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俺と除霊とブラックバイト2  作者: ゆずさくら


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(14)

 冷蔵庫のつかえそうなものを見る。玉ねぎ、ソーセージ、ピーマン、冷蔵庫の外にはパスタ。じゃあ、ナポリタンで決まりだな。

「ナポリタンでいい?」

「……うん」

 俺は湯を沸かして、素材を切った。パスタをゆで始めたら、素材を軽く炒めておいて、ゆであがったパスタをそこに加えてケチャップを大量投入した。味付けもあったものではないが、こんな料理でも意外にいける。

 皿に盛って、待っている芦屋さんのテーブルにもっていく。

「いただきます」

「……」

 芦屋さんは黙ったまま食べ始めた。

「あれ? あんまり好きじゃなかった?」

 芦屋さんは口いっぱいにほおばったようで、話せないようだった。

「おいしくない?」

 芦屋さんは必死に口を動かしているが、まだ呑み込めないようで、口で言う代わりに首を振った。

「じゃあ、おいしい?」

 芦屋さんは何度か首を縦に振った。

「よかった」

 そう言って俺は笑った。

 芦屋さんは俺の顔をじっと見つめて、口の中が空になると言った。

「べ、別にすごくおいしい、ってわけじゃないわよ」

「うん。それでいいよ」

「大体、私が食べてる最中に話かけないでよ」

「ごめん」

「……べ、別にいいけど」

 食べ終わると、食器をかたずけてから洗った。

 芦屋さんの部屋にはテレビも何もないので、お互いが自身のスマフォを眺めて過ごした。

 たまに、面白い動画をみつけると、お互いに見せたりした。

「そうだ」

「なによ」

「今日さ、レストランで出会ったエリーとかいう女にまた会った」

「えっ? それで大丈夫だった」

「式神を俺だと思ってコントロールしてたところ、後ろからこうやって」

 俺はエリーの背中に手の平を当てたところを仕草で示した。

「捕まえたの?」

「あいつらも犯罪者じゃないし、警察じゃないから、俺に逮捕権もないし、捕まえられないけど…… あっさり逃げられた」

「……あんたのことだから、それくらいが限界よね」

 手を広げて、あきれた、と言った素振りを見せる。

「それにしてもあんなところで会うなんて」

「意外そうに言うけど、あんた、怪しい霊的スポットの調査をしているんでしょう? 連中がいてもおかしくないじゃん」

「ま、確かに調査対象のビルだったけど」

「そのビルは何かあるわよ。ちゃんと調べたの」

「一つの部屋は本当に事務所として使っていたから、それ以外は全部屋調べた」

「怪しい部屋は?」

「なかった」

「……じゃあ、その調べてない部屋が怪しい」

 蘆屋さんはビシッと音がでそうな勢いで俺を指さした。

 俺は顎に手を当てて、考えを巡らせた。

「……って、けど、そこは普通にオフィスとして使ってたし」

ーーー(27)

 蘆屋さんは俺の態度が不満なようで、頬を膨らませてから言った。

「あたしが行って、調べてみる」

「ま、まあ、ちょっと落ち着いて。危ないから、今度一緒にいこう。今日のところは、冴島さんにも気をつけろと言われているし」

「……冴島さんがそう言うなら」

 芦屋さんは理解してくれた。

「じゃあ、今日はそろそろ寝る」

「いきなり寝るの? おやすみ」

「ちょっと、あんた。私が寝るのに、起きているつもり? あんたも寝るわよ」

「えっ……」

 寝る? だって? 年頃の女性である芦屋さんと、俺が? 間違いを起こしてくれ、と言わんばかりだ。

「寝るって……」

 ロフトを指さす。

 先に上っていく芦屋さんのスウェットを履いたお尻を眺めて、少しエロい気持ちになってきた。

 ロフトに上がると、部屋の端に細い紙が敷いてあった。

「早く。そこに横になりなさいよ」

「……」 

 紙にはたくさんの文字が書かれていた。呪文だ。

「やっぱり結界の中か……」

「なに言ってるの。あたりまえでしょ。はやくしてよ、私、シャワー浴びて、着替えもするんだから」

 実は、この部屋に二人で暮らすようになってから、間違いを起こさないように、俺は結界の中に入って寝ることになっていた。

 結界は芦屋さんが書いて、冴島さんが仕上げているもので、決められた時間がたたないとそこから立ち上がることもできない強力なものだった。

「もう少し寝心地のいい結界はないのかな?」

「今文句言っても仕方ないでしょ。早くして」

 俺はロフトの端にある結界に足を入れた。

 勝手に足が動き、腰を付き、仰向けに横になった。俺の顔は天井を向いたまま動かない。ただ目はかろうじて動いた。芦屋さんが掛布団をとって、かけてくれた。

「おやすみなさい」

 芦屋さんがそう言って、シャワーを浴びるためロフトを降りて行った。 

 俺は身動きが取れないまま、蘆屋さんのシャワーの時間を過ごした。普段寝ている時間ではないのに、強制的に横になっているだけなので、寝れないのだ。

 どうやらシャワーが終わったようで、浴室のドアが開いて、蘆屋さんの声がした。

「あっ……」

 そうだ、俺もシャワー浴びたい。

 一日外にいて疲れているし、汗もかいた。

「ちょっと!」

 蘆屋さんは俺に話しかけているようだった。

「寝てないなら返事しなさいよ」

「何? こっちは結界から出れないんだけど」

「……」

 なんだろう、間があった。何か考えているようだ。

「出来るなら、私の下着を下に投げて。下は見ないでよ」

「?」

「聞こえた?」

「そっちこそ聞こえた? 俺、結界から出れないんだよ。下着もとれないし、投げれられない」

 ん…… 下着だって? どういう意味だ。それに、下は見ないでよ、と言ったな。

「じゃあ、私がロフト上るから、目を閉じてて」

「えっ?」

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