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俺とアリスの異世界冒険手帳~ショッピングモールごと転移したのはチートに含まれますか!?~  作者: 底辺雑貨
六部 第一章

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318 黒鉄城

 黒鉄城の敷地に忍び込むのはそう難しくなかった。高い壁に沿ってそれとなく観察しながら一周してみたが、衛兵は結局正面の門の二人だけで、裏手の壁を木霊の階段でぴょんぴょんぴょんと越えるだけで侵入することができた。


 外観からもなんとなく思っていたのだが、城というわりにはこじんまりしていて、どちらかと言えば最前線に建てられた無骨な砦のようだった。閑散とした庭園には噴水も修飾された刈込もなかったし、宮廷を賑やかすような音楽も聴こえてこなかった。


 木陰に屈んで四の月がほのかに紅く照らす芝生を眺めていると、チルフィーが俺のコートのポケットから出てきて、羽ばたきながら辺りを見渡した。


「ここに皇帝が住んでるわけではないみたいでありますね」

「そうだな……」と俺は言った。「ザイルがプライベートで使ってるところなのかも」


 城は外から見る限り、三階建てのようだった。俺はチルフィーを頭に乗せて慎重に目についた窓まで近づいたが、そう都合よく開いてはいなかった。なので少し考えてから、再び木霊を使役して二階のバルコニーに上がった。そこの戸は開け放たれていたので、音を立てないように注意して入り込んだ。


 俺はすぐに部屋の扉を少しだけ開けて、長い廊下を覗き見た。やっぱりまったくひと気がなかった。ここにはザイルや招かれたアリスたちしかいないのだろうか? 俺は扉を閉めて、八咫烏で気配を探ってみようと虚空に向けて腕を構えた。と同時に、チルフィーが選手に奇策を与える監督面になって俺に言った。


「ウキキ! 八咫烏でアリスたちがどこにいるのか視てみるであります!」

「あ、ああ……今それをやるところだ……」


 八咫烏を使役して俯瞰の映像に映るマナの気配を数えると、今この黒鉄城には俺とチルフィーを除いて九名いることがわかった。俺を差し置いて招待されたのは、アリスとアナとレリアとガルヴィンとリアの五人だ。それに招待主のザイルを入れても六人なので、残りの三人は俺の知らない誰かということになる。


「ずっと下のほうに二人いるっぽいな……」

「地下ってことでありますか?」

「ああ、たぶんな……。あとの七人は三階にいるっぽい、こっちがアリスたちだな」


 俺は緩みきったゴムのように緊張感なくドアノブに手を伸ばした。この城の気配は見切っている、だから今のところ警戒する必要はなかったはずだった。しかし、取っ手に触れる前に扉がすうっと外側に開いた。背筋に悪寒が走り、ゴムが一気にぴんと張り詰めた。


「っ……!」


 僅かに開いた扉の隙間から、一つの大きな目がこちらを覗いていた。本当にただの目玉でしかなかった。野球ボールほどある、瞳の黒い目玉だ。

 咄嗟にドアノブを勢いよく閉めると(だって怖すぎる)、しばらくしてから走ってくるような足音が聞こえ、それがぴたっと扉の向こう側でなくなり、すぐに不気味な声が響いた。


「みいつけた……」


 俺はチルフィーと目を見開いて見つめ合った。チルフィーは尋常じゃないぐらい恐怖に怯えた目をしていたし、俺も同じだったと思う。チルフィーは速攻で俺のコートのポケットに頭から飛び込んだ。そして頭隠して尻隠さずの状態でぶるぶると震えだした。


「あ、あとはウキキに任せるであります!」

「ズッ……お前ずるいぞ!」


 できることなら俺も誰かのポッケに隠れたかった。誰でも構わない、巨人のように大きな奴の大きなポッケだ。そしてそこで恐怖が去るのを目をつむり耳を塞いで待ちたかった。しかし、閉めた扉はすぐにまた開かれた。


「うわああああああああ!」


 俺の絶叫が向かった先には、黒い着物姿の女がいた。背丈は俺より少し大きい百七十ちょっとで、長く真っ白い髪をツインテールにしていた。そして、匿名性を帯びた白いバンテージのようなもので目を覆い隠している。それが俺の想像心を掻き立て、彼女を恐ろしく思いながらも一段上の美女として仕立て上げていた。


