表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺とアリスの異世界冒険手帳~ショッピングモールごと転移したのはチートに含まれますか!?~  作者: 底辺雑貨
二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/510

65 快晴

 空は、快晴だった。


 あれだけ降っていた雨が嘘のように、眩しい程に陽が射していた。


 元の世界ではそのような感想を一つ、それと雨に濡れた傘を干しておけば事足りていたが、この異世界ではそんな訳にもいかなかった。


「出でよ鎌鼬!」


ザシュザシュッ!


 俺は集会所の周りでウロウロとしている雨の寵児とも言うべき死ビトをX字に斬り刻み、そのままアリスやアナとともに集会所の入り口の前まで走った。


「あら、アリスとウキキ様。ご機嫌いかが?」


 ゴテゴテとした趣味の悪い馬車の上に立っているレリアが、腕を構えたまま俺とアリスの名を呼んだ。


「様!? どうしたレリア? なんで俺に様が付く!?」

「レリアは認めた年長者には敬称を付けるんだ。良かったなウキキ殿、認められたらしいぞ」


 隣でアナが解説をすると、アリスがフワリと馬車の上にジャンプをした。


「久しぶりねレリア! 相変わらずヒラヒラミニスカートの中はカボチャパンツね!」

「当たり前のように捲らないでくれるかしら……。アリスは今日は可愛い恰好してるわね、前はもっと野暮ったい感じだったでしょ?」


 レリアは、アリスの長袖の白いシャツと黒いキュロットスカートを眺めながら言った。

 当然、黒タイツも着用しており、その姿はアリスの基本スタイルと言った恰好だった。


「あ、パーカーとジーンズに着替えさせるの忘れてた……」


 2人のかしましトークを聞きながら、俺は言った。

 ミニスカートで森の中を歩いたり走ったりしたらケガをしないか心配だったが、まあブーツがスネまで伸びているのでその心配は無用かもしれない。


「そういや、なんでアナもレリアも中途半端な防具なんだ? いや、見た目的には可愛いけど」


 2人とも全身に防具を着込むわけではなく、所々に着脱しているのが気になっていたので聞いてみた。

 ゲームや漫画などではよく目にする恰好だが、実際にその露出している手薄な部分を見ると心配になった。


「ああ、これか。これはミスリル製の鎧でな、これでも全身にプレートアーマを纏うのと同じぐらいの効果があるんだ。無論、ミスリル製を全身に着込めば防御効果は上がるが、動きやすさを考えてわたし用にあつらえた物だ」


