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118 物質変換


「魔力と扉の話を読んだ事は?」

「聞いた事ならある」


 ただ今アイルズと操作魔法の授業中です。

 ユアンはいつも通り隣室で待機してる。正直言って、今はそれどころじゃなく楽しみ!

 だってだって、ようやく操作魔法らしくなったんだよ!物質変換は魔力の蓄積により出来る幅が広がるとか例えば……私魔力オタクっぽくなってない?

 魔力オタクって何ぞ。


 ま、まあとりあえず、私は今日、魔法使いっぽいローブを羽織って、黒髪を結んでここまで来たわけよ。

 うわあ、めちゃ楽しい。


「魔力と扉の実験は、数多くやられている実験です。扉に限らず、壁や板などの実験もあります。そこでなのですが、物質には必ず魔力が微量に含まれているというのをご存知ですか?」

「いや、知らないな」


 そんな本あったっけ?アイルズの本……は、あれは物質変換の事は書いてなかったのか。

 今日貰った。ふふふ、帰ったら超特急で読破しよう。この本物凄く細かい字で五百六十八ページ(目次入れたら六百ページ以上)あるけど、多分大丈夫!


 ところで物質に魔力が微量に含まれているって言うなら……んん?


「魔力の含まれる量によって、物質の在り方が変動します。そこに魔法というものをかけて更なる変動を呼び掛け魔力を含ませて初めて物質変換、となります。魔力に種類があるのは教えましたね?」

「言っていたな」


 具体的には種類と言うより、発する魔力の量で色々と効果が異なるってだけ。

 水魔法・火魔法・土魔法の三種類は激しく量と効果が違う。で、それが何。


「含ませる魔力の量が物質変換にはとても重要だ、という事です。そのため魔力の量が少ない人には、操作魔法は向きませんね。向き不向きがあるとしたら、そこです」

「ほう。具体的に教えてくれ」

「水滴を泥土に変えるには少量の魔力でいいのですが、火に変えるのならば大量の魔力を必要とします」

「なるほど……マッチの火を土に変えるのは魔力が大量に必要だが、水滴に変えるには少量でいいのか」

「……何故マッチの火を水滴に変えるのに少量でいいと?」


 アイルズが訝しげに聞いてきた。これはかなーり力の入った論だよ?


「空気中の水蒸気を持ってくればいいんだろう?簡単じゃないか」

「よく分かりましたね。感心します。ではマッチの火を水滴に変えるための魔力量を10として、土に変えるためにはどれくらい必要でしょう?」

「あー」


 ザッと五倍は必要だと思うから、50、いや、それだけで土に変わるか?50の振動なんて大した事無いぞ?

 っていう事は、あー、えーと。


「80……くらいか?」

「152.489です」

「細かいな!もっと大雑把でいいだろう」


 それにしても152って。多過ぎでしょ。可視化の何倍なの。計算するのも馬鹿馬鹿しくなってくるよ。

 まあ、可視化が微調整が必要な微量ってだけで、氷塊なんて89は使ってる(予想)から、特別多すぎるってわけでもないんだけど。

 私が普段使いしてる魔法が可視化だけだからね、多く感じちゃうけど。


「ちなみに魔法様の魔力は数字を超越していますので、操作魔法は勉強さえ済ませてしまえばすぐに使えると思いますよ」

「そこの心配はしていない。ただ驚いただけだ。だが、そこまで違うわけか」

「ええ。量によって様々な物質に変わりますので、勉強した後に危険のない範囲で試してみるのも良いかもしれません。絶対に私の近くで試してほしいですがね」

「……分かった」


 ユアンが居れば大丈夫なような気がするけど、ユアンは操作魔法、分からないからね。大惨事になった時対処できないからね。

 しゃーないなあ、実験は宮廷で……爆発とかしないよね?壊したくないよ?


 その後、詳しく物質変換の事を聞いた。


 まあ大雑把に言えば、魔力量によって振動を起こし変わる物質。これ、魔力量の微調整によってかなりの変化が起きると考えられている。

 もちろん器用な研究者が微調整してどれくらい変わるかってやってみているけど、出来ても千分の一まで。私ならもっと出来るかなとは思ってるけど、そこまで絞っても大した変化はないと思われる。

 みたいなね。


「ところで、最近他の事はどうですか?」

「魔法は訓練している。これからは剣は護身用程度にしようかと思っている」

「ほう、何故?」

「魔法の方が楽しいからだ」


 単純だけど、こっちの方が面白いでしょ?だったら魔法の方が良いじゃん。

 アイルズは私の答えを聞くと、にこりと笑った。


「あなたらしい。幸いあなたは魔法に向いているようですし、良いのではないですか?兵長殿は寂しがるでしょうけれどね」

「ビサはそこまで寂しがらない。寂しがったとしても、私も上達したいんだ」

「せっかく昇進試験があるのに、教えてあげないのですか」

「さあ……どうだろ」


 最近ビサと会ってないし、そこらへんの事は分かんないや。どうしてもって言われるんだったら考えるかもしれないけど。

 でも、どうだろう、私も魔法頑張りたいし。


「兵長殿が可哀想ですねえ……私としては嬉しい所があるのですが」

「は?」

「あなたが魔法に集中すると、会える時間が増えるじゃないですか。それが嬉しい所です」

「嬉しく思ってもらえて何よりだ。では、失礼する」

「はい」


 廊下に出ると、ちょうどユアンが出て来たところだった。

 ユアンの過保護っぷりには呆れてため息が出るよ。


「何もされませんでしたか?」

「何にも。今日のは楽しかったよ~」

「では魔王様、さようなら。またテストの日に会いましょう」

「ああ、失礼した」


 と言うわけで、宮廷から帰った。途中ユアンがしつこく色々聞いて来たけど、適当にあしらいました。


 ……この本、読めるかなあ……。

閲覧ありがとうございます。

今回の話はずっと書きたかった話なので書けて嬉しいです。

次回、しびれを切らして直談判に来ます。

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