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アリスゲーム  作者: いずも
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十六のお話



「夜が、来てしまいますね」


チェシャ猫はポツリと呟いた。


「夜?今何時なの?」


「この国に時間なんてありませんよ」


時間がない。じゃあ、いつから朝でいつから夜なのかわからないではないか。


「なんで夜が来るかわかるの?」


「なんとなくです」


チェシャ猫の適当な答えが返ってきた。じゃあ、なんとなくで朝や夜が来るのか。大変な世界だなぁ。


「このトンネルを抜けたら一体どこに出るの?」


「森です」


また森か。そういえばリアンが『夜の森には気をつけろ」と言っていた。お化けでも出るのだろうか…。私は頭の中で恐ろしい顔のお化けを想像してしまった。真っ暗なトンネルの中、そのお化けが目の前に見える気がして怖くなった。でも大丈夫だ、隣にチェシャ猫がいるから。


「夜の森は怖いですよ…」


「ぇ……おねがいだから怖い話しないでね…」


こんなところで怖い話なんてされたらたまったものじゃない。早く出たい。私はまだ眠っている3人を横目で見た。早く起きてくれ…


「本当はもっと早く森を抜けてロールの道に着く予定だったのですが…」


「ロールの道…帽子さんが言ってたやつ?どんな道なの?」


チェシャ猫はまた、答えられないと言って教えてくれなかった。私は名前からしてロールケーキの可愛い道を想像した。ふわふわの生地の道にクリームの木とか、チョコでできた花があったり…。メルヘンチックな風景が脳裏に浮かんだ。


「…ふぁ…、眠…」


やっと目を覚ました東村があくびをし、背中を伸ばす。副島と藤原も一緒に起きたようだ。まだちゃんと目が覚めていない3人はボーっとしている。


「さあ、そろそろ行きましょう」


チェシャ猫は、起きたばかりの3人に言って立ち上がった。私も一緒に立ち上がる。早くここから出たい、光を見たい…。


「いや…、起きたばっかじゃん…もう少し待てよ…」


機嫌の悪い東村が言う。まぁ、起きてすぐは私も動きたくない。


「別にいいですが、もうすぐ人喰いトカゲがここを通りますよ?死人が出ていいならいくらでも待ちます」


「は!?」


チェシャ猫はニヤニヤしながら東村に言った。東村はチェシャ猫を睨みつけ、仕方なさそうに立ち上がった。まだ体調が悪そうな副島と震えている藤原も立ち上がる。そして私たちは出口に向かって歩き出した。








あれから約二十分、いや三十分ほど歩いてやっと私たちはトンネルから抜け出した。外はもう真っ暗だった。だが、月の光で少しだけ明るかった。大きな木がたくさんの森、進むのは難しそうだが…


「さあ、行きましょう」


容赦なくチェシャ猫は進もうとした。


「もう無理だよ…こんなに暗かったら迷うよ…」


藤原が辛そうに言った。だがチェシャ猫は「トンネルの中よりマシでしょう」と言って進もうとする。


「そんなに行きてぇならお前だけで行けよ!」


怒った東村が怒鳴る。何も気にせず、チェシャ猫はいつもの薄っすら笑いで東村たちを見た。


「私だけで行ってどうするのです?じゃあ、あなたたちだけでお城まで辿り着けるのですか?無理ですよねぇ」


東村は何も反論できず、唇をぎゅっと噛んだ。確かに、チェシャ猫がいなかったらお城まで絶対に辿り着けないだろう。道も全然わからないし、危ない生き物も沢山いるし…すぐに殺されてしまいそうだ。


「まあいいです、行きたくないなら着いてこなくて結構です」


そう言ってチェシャ猫は暗い森の中へ進んでいく。私も慌てて着いていった。副島と藤原も重たい足を動かししっかり着いてきている。グニャグニャと木の根っこが地面から出ていてすぐ躓きそうになる。


「この森…抜けたらお城があるの?」


息切れする副島が聞くと、チェシャ猫は「違います」とだけ答えた。私は東村が気になって、後ろを振り返ったが着いてきていないようだった。





ザワザワと揺れる大きな木、フクロウか何かの鳴き声。目に映るのは同じような木ばかりで進めているのかさえよく分からなくなってくる。


「まだ…終わらないの…?」


藤原が小さく呟いた。その目には涙が浮かんでいる。


「お母さん…お父さん…」


こんな恐ろしい世界、早く抜け出して温かい家に戻りたいと藤原は強く思った。藤原だけじゃない、副島もそうだろう。そして私も…


「うわあああぁぁぁぁぁああっっ!!」


突如、後ろの方からものすごい叫び声が聞こえた。あれは東村の声だ。何かあったのか。


「東村!?戻ろう!?ねぇ!!」


副島がチェシャ猫に言った。チェシャ猫はいつもの薄っすら笑いで


「なぜ戻るんですか?」


と、答えた。副島も藤原も冷や汗をかいている。


「なぜって…友達が…叫んでるんだよ!?きっと何かあったんだよ!お願い戻ろう!?」


副島はチェシャ猫に懇願する。チェシャ猫は呆れた、と言わんばかりの顔で「分かりました」と呟いた。私たちは声のする方へ急いで向かった。

雑で本当にすみません…。変なところ後で直します…

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