。私は少し不安になった。真っ暗な森に私たちだけ、いつ危険な生き物が来てもおかしくない。


「はぁ…」


私は小さなため息を吐いた。木々の隙間を通り抜け、私に優しくぶつかる夜の風は冷たくて寂しい。私は握ったナイフを見た。何かあったらこれで…


ビュウゥッーー


突然強い風が吹いた。木々がざわざわと揺れる。まるで大きな獣が近づいてきているかのような緊張感。3人は気づかず眠っている。私の心臓の鼓動は次第に大きくなってきた。怖い…チェシャ猫…



「見つけた…」


「!?」


暗闇に響く、低く美しい男性の声。チェシャ猫の声ではない。東村の声でも井上の声でもない。私は得体の知れない恐怖で体が震え、動く事が出来ない。お願い、何も来ないで…


「わっ!?!?」


私の願いは叶わなかった。突如私の足は地面を離れ、猛スピードで闇の中へと引きずり込まれる。


「大丈夫です…」


さっきと同じ低い声、私は誰かに抱えられている事にやっと気がついた。顔は見えない。真っ黒なフードを被っている。私はこのまま殺されてしまうのだろうか…。

吸い込まれるように私はどこかへ連れて行かれる。





「…」


ピタリと風を感じなくなった。フードを被った男は走るのをやめていた。私は怖くてぎゅっと瞑っていた目を薄っすら開いた。灯りが…ある…ロウソクの灯りだ。室内だろうか?


「わ…」


私はゆっくりと地面に下された。地面はさっきと同じ砂だ。室内ではないのだろう…。それより、私の目の前に立つこの人は一体…


「美月…さん…」


そう言って男はフードを脱いだ。真っ黒な髪と目、前髪で左目は隠れている。色白で背の高い男性だ。黒くて長い服、胸の辺りに白いリボンが付いていた。


「私の事…分かりますか?」


男は私に優しく尋ねた。まただ、このモヤモヤ。きっとこの人の事も本当は知っている。


「ごめん…なさい…分かりません…」


私が正直に言うと、男は「そうですか…」と呟くように言った。そして私が握っていたナイフをチラリと見た。


「それ…貸してください」


私はビクッとして一歩後ろへ下がった。このナイフを貸したらどうなるか想像してしまったからだ。


「さぁ…」


「…いや…」


男は手を差し出し、じりじり近づいてくる。私はナイフを後ろに隠して後退する。誰か助けて…


「!?」


壁だ。なぜこんなところに。ここはもしかして木の中か!?触った感じがボコボコしていてなんとなく私はそう思った。


「こっ…来ないで!!」


私は叫ぶように男へ言った。それでも男は気にせず近づいてくる。そして…


「っ…!?」


私の首を右手で後ろに押さえつけるよう掴んだ。怖い、そして苦しい。


「ぁ…ぅっ…」


とうとう私はナイフを奪われてしまった。私を押さえる右手にはそれほど力が入っていない。だが、抜け出そうとすると刺されそうなので大人しくしている。


「あなたは…誰?…どう…して…こんな事…」


恐る恐る私は男に聞いた。男はニィッと笑って答えた。


「私は死神です。これはあなたが決めた事でしょう?」


私が…決めた?一体何を?こうされる事を?なんで…

死神と名乗った男は、ナイフに付いていた血を自分の服で綺麗に拭き取った。何をされるのだろう。


「もしかして…何も覚えていないのですか?」


綺麗になったナイフを眺めながら死神は言った。そして小さく「あぁ、そうか」と呟いた。そして、そのナイフを私の顔へ向けた。


「あぁ、綺麗な顔ですね…」


「うっ…」


ナイフは私の右側の頬をゆっくり傷つけた。痛くて今すぐにでも逃げ出したいが、怖くて足が震え動けない。誰か…チェシャ猫…助けて…


「いい色だ、赤がよく似合う」


「やめ……」


頬から流れ出る血の雫を死神は舌でなぞった。そして傷口を吸ったり軽く噛んだりしてくる。すごく痛い。怖い怖い、もう嫌だ…


「怖い…怖いよ…助けて…」


死神はグッと私に顔を近づけ、ニィッと笑った。その光を飲み込むような真っ暗な瞳がとても怖い。


「怖い…ですか。よかった…」


よかった?一体何が?

私の涙はとうとう溢れ出してしまった。その涙が傷に染みて痛い。


「やはり私の事は思い出せませんか?そうですね…じゃあ次は…」


死神の握ったナイフの刃先は私の肩に当てられた。刺される。もう嫌だ…

変なところいっぱいあると思いますすみません…。後で直します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