 女は小鳥を扱うように目玉を手のひらに乗せていた。目玉がぎょろりと俺を睨み、女の口が開いた。


「賊でありんす。ヌシサマに知らせるアルよ」と女は言った。花魁の言葉を間違って覚えた中国人のような感じだった。


 何も言えずに固まっていると、チルフィーが避難先から飛び出て、勝ち誇った顔で女を指差した。


「ウキキ、この女の人は精霊であります!」とチルフィーは元気よく偉そうに言った。「中級なので安心するであります! 上級のあたしがウキキを護るのであります!」


「いや今さらかよ……お前おパンツ様丸出しでビビりまくってただろ……」

「気のせいであります! さあウキキ、あたしに任せて少し下がってるであります!」


 チルフィーの面目を保つために、俺は言われたとおり後ずさった。すると背中に何かがぶつかった。誰かがそこに空間転移していたみたいだった。そして振り返る前に腕を取られて、捩じ上げられて関節を極められてしまった。


 骨がきりきりと痛む。「このまま殺されても文句は言えんだろう。もっとも、死ビトになったら口をきけんがな」と男は言った。


「……ザイルか?」と俺は前を向いたまま訊ねた。答えはなかったが、声からも、そして圧迫するような空気の質からもそれは明らかだった。


「長い帝国の歴史のなかで、この黒鉄城に賊が入ったのは二度だ。一度めは女だったと聞いている、まんまと逃げられたらしいがな。だが、おれがこの城の主になった以上そうはさせん」


 俺はふと、元の世界に戻ったときに金獅子のカイルと姉貴が話していたことを思い出した。


 『出会った時のことを思い出してしまったわ。あなた、いきなり私に剣を突きつけたのよね』

 『一応帝国の騎士デシタから。シカシ、まさか十七の可憐な少女が帝国の中枢である黒鉄城に盗みに入るとは思いませんデシタヨ』

 『今では、すっかり違うものを私に夜な夜な突きつけてくるのにね』

 『昨夜のキミもすてきデシタヨ、マイハニー』


 なんだか余計なところまで引っ張り出して嫌な気分になってしまった。やれやれ、と俺は思った。そっか、姉弟で同じ場所に忍び込んで、それで捕まった相手も同じ兄弟ってことになるのか……。


「ど、どうだろう……?」と俺は締め上げられている腕の痛みに耐えながら声を吐き出した。「逃げられたっていうか、甘い騎士が事情を汲んで逃がしたんだったりしてな……?」


 僅かに腕の軋みが緩んだ。俺はその一瞬で躊躇なく幻獣を使役した。


「出でよ鬼熊!」


ガルウウウウッ!


 手加減フックを放ったが、ヒットはしなかった。大雑把な性格の鬼熊のせいか、狙いが上手くつけられなかった俺のせいかはわからない。あるいはザイルが鮮やかに躱したのかもしれない。しかし、いずれにせよ彼は俺の腕を放し、ある程度の距離が生まれた。俺はすぐにチルフィーを腕に抱え込み、黒い着物の女を押し退けて部屋から脱出した。


「舐めるな」


 背中に衝撃を感じた。俺が覚えているのはそこまでだった。





 俺は夢を見ていた。中学の学ランを着ているので、たぶん夢なのだと思う。

 居間でテレビを観ていると、とつぜん姉貴が入ってきて、俺の額にA4サイズの茶封筒を叩きつけた。封はもう開けられていた。


「見なさい」と姉貴は言った。なんだか凄く怒っているようだった。ハイ、と俺は姿勢を正して返事をした。


 ぺらぺらな用紙の真ん中に、簡潔で事務的な一文が印刷されてあった。俺はそれを声に出して読んでみた。


「『書類及び写真選考の結果、残念ながら貴意には添いかねる結果となりました』……なんだこれ?」


 姉貴は深々とため息をついてから俺を睨みつけた。


「あんたはアイドル事務所の選考に落ちたのよ。まったく、私に恥をかかせてくれたわね」

「いや、俺そんなの送ってないぞ……?」

「私が送ったに決まっているでしょ。『姉に勝手に応募されたんです(笑)それで気づいたらアイドルやってました(笑)』ってありがちなことが本当にあるのか試したかったのよ。けれど、あんたは面接にすら辿り着けなかった。罰としてお小遣いで私に何かプレゼントしなさい」


 そこで俺は目を覚ました。真っ暗な部屋で仰向けになって横たわっているようだった。鉄と油のにおいがする。かなりの時間ここで呼吸していたようで、においが鼻の奥まで染みついていた。


 濃厚な闇の深遠をなんとなく眺めながら、俺は姉貴に何をプレゼントしたんだっけなと考えた。そうだ、ミニモニじゃんけんぴょんだ。次に日に畑のカラス除けに使われていた気がする。


 暗闇に目が慣れてくると、俺の顔と天井のあいだに何かあるのに気がついた。やがてそこに輪郭が描き出され、人の顔が浮かび上がった。誰かが隣に座って俺の顔を覗き込んでいるのだ。


