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アリスゲーム  作者: いずも
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九のお話



こんなところに薔薇なんてあるのだろうか。どこを見ても変なアトラクションばかりだ。


「人間…」


「え?」


どこかから知らない声がした。


「おい、誰だよ…」


東村が弱々しく呟いた。すると、小さな空中ブランコの後ろから誰か現れた。

一言で言えば、背の高い青ジャージを着たアヒル人間だ。


「人間…もしやアリスたち?」


アヒル人間は私たちに近づいてくる。


「っ…」


東村が何か言おうとしたが堪えた。きっと近づくな化け物〜、とか言うつもりだったのだろう。でも井上の事を思い出して堪えたのだろう。変な事言って傷つけて仕返しで体を引き千切られるのは嫌だからな。


「いや〜、生きたアリスたちに会えるなんて!こんなところで何を?」


アヒル人間はニコニコしてこっちへ来た。


「僕はアヒルのカイだよ!」


「あの…灰色の薔薇を探してるんです。知りませんか?」


副島がカイと名乗ったアヒルに尋ねる。カイは人差し指…というか羽の先っちょを自分の頬に当て、考えるような顔をした。


「灰色の薔薇かぁ、よし!」


カイは何か思いついたように羽をポンと叩いた。


「ゲームをしよう!」


「ゲーム?」


「うん!せっかく会えたんだ、ゲームをしよう!」


カイはそう言って向こう側に不自然にある池を指差した。


「あの池を泳いで、向こう側の黄色い花の乗り物にタッチできたら君らの勝ち!泳ぐのは一人!我慢強いって噂の君だ!」


「おっ、俺!?」


指名されたのは東村だった。我慢強い人が選ばれるのか…ここは…。

出雲はあの時、自分は一番我慢強いって言わなくてよかったと心から思った。


「さあ!行こう!」


テンション高めのカイを先頭に私たちは後ろをついて行った。



私たちは池のすぐ側に到着した。蓮の葉が浮かぶ意外と綺麗な池だ。近くには沢山の石が積まれた荷車や長い鉄骨が置いてあった。


「さあ!東村くんだっけ?」


「あぁ…はい…」


東村はやる気無さそうに返事した。


「君が泳ぎきってあの黄色い花の乗り物にタッチできたら灰色の薔薇のいい情報を教えてあげるよ!さあ、頑張って!服は脱いじゃダメだよ!」


「チッ…」


「頑張って東村…」


副島がエールを送る。そういえば東村は水泳部の部長だったな。これくらいの距離なら楽勝では?

東村が勢いよく飛び込んだ。


「わー!速い!速いね!!」


カイは楽しそうに飛び跳ねる。そして…


「えい!」


「え?」


何を思ったか、カイが突然隣にあった荷車に積まれた石を東村めがけて投げつけた。それは東村の真横にドボンと音を立てて落ちた。


「えい!えい!えいえい!!」


カイは楽しそうに石を投げ続ける。


「ちょっ!!何してるの!?当たったら危ないじゃない!!」


副島がカイの腕…いや、羽を掴み投げるのをやめさせる。


「何って、石を投げてるんだよ?君もやる?」


「はぁ!?」


カイは副島の手を払いのけ、また石を投げ始めた。


「うわっ!!痛あ!!」


いくつもの石が東村に直撃する。東村は頭から血を流している。


「あ…危ないよぉ…」


一応私もカイに注意してみる。


「大丈夫!ゲームだから!当たっても死なないし!」


いや、そういう問題ではないだろう。

沢山の石をぶつけられながら東村はちょうど半分くらいまで泳いでいる。血がたくさん出ている。


「えいえい!!」


カイは石を投げ続ける。結構大きな石だ。どう注意しても聞く耳を持たないので止めようがない。


「沈め!沈めよ人でなしぃ!!」


「ちょ…もうやめてあげてよ!!ホント危ないって!!」


副島がカイの腕を掴もうとするが突き飛ばされて地面に倒れる。


「うるさい!悪魔!!」


カイは口が悪くなっていく。


「ハアッハアッ!!」


泳ぎきり、血塗れで陸地に上がる東村。ふらふらしながら黄色い花の乗り物にタッチした。


「チッ」


カイは小さく舌打ちをした。


「アハハ!すごいね東村くんって。君らの勝ちだよ…。トカゲとかネズミたちがいたら勝てたかもしれないな…」


カイは向こう側にいる東村を眺めながら言った。その目は殺意に満ちていた。


「カイ…さん…」


私がカイの名前を呼ぶと、カイはハッとして私を見た。


「大丈夫…もうすぐ会えるよ…」


「え…」


誰に?


「おい…ハアッ…泳ぎきったぞ…ハアッ…」


頭から血を流し、ふらふらの東村は副島の肩を借りて歩いてきた。濡れた服にも血が滲んでいる。


「あ、そうだね!すごい!じゃあ灰色の薔薇の事を教えよう!」


「その前に…、何で石投げてきたんだよ!!」


怒鳴る東村。カイはまた殺意に満ちた目で東村たちを見た。


「お前だってそうした。僕は真似しただけだ」


東村は何も言い返すことができなかった。何か言葉を発すれば今すぐ殺されてしまいそうだった。


「アハっ!灰色の薔薇はね〜、あのレンガのトンネルを抜ければいっぱいあるよ〜!」


カイは左側のレンガのトンネルを指差した。


「でも気をつけてねー、トンネルの中では絶対振り返っちゃダメだよ〜!それと声を出しちゃダメだよ!」


「ありがと」


「うん!美月ちゃん…」


私、自己紹介したっけ…?そういえばここで会う人たちになぜか名前を知られている。

寂しそうな声でカイは言った。他の3人は知らんぷりしてトンネルの方へ歩いて行った。私も遅れないようカイに手を振り急いで後ろを着いていった。

変なところあとで直します。雑ですみません。

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