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神様が私達を使う方法  作者: セロム
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1.初めて会った神様と二度と会えない君

普通の恋愛小説ですので、軽い気持ちで楽しんでください。

1.初めて会った神様と二度と会えない君




初めて会った初恋のせいで私は死んでいってた。夜が明ける頃の太陽と正午に熱く盛り上がったアスファルトと電柱に続いた電線の間に通る夜の冷たい風の色も皆が灰色だった。


突然仕事をやめると言った時父は大きく反対しなかった。


“十年前の日見てるようで心配だな。”と言っただけだった。


父は十年前に母を先立たれた。父のベッドにはいつもタバコの臭いで染み付いていた。ベッドの上に一つだけのまくらで目覚めた父はスタンドの隣に置かれている母の写真をよく見た。


“寂しい人生は暮すなよ。”


会社に関する話はそれが最後だった。私が仕事を辞めて一ヶ月が過ぎた時、父の寝室のスタンドに置かれていた母の写真が消えた。そんなことはともかく関係なかった。


最初、彼女を見たのは夢の中だった。その女は長いスカートにライダージャケットを着ていた。初印象はあまりよくなかった。高校生の時バンド部マネージャーをした女の子が年が増えただけ姿だと言うか。私は会ってみたことがないタイプの女だった。


だから、このような興味は泡のようにすぐ消えると考えた。しかし、彼女はずっと何度も私の夢に登場した。ある時は笑いながら私の手を握って、ある時は怒って瞳に積もった涙を我慢して尽すこともした。


夢で彼女を七番目に会った翌日。私は友人の東洋に言うことを決めた。その日、準備を終えて午後七時に家を出た。約束した駅前まで歩いて十分距離だった。私が到着してから間もなく、東洋が到着した。東洋が先に私を見つけた。


“酷い顔してるな。”

“お前よりはましだ。”


二ヶ月ぶりに見る東洋はこの前に見た時よりも素敵に見えた。私は東洋のスーツのジャケットを見て聞いた。


“その服は何だよ。”

“先月に昇進したばかりで、記念に一つ買った。”

“いいね、似合ってる。”


私たちは近くにあるコスモスと書かれた看板の居酒屋に入った。店員が私たちを迎えた。


“奥の席にください。”

“かしこまりました。”


私東洋に夢で見た女について話した。東洋は真剣に私の話を聞いた。


“前に会ったことのある女じゃないかな?”

“その可能性はゼロだ。”

“どうして言い切ることができる?”


私は答えを迷った。その短い間東洋の唇が動いた。


"或いは、これから会う事になるかも。”


とんでもない話に私は小さく笑ってしまった。しかし、東洋は笑っていなかった。


“あのさ。持田。”


東洋はグラスに半分ほど残っていた酒を一気に飲みほした。東洋の頬と瞳が赤くなった。勿論今も。


“その女とうまくやってみな。”

“今日のお前が一番変だ。”


私も残っていたお酒を飲みほした。私たちは席から立ち上がった。東洋が飲み代を払った。


“おごってもらって悪い。”

“いいよ。後でおごりな。”


そして3日後、東洋の正体を疑うようなことが起きた。仕事の関係で知り合ったコマキシと夕食を共にして家に帰る途中だった。駅の近く。商店街の入り口。夜空を覆うアーケードの天井。それの真ん中に立っている女。


心の中に恐怖心が生まれた。それでも私は女にむかって歩いていた。女の唇が動いた。声が聞こえなかった。私はもっと速く歩いた。


長いスカートにライダージャケット。7回の夢の中では見たことの無い銀色のイヤリング。聞きたかった。なぜ私の夢に出たのかと。やがて私は彼女の前に達した。


“ちょっと話をしようか。”

“え?話しですか?”


彼女の答えは私の予想とは違った。きっと夢で見た顔だった。あの顔がどのように笑うのかどのように泣くのか全部知っていた。それでも現実では初めて見る間だった。偶然がもたらした好奇心につい失礼を犯してしまった。


“すみません。知り合いと似てるからつい。”

“大丈夫です。”


彼女は私の答えを聞いても席にじっとしていた。


“あの…私がまた失礼な事でも?”

“いいえ。ただ。”

“ただ?”


彼女は返事をできず、周辺を見回した。彼女の瞳は私の瞳と出会ったが、さらに遠くを見つめた。迷う表情。夢では見たことのない顔だった。


“私も同じ考えをしました。”


強い予感が私を導いた。私が今彼女を通り過ぎていってもいつかはもう一度会うようだった。そうならば。


“持田です。”


“私は…大雪です。”


根拠のない夢と偶然に依存した出会いだったけど我々は考えより、平凡に出会いを続けた。私たちは主にカフェで時間を過ごした。


“私お酒飲めないの。”


って理由だった。私は夢の中で大雪を見た事を率直に話した。彼女が尋ねた。


“夢の中の私はどう?”