「可愛い顔でありんす。食べちゃいたいアルね」


 目を覆われた顔がぬっと近づき、俺の額に口づけをした。そして伸ばされた舌がぺろぺろとそこを舐めまわした。


「う、うわああああ!」


 俺は跳ね起きて、可能な限りの後退をした。しかし、それはたかだか五歩分ぐらいのものでしかなかった。思った以上に狭い場所みたいだ。壁を背にして着物の女の動きを注視していると、ドアが勢いよく開いてチルフィーが飛び込んできた。


「こら中級! ウキキをいじめたら駄目であります!」


 着物の女は正座からすっと立位になり、子供のように両手を広げて部屋のなかを走りまわった。「怒られたでありんす~。逃げるアルね~」、そして部屋から出ていった。


「お……おい、あいつ俺を喰おうとしたぞ……?」

「ゴッコでありますよ、人を食べる精霊なんていないであります。いてもごく稀であります」

「いやいるのかよ……」


 チルフィーが明かりを灯してくれたので、俺はあらためて部屋のなかを見まわした。特に何もない、薄汚れた漆喰の壁に囲まれた四畳程度の場所だった。


「で、ここはどこだ? ザイルに捕まって牢屋に放り込まれたってことか?」

「捕まったのはあってるでありますが、牢屋ではないみたいであります。ここは黒鉄城の地下で、なんだか武器工房みたいなところであります」


 武器工房? ドアから外を覗くと、たしかにだだっぴろい空間に古臭くも情趣深い炉が設置されていた。使い込まれた金床や鍛冶道具もあり、そして剣や槍がいくつか壁に立て掛けられていて、さらに長い銃身のようなものまで大きな作業台に放り出されていた。

 その作業台には突っ伏して眠る二人の男の姿もあった。見るからに鍛冶師のような格好の男と、くすんだ色合いの白衣を纏う化学者ふうの男だった。どちらも一仕事終えたあとのように、どこか満足げないびきを工房に響き渡らせている。


 ふいに、奥の階段から下りてくる足音を俺の耳が聞き取った。すぐにザイルが階下まで下りてきた。


「起きているな。ついてこい、これから門の外に出る」


 彼は変わり映えのない平坦な声でそれだけを言い残し、いま下りたばかりの階段をまた上っていった。





 平原を走る馬車の客室の窓を、夜の世界の木々が間断なく横切っていった。それは永遠に連なる影絵のようにも見えたが、終わりはきちんとやってきた。


「俺をどこにつれていくんだ?」


 きっと今ほど訊ねるのに適した瞬間はなかったと思う。だがザイルは何も答えなかった。黙って俺の正面の席で脚を組み、本を読み続けていた。


「無視でありますね」とチルフィーが言い、彼のブーツのつま先に降りた。やはりまだチルフィーのことが見えていないらしく、それに対しても無反応だった。


 やがて短い橋に差し掛かると、馬車が振動もなくぴたっと停止した。目的地に着いたわけではなく、橋の向こう側を彷徨う死ビトの群れが過ぎ去るのを待っているみたいだった。


「ウキキ、大罪を犯したお前には三通りの未来が待っている」


 この馬車に乗り込んでから、初めてザイルの目が俺を捉え、口が音を発した。でもあまり喜ばしい内容とは思えなかった。


「大罪? 黒鉄城に侵入したことか?」

「あの城は機密の宝庫だ。この死ビトを寄せつけぬ馬車も、着想から試作まですべてあの地下で行われた。賊に聞かせてやる話ではないが、まったく新しい試みを用いた武器の開発も実を結びつつある。縁故も招待状もない者が入り込んでただで済む場所ではない」


 俺はまた窓から外を眺めながら、ため息をひとつついた。


「なんで『談話』の場所にそんなところを選んだんだよ……。ってか、もうとっくにアリスたちからガーゴイルの件を聞いてるんだろ? だったらこんな夜更けに二人してドライブしてる場合じゃないと思うんだけどな」

「話が呑み込めんようだな。貴様の命運は今おれの掌中にある。黙って話を聞き、そして一つ選べ」


 栞を本に挟んで脇に置き、彼は三本の指を立てて俺に見せた。しかし、すぐに一本は折りたたまれた。


「三通りと言ったが、そのうちの一つは既に潰えた。地下に二人いただろう? あいつらはお前のようなヒョロはいらんそうだ。それでお前が生涯あいつらの下男としてあくせく働く道はなくなった」

「そりゃ残念に思うよ。でも、だったらそんな落ち込むようなことは告げずに、最初っから二つってことにするのが親切心ってものじゃないか?」

「二つめは北の大地――と言えばわかるだろう。お前はそこに連行され、開拓に励むことになる。そして吹雪に震えながら凍え死んでいく。あるいは未知の化物に食われてその命を閉ざす」

「三つめは?」


 ザイルは脚を組み替え、ほんの少しだけ間を置いた。その仕草や話の流れから、俺は最後を選ぶしかないのだと決めてかかっているようだった。


「おれの配下につき、これからの一生をすべておれに捧げろ。働きによってはいずれ側近に置いてやらんこともない」


 彼はまた本を手に取り読みだした。おれはどちらでも構わん、とページのなかの一文を口にするようにザイルは言った。


 俺はその二つについて考えた。北の大地で甥の同僚になるか、それとも帝国でザイルの部下になるか……。迷うまでもなかった。このどちらかなら、そりゃ未来の皇帝陛下の下につくことを望むに決まっている。元の世界で職を失ったばかりの俺としては、かなり悪くない就職先ではないだろうか?


