十二のお話
「あっ!!見てあれ!」
副島が声を上げて右側を指差した。
「灰色の薔薇ってあれじゃないの!」
副島の指差す方向を見てみると確かに白っぽい花が咲いた何かがあった。あれは門だろうか。木が邪魔でよく見えない。
「行こうぜ」
四人とチェシャ猫はオレンジの花の道を外れ、白っぽい花の方へ歩き出した。オレンジの花はまだ先に沢山あるようだった。このまま花を辿っていくと何があったのだろうと思いながらも前に着いていった。
私たちは門の前までやってきた。中から楽しそうな声が聞こえる。誰かいるのだろうか。
「灰色の薔薇ってこれですよね?」
副島がチェシャ猫に聞いた。チェシャ猫は小さく頷く。
「この門…開けていいのか…」
今度は東村が聞く。チェシャ猫は同じように頷く。
東村は深呼吸してから門に両手で触れた。そしてゆっくり押す。門は簡単に開いた。
「うわぁ…危な…」
門の向こう側には灰色の薔薇のトンネルがあった。道は狭く、薔薇の棘が刺さりそうだ。そしてその向こうから楽しそうな笑い声が聞こえる。
「なんの声?人…だよね…」
「えぇ、オネェの声です。」
オネェ?お姉さん?それともオカマの方?キャイキャイ誰かと話す声が聞こえてくる。
「気をつけてくださいね、灰色の薔薇の棘には毒があります」
「は?どんな?」
「知りません」
東村の問いにチェシャ猫は冷たく答える。「刺さってみたらいいんじゃないですか?」と意地悪く言う。東村は舌打ちして進み出した。
四人は慎重に進んでいく。私は歩きながら薔薇の棘を見てみた。棘の先にほんの少し紫色の何かがついていた。これが毒だろうか。あまり近づきすぎると危険なのでよく見る事が出来ない。
「はぁ、怖かった…」
薔薇のトンネルを無事に抜ける事ができた。先には漫画などでよく見る、お城や宮殿のお庭のような場所についた。木がネズミやウサギ、ハートの形などにカットされていてとても可愛い。
「やぁだ〜!ちょっと!待って待ってみぃじゃない!えっ!ヤダもう!!」
私たちが薔薇のトンネルの前でボーっと立っていたら、人がくねくね走ってきた。きっとあの人はさっきチェシャ猫が言っていたオネェの人だろう。
薄紫の長い髪、前髪で右目が隠れている。頭には立派な白のシルクハットを被っていて、服装はとてもお洒落だ。遠くから見ると、本当に美しい女性だと間違ってしまいそうだ。
「みぃ〜!!」
「わっ!!」
走ってきた人は突然私に抱きついてきた。
お花のいい香りがする。待て待て、そんな事考えてる場合じゃない、皆んな見てるんだぞ!恥ずかしい!!
「やっと会えた〜!ずっとこの日を待ってたのよ!!」
「ちょぉ…あの…えっと…」
ごめんなさい、誰ですか。なんて私には聞けない。こんなに喜んでる人に…。
「おわっ!!」
私が困っていると、チェシャ猫がその人の服を強引に引っ張って私から離してくれた。
「もぉ!!何すんのよチェシャ坊!服が破れちゃったらどうしてくれるのよ!!」
「美月さん、困ってるじゃないですか。まだあなたの事知りませんよ」
その男性…いや、女性と言った方がいいのか…。そのオネェの人は、口元に手を当てて、ひどく寂しそうな表情になった。
「やだ…そうなの…。なんかとっても悲しい…でもいいわ!じゃあ…」
「へっ!?」
私の頬をそっと両手で掴み、顔を近づけてくる。近くで見ると、まつ毛が長く、スッとつったアメシストのような綺麗な目をしている。
「そうね…、そう、あなたは私の恋人よ、ウフフッ、やっぱ婚約者がいいかしら?大好きよ…」
え、え、待って、オネェの人って女の人を好きになるの!?テレビドラマとかでしか見た事ないけど、大体のオネェ役の人ってガタイの良い刑事さんとかに恋してるから…
いやいやいや、待って!そんな事より近い!!恥ずかしいよ!!皆んな見てるって!!
私は精一杯の力で彼の鎖骨らへんを押して離れようともがくが、顔面をがっちり掴まれていて痛いし離してくれない。
「嫌がってるじゃないですか、それと、勝手にお話を変えないでください」
「んわっ!!」
そう言ってチェシャ猫は彼の尻に一発蹴りをいれた。パッと手が離され、私は地面に尻餅をついた。お話を作り変えるってなんだろ。
「もお!!蹴ることないじゃない!この乱暴猫野郎!!」
「うるさいですねぇ、この変態帽子野郎が…」
二人の喧嘩が始まった。いつもは静かであまり喋らないチェシャ猫が結構言ってる。仲悪いのかな…
どうしようもないので、私と他の3人はその喧嘩をただ見ていた。
喧嘩はエスカレートし、殴り合い、蹴り合いが始まる。私たちは危ないので少し離れた場所に非難した。
「オラテメェ、アリスちゃんたち怖がってんぞオラ」
「あなたのせいですよ、私たちは忙しいんですよ」
片方が死ぬまで終わらなさそうな喧嘩だ。どうにかしないと…
私は3人の方をチラッと見た。
「お前…止めてこいよ…」
「は!?」
東村が怖々言った。他の2人も私を見て頷く。
「い…嫌だし…」
「いいから行けって」
そして2人も頷く。なんで私が、と思いながらあっちの二人の方を見てみる。
…早く止めないとヤバイ感じになっている。
大事なところ抜けてたり変なところあったりですみません。雑でホントごめんなさい。




