表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリスゲーム  作者: いずも
16/88

十五のお話



「副島ちゃん…大丈夫なの…」


藤原は小さく聞いた。副島はまだ血を吐きながら苦しそうにしている。どう見ても大丈夫な状態ではないが副島は小さく「大丈夫…大丈夫」と言っている。


「トンネルって…あれか?」


少し先にトンネルが見えた。中は真っ暗で何も見えなさそうだ。

私たちはそのトンネルに向かって歩いて行った。





「これも、振り返ったり声出したらダメなのか?」


「いいえ」


私たちはトンネルの中へ入っていった。

やはり中は真っ暗で何も見えない。きっと出口は遠いんだろうな、と思った。私たちの足音だけが中に響いた。









「まだ出られないの?」


もう三十分以上は歩いただろう。まだ出口は見えてこない。


「まだですね」


あとどれくらい歩けばいいんだろう。そろそろ疲れてきた。


「待って…もう…私…」


副島が辛そうに言った。そしてそのままズタンと地面に倒れ込んだ。支えていた藤原も一緒に転けてしまう。


「副島!」


「副島ちゃん!?」


副島は目を瞑って動かない。まさか…


「大丈夫…息は…してる…」


よかった、死んではないようだ。私は少しだけ安心した。


「ねぇ、もう私たち歩けないよ…休もうよ…」


藤原がチェシャ猫に言う。チェシャ猫はいつもの薄っすら笑いで頷いた。


「あ〜、疲れた…」


東村は藤原たちの近くに座った。私が3人より少し離れたところに座ると、チェシャ猫が隣に来た。


「なんか眠くなってきた…寝てもいいか?」


東村の声がトンネルの中に響いた。チェシャ猫は「お好きにどうぞ」と言って私の横に座る。東村も藤原もあっという間に寝てしまった。私も眠くなってきた。体が怠く、瞼が鉛のように重くなって、私もすぐに眠ってしまった。








『もうすぐ、会えるね…』


あの声だ。私は薄っすら目を開けた。真っ暗で何も見えない。チェシャ猫もいない。これは夢の中だろうか。


『やっと…やっと…』


声が出ない。あなたは誰なの?なぜ私に会いたいの?

届かない質問が頭の中にどんどん浮かび上がっていく。


カラン…


私の目の前に、あの水色の猫のストラップがどこかから降ってきた。影の男の子が持っていた、あのストラップ。

どうしても思い出せないんだ。どうしても、どうしても。辛い、苦しいんだ。


『大丈夫…もうすぐ、全てを思い出せるよ…僕の事も…』


なんとなく、この夢がもうすぐ終わってしまうと分かってしまった。嫌だ、待って、行かないで。


「一人にしないでーー」


あぁ、終わってしまう。聞きたい事、いっぱいあるのに…





「んぅ…」


私は目を覚ました。


「おはようございます」


頭の上からチェシャ猫の声がした。薔薇のいい匂いがする。私は何か布を掴んでいる事に気がついた。紫色のシマシマ…チェシャ猫の…服?


「はっ!?ごめん!?」


私は勢いよく起き上がった。チェシャ猫にしがみついて眠っていたようだ。


「寝心地はどうでした?」


チェシャ猫は薄っすら笑って聞いてきた。恥ずかしい…。この歳になってそんな…

私は離れたところにいる3人を見た。よかった寝てる。見られてない。


「ごめん…ごめん…」


私は真っ赤な顔を伏せて呟くように謝った。その姿を見てチェシャ猫はクスクスと笑った。


「昔は、いつもああやって寝てましたよ」


「昔?私が?」


チェシャ猫はいつもよりニコニコしている。それより昔って…?


「ねぇ…、私とチェシャ猫って…昔あった事ある…?」


「えぇ」


「どこで?」


「あなたのお家で」


「私の家!?なんで!?いつ!?友達だったの!?」


今までにないほど沢山の質問が口から溢れた。目を輝かせる私をチェシャ猫は楽しそうに見ている。


「えぇ、今も私は友達ですよ。これ以上答える事は出来ません」


「今も…友達…嬉しい…」


私は、ものすごい人見知りで、いつもクラスではひとりぼっちだ。時々話しかけてくれる人はいるけど殆どの時間一人だ。友達って思える人なんて今はいない。だから、とても嬉しかった。多分、年は離れているだろうけど、友達って思っていい人ができてとても嬉しい。でも…


「私といつ友達になったの?」


私の質問にチェシャ猫は難しい顔をした。


「それは…まだ答える事は出来ません。答えたら王子様に怒られてしまいます」


また出た王子様。一体王子様ってなんなんだろう。リアンも言っていた、王子様に怒られるって。怖い人なんだろうか。


「王子様ってそんなに怖い人なの?」


チェシャ猫はいつもの薄っすら笑いで首を横に振った。


「王子様はとても優しい人です。妹思いで料理も上手です」


「へ〜、妹がいるんだ。料理もできるなんてすごい…」


私がそういうとチェシャ猫はクスクスと笑った。

変なところ後で直します。雑ですみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