“何の意味で?”

“今あなたの前にいる私と比較したとき。”

“大きく違わないと思う。”


大雪は私の答えに満足していた。私は東洋についても話した。カフェの窓の外で空色ビートルが通り過ぎた。彼女は東洋について興味がなさそうに見えた。


“次に紹介してあげる。”

"うん。そうしよう。”


大雪と一緒にいる時には私の人生がとても完全と思われた。真っ先に父の態度から変化を実感した。


“最近いいことあったかい?”

“はい。少し。”


父は私を呼んで食卓に座らせた。その上には、聞いてみたことのある会社の名前が書かれた紙が何枚置かれていた。


“そろそろ新しい仕事を探してみなければ。”

“あ。そうか。仕事…”


正直に思っていなかった。今は大雪と過ごす時間の方が大事だった。


“父さん。もしまた仕事始めたら何か変わるかな。”

“どうしたの?いきなり。”

“少し、心に入ってきたことがある。”


父は手を書類の束の上に置いた。ちょっと前まで笑っていた父の表情が変わった。父の眉間にしわができた。私が失言でもしたのだろうか?


“女の話か?”


取り調べを受ける気分だった。私は父の視線を避けた。


“いいよ。これはあずかっておこうよ。”


父の手の近くに置かれたグラスに盛り込まれた氷が溶けて出す音が冷たかった。冷たい視線と雰囲気。十年以上この家に住みながら感じたことがない温度だった。


“今はそれでいい。だがあまり深くはまったらいけないよ。今まで大変だった記憶を補償を受けていると思え。その以上は危険だ。”

“らしくないね。”

“そうかな。年取ったら、心配が多くなるんだ。次に紹介させてくれるかい?”

“いいよ。東洋と先約が終わったら。”


ちょっと前まで冷たいと思った家の温度は再び元の姿を取り戻した。私は部屋に入って東洋に連絡した。


“今仕事に葬られて死にそうなんだけど。ご用件は何ですか。”

“本当に愛想ないね。俺だよ。”

“知ってる。”


大雪と会ってから一度は紹介してあげるつもりだった。君が言った言葉が事実になりましたと話したかった。少しはありがたい気持ちがあった。


“明日時間ある?俺がランチ奢るよ。”

“3千円以下では遠慮しとく。”

“聞かせてあげたい話もあって。”

“ならイケハヤのてんぷら定食で。”

“いいよ。12時に駅前で。”

“うん。変な話は持ってくるな。”


そして大雪とも約束をした。電話で話す時なぜか緊張してしまった。大雪が私に言った。


“いつかは紹介してくれると推測した。”

"そう?東洋については話したことないのに。”

“幼い時から友達だったから。”

“迷惑だったかな。”


けいたいの反対側から大雪が小さく笑った。


“私にこんなことが出来たとは夢のようで少しドキドキします。”

“悪いやつではないから。”


大雪を出会ってから世界の色が変わった。ベージュ色の布団と枕。青色のスリッパ。銀色のけいたい。父さんが着る服の色や玄関の前にある自転車の色。さらに、暗い夜の色も鮮明に感じられた。おそらく気分が良いからであろう。


それで午前に家を出た時どんな不幸が私の前にいるか全く考えなかった。


私は私は土曜に位置を尋ねた。


“まったく、今行ってるから待ってろ。”


思えば不幸の人生だったのに、いつから夢を見始めたんだろう。


東洋と電話を切ってから再び大雪に電話をかけた。


“今どこなの?”

“ほとんどだよ。今横断歩道の前だよ。”


私は正面に視線を向けた。大雪の姿が目に入った。その顔は人たちの群れの中でも特にはっきりと見えた。そして車道でも目に熟した車一台を発見した。東洋の車だった。その姿もまた鮮明だった。


だが。


なぜ東洋は腹立った表情をしているのだろうか。不足な私の想像力では、これから起きる出来事を描くことができなかった。しかし、体が震えた。


信号が緑に変わって人たちが一斉に動き始めた。その中で異質的な動きが一つ。停止ライン前のに止まっていた東洋の車が走り出た。


何で私は2人を合わせさせようとしたのだろうか。東洋の車は大雪に向かって進んだ。


やがて車のバンパーが大雪の身体に触れたし彼女は空中にうかび、地に落ちた。人たちが混乱の中で、救急要請をするうちに私は世の中が再び灰色に変わることを見守ることしかできなかった。


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