表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/246

114 考えるまでもない


「もう帰れ。俺も帰る」

「へ?」


 エリアスが唐突にそんな事を言ってきた。

 帰るって、まだ三時だよ?エリアスってそんな早く帰る人だったっけ?


「元々今日は早く帰る予定だったんだ。送ってやる」

「……なんで早く帰んの?」

「ビサのところに昇進試験の話があるからな」

「えっ!?昇進!?」

「それも一気にな。軍曹になれるかもしれない。今の軍曹が准尉に上がるかもしれないと言う話があり、軍曹の椅子が空くからな。無論伍長との戦いは避けられないだろうが……まあ、やらずとも結果は分かり切ってるしな」

「……」


 マジか。

 いやね?確かに私初めてビサに色々言った時、昇進させてやるとか言ったよ?

 言ったけど、さあ……。いざ昇進します!ってなると、まあ私の手柄ではないんだけど、誇らしくなるよね。

 そっか。

 昇進試験、ね……。


「嬉しいなあ」

「まあ、お前の弟子だからな」


 へへ。

 ちょっとは自慢してもいいかな~。そうだ、ニフテリザとかに自慢してやろう。って、神様に軍曹になれるかも!って言ったところで自慢になるのかなあ……。

 この後、色々話しながら家まで送ってもらった。話の内容は、完全に雑談だから省く。で、屋敷に着くと偶然玄関近くに居たユアンに引き渡される。


「どうしたんですか、早かったですね」

「エリアスがもう帰るって言うからね。あ、そうだユアン、ビサ、昇進できるかもしれないって」

「本当ですか?」

「うん。軍曹」

「へえ、あの方が」


 ユアンが目を細めた。ユアン、他の人の事になると全然興味無さそうなのに、ビサとコナー君とお兄様に対してだけは関心があるような態度なんだよね~。うん、まあ、特殊だし当たり前っちゃ当たり前か。


「じゃあね、エリアス。送ってくれてありがとう。今度お礼するね」

「するな。余計な事しかしなさそうだ」

「酷い。んじゃ、ビサの件滞りなく進めてね」

「無論だ」


 考えてみれば、一介のお医者さんに関係のありそうな問題じゃあないんだけど……いいでしょ。エリアスだもん。私の周りの人って、変わった行動をしても『その人だから』っていう理由で済む人が多すぎる。

 それが楽しいんだけども。

 

 この後はいつも通り行動して、レーヴィにビサの事自慢して、一緒に寝た。一日中考え抜くって決めたからちょくちょく考えてたけど、やっぱり結果は変わらなかった。


 で、翌朝。

 今日はクーストースの質問に関して考える日だね。でも、これに関しては考えようがない。だってもう決まってるし、何よりこれ以外の答えって言うのは無い。

 だから、ちょっとだけ考えたら結論を出そうかと思う。ホントにこればっかりは仕方ない。許して。

 

 クーストースの質問は、要約すると私の周りの男性が一斉に告白して来たら、って事でしょ。誰を選ぶんだ、って。

 ていうかあの中には主従関係とか師弟関係の人が居る。コナー君、少年なんて友達だし、エリアスなんて友達でさえない知り合い程度だし、ゾーロはなんか人間の枠越えちゃってるし。

 だからもう考えようがない。

 うっわどうしよう一日考えるとか言ってたのに……。


「おはよう神楽。今日も早い」

「あ、おはよレーヴィ。そだ、私三百四号室行かなきゃ」

「おお、儂も後から行って良いかの?」

「いーよ。おいで。んじゃ、先に行ってるから」

「ああ」


 私は三百四号室に行くと、ユアンが微笑んでたのでおはよう、と言ってから本を読み始めた。

 本を読む事五時間。途中休憩したり、レーヴィと雑談したりはしたけど、それ以外してない。そう、考える事さえも……!


 やばい。さすがに考えなきゃ……でも脳がそれを拒否する。「答えなんて決まり切ってるだろ!それに対してまだ考えるの!?」って大声で訴えている……。

 そうだよね、考えなきゃいいんだよ!

 だって決まってるもん!


 誰も選ばない、って言う答えが最適なんだから!

 ……でも待てよ。そのままでいいんかな?もう少し考えるべきでは。


 誰も選ばない。けど将来もし誰かいいなと思える人が居たならば、その人を選ぶ。っていう答えが最適、なんだけど。

 さすがにそれは虫が良すぎるか……?いやでもそうなんだからそれでいいじゃん。うん。そうしよう。

 ってわけで、考え終了!違う考え開始!


 そうそう、話題は打って変って魔導具の事。いいかな?うん、いいね。あのね、魔導具に魔力を注ぐと稼働するじゃない?それって、道具を介して魔力を操作していると言ってもいいと思ってるんだ。

 っていう事はつまり、魔導具に必ず書かれている魔女記号、それのどれかが魔力を道具にとって『直接』操作してる記号だと思ってる。だからそれを見つけてみたいなあと思って。まあ、私自身が直接操作するのにはあんまり役立ちはしないんだけど、そればっかりで複雑な回路を繋いでみたら、魔力の動きが見えると思うんだよね。


 七歳まで待つ、って言ったけど、その下準備くらいはしていたいからね!

 操作魔法の方は、次の授業は物質変換について教えてくれるらしいし!嬉しい!すっごい嬉しいんだ!まだ実践には及ばないけど、その理論を教えてもらえるっていうだけで、もうそろそろ実践していいって言われているようなものじゃん?

 へへ、ビサの昇進(試験)と同じくらい嬉しい。


 そう言えば、ビサ、軍曹には勝てたって言ってたけど伍長には勝てるのかな?軍曹とはたまたま相性が良かったっていうのがありそうだし。

 伍長ってどんな人達なんだろう。若いかなー。軍曹はまあまあ若い(二百二十三歳)って前にエリアスから聞いた事があったけど、伍長はもっと若いのかなー……。


 そんな感じて考えていると、あっという間に一冊読み終わった。

 次の本を取りに、席を立って本を三冊持ってくる。

 

 あー、これ、今日中に読めっかな~。

閲覧ありがとうございます。

いや本当に、ミルヴィアは考えるまでもなく誰も選べないんです。手抜きじゃないです。本当。

次回、操作魔法の授業に行きます。考える事は万智鶴の質問です。途中の二人は、答えが分かり切っているので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