「北の大地に連れていかれるわけにはいかない」と俺は言った。「まだまだやることがあるし、それにもしそうなったらアリスまでくっついて来ちゃうだろうからな」


 ページが音もなく捲られた。ザイルは口角を上げ、ふっと笑った。


「ならば、まずはおれの役に立つことを証明して見せろ。この馬車はじきカイマール平野に入る。そこで馬車の事故があり、動けなくなったと連絡があった。周りは死ビトだらけだ。月の欠片が尽きれば一斉に襲われ、積み荷も駄目になってしまうだろう」

「つまり、俺たちはそれを助けに向かってるってわけか?」


「そういうことだ」とザイルは言った。「ウキキ、お前はそこでおれよりも多くの死ビトどもを仕留めて見せろ。それができればおれが叙任して帝国騎士の称号をくれてやる。第一継承者の側近がどこの馬の骨とも知れぬ胡散臭いのでは恰好がつかんからな」


 なるほど、本当に悪くない話かもしれない。俺は心配そうに俺の顔を見ているチルフィーに向かって微笑み、首を横に振った。


「悪いけどそっちも断らせてもらうよ。救助には協力する、だけどあんたの部下にはなれない」


 ザイルはまた本を高級ソファーのような座り心地の座席に置き、俺の顔を見た。今度は栞は挟まれていなかった。


「何もわかっていなかったようだな。お前は二つに一つ、それしか選択の余地はない」

「そんなことはないはずだ」と俺は言った。「だってあんたは『縁故』も『招待状』もない奴がって口にしたけど、『縁故』ならちゃんとあるからな」


 俺は続けて口を開いた。影絵の終わった窓の外を眺めてもつまらないし、それにあえて間を置く必要もなかった。


「アリスたちから聞いてなかったみたいだな。あんたの実の兄――カイル・セブンハートはいま俺たちが元いた世界にいて、そんで俺の姉貴と夫婦になってるんだよ。だから俺は最強の幻獣使いの義理の弟で、あんたは弟の写真を勝手にアイドル事務所に送って、それで落選したら怒ってプレゼントをせびる酷い女の義理の弟ってわけだ。どうだ? 立派な『縁故』だとは思わないか?」


 ザイルは眉をひそめて俺のことを見ていた。こいつもこんな表情をするのだと、変なところで感心してしまった。


「つまり、俺たちは義理の兄弟ってわけだ。俺が二十一であんたがたしか……二十六だったよな? だから義理の兄の称号はあんたにやるよ」


 彼には思いを巡らせる時間が必要みたいだった。それはおそらく、カイルへの想いが多くを占めているのだと思われた。自分と違い、頭髪の色が金だったために、幼少の頃に継承権を捨てざるを得なかった兄について。


 やがてザイルは呟いた。「そうか、カイルは今この世界にいないのか……」


 それからまた沈黙が続いた。好きなだけ思考に耽らせてやりたくもあったが、そういうわけにもいかなかった。俺にはちゃんと聞いておかなければならないことがある。


「ザイル……俺はあんたからはっきりと答えを聞きたいことがあるんだ。アリスたちがいない今がベストだと思う」

「……聞きたければ好きにしろ。答える保障はないがな」


 それでもいいよ、と俺は言った。そして必要な分だけ息を吸い込んだ。


「……俺の継承権は第何位だ?」


 ザイルは顔を大きくしかめた。こいつはこんなことだってできるのだ。


「……あるわけないだろう。カイルの義理の弟だか知らんが、そんな――」


「あんたは飛来種に取り憑かれてる」と俺は逸らした脇道からストレートに言った。身構えられた反応ではなく、その奥に潜むものを見定める必要があった。「カイルはそう言ってたよ、偽りの弟だって……。今のあんたは誰なんだ? ザイル・ミリオンハート・オパルツァーじゃないのか?」


 チルフィーが驚きながら俺の顔を見て、ザイルの顔を見て、そしてまた俺の顔を見た。それから可愛らしい驚きの表情を再度顔に浮かべた。その先にはリアがいた。リアはいつの間にか俺の隣に座っていた。月の女神にとって、距離はそれほど重要ではない。いま俺の隣にいるということは、その必要性があるのだろう。


 気づけば馬車は動き出していた。カカカカ、とそいつは笑った。


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