 と、アナは軽く飛び跳ねながら言った。

 なるほど動きやすそうで、着地した際の石畳の地面とソルレットが奏でる音もどこか上品に聞こえた。


 更に聞くと、レリアのも同様のオーダーメイド製で、どちらもレリアがアナの元に預けられた際にパンプキンブレイブ家から贈られた物らしい。


 いいな、俺も欲しいな……高いのかな? ってか、この異世界の通貨ってそう言えば聞いてなかったな……。


 と思いつつ、どうせなのでアナが腰に帯びている剣についても聞いてみた。


「その剣もミスリル製なのか?」

「いや、これは違う。これは領主様から頂いたヴァングレイト鋼の剣だ」

「ヴァングレイト鋼……なんともまあ、レア感のある名前だな……」

「遥か北の国で僅かに産出されるヴァングレイト鋼を、遥か東の国の名工が鍛え、遥か南の国でチチンプイプイされた物がこの剣だ。まあ、物凄くレアな物だな」

「それ、南の国必要あるのか……?」


 ボケなのかマジなのか。確信犯なのか天然なのか。その判断に迷っていると、アナは腰に携えている別の物を鞘ごと俺に渡しながら口を開いた。


「ウキキ殿、これを使うといい。そんな棒で戦われても心配で気が散るからな。わたしからのプレゼントだ」

「おお! ダガーかこれ!」


 鞘から抜くと、刃渡り30センチ程の両刃が日差しに当たって鈍く光った。

 アナの剣と違って宝飾などは無く地味だったが、相当貴重な物である事が予想された。


「綺麗な刃だな! ヴァングレイト鋼のダガーか?」

「いや……ヴァングレイト鋼ではないな」

「じゃあミスリル製か? それでも相当貴重だろうに、なんだか悪いな」

「いや、ミスリル製でもない……ただの鋼製だ」

「え、えええ……この流れで、ただの鋼のダガーか。……いや、うん。まあ、ありがとうな」


 と、俺とアナの間に微妙な空気が流れ始めたと同時に、集会所の広場へと繋がる細い道からボルサが歩いて来る姿が見えた。


「ボルサ! 大丈夫か!?」


 ボルサは革製の鎧を身に纏っている長身の男に肩を貸しており、その男の脚のケガに気を使いながらゆっくりと向かって来た。


「ウキキにアリスさん……来てくれたんですか!」

「ああ、森の上空に煙が見えてな! それより、その人のケガは大丈夫か!?」


 俺がボディバッグから包帯を取り出しながら聞くと、ボルサは少し後ろを振り向きながら、「死ビト5体が裏庭から向かって来てます!」と、黒縁メガネを揺らしながら言った。


 俺はボルサが言い切る前に包帯をアリスに放り投げ、走ってボルサの横を通り過ぎながら指示を飛ばした。


「アリス! 集会所に入ってその人に包帯を! アナとレリアは外を守っててくれ!」

「了解よ! 1人で大丈夫!?」


 俺は声を上げず、左手のダガーを掲げてアリスに返事をした。



 走りながら、俺は腰のホルダーにダガーの鞘を無理やり着け、帰り場所を無くしたバールを最初に目に入った死ビトに向かって投げつけた。


「おお、上手く頭に突き刺さったな……」


 俺のナイフ投げの才能は半端ないらしく、バールは死ビトの眉間に突き刺さりユニコーンのように角を生えさせた。


「ヴァングレイト鋼のダガーだと思い込んで……剣閃!」


 俺は左手に逆手で持つダガーで剣閃を放ち、角死ビトの首を斬った。

 しかし、それでも剣閃の威力は低いようで、首を刎ね飛ばすまでには至らなかった。


「出でよ狐火!」


ボオオォォォ!


 俺は狐火を使役し、火炎放射を角死ビトに浴びせた。

 が、頭部を焼き尽くす前に角死ビトは一足飛びで俺へと迫り、持っている剣を構えた。


「っ……!」


 俺はその構えから繰り出された刺突を頬の横数センチで避け、いや、避けきれずに僅かに掠めながら、角死ビトの口元に手を当てた。


「出でよ鎌鼬!」


ザシュザシュッ!


 二撃の斬風が角死ビトの頭部を斬り裂いた瞬間、後ろから別の死ビトが斧を振り上げた。


「なっ……いつの間に!」


 斧を持った死ビトはもっと離れていたはずだった。それが、角死ビトの相手をしている間に俺の背後に回っていた。


「おい、まさか四の月が近づいてる影響が早くも出てるんじゃないだろうな……」


 言いながら、俺は振り下ろされた斧をダガーで受けた。


「くっ……さすがに斧だと一撃が重いな……。トロール並みだったぞ! 出でよ鎌鼬!」


ザシュザシュッ!


 その瞬間、斧死ビトは頭部を襲った鎌鼬の二撃の斬風を両腕でガードした。

 一瞬焦ったが、鎌鼬はそのガードごと頭部をX字に斬り裂いて斧死ビトをその場に沈めた。


「倒したけど……ガードしやがった……」


 色んな考えが頭を巡っていた。

 しかし、俺がその考えを整理する前に、既に次の死ビトが俺の横から迫って攻撃態勢に入った。


 またいつの間にか迫られてるっ……!

 くそ、今度は槍か……ダガーで受けてから、右ストレートからの鎌鼬を食らわせてやる!

 いや、刺突をダガーで受けれるか? それなら槍の穂先をダガーで打ち弾いて槍を飛ばした方が良くないか?

 って、そんな事が出来たら苦労しないよな……。ん?……あれ、この感覚は……。


キュイン!


「閃いた! えーっと……打ち弾き!」


 久々に閃いた剣技はどうやら防御系のようで、その付けた名の通り迫った死ビトの槍を打ち弾いて飛ばした。

 回転しながら空を舞う槍がスローモーションのように見えた。穂先は二股になっており、突きだけではなく斬撃にも適していたようだ。


「おお、アドレナリンが脳を駆け巡ってる……閃き、超気持ち良い!」


 俺は快楽は程々に、武器を失って原始的攻撃方法に移行しようとしている槍死ビトに向けて右腕を構えた。


「出でよ鎌鼬!」


ザシュザシュッ!


 心なしか、一瞬だけ現れた鎌鼬の両腕の鎌が少し大きく見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