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103 再度の質問

 ゾーロの部屋に着くと、ゾーロは寝てた。暇なんだろなー。

 そろりと近付き、息を吸う。


「お邪魔します」

「っ!」


 ゾーロが飛び起き、こちらを見る。そして、見開いた目を安心したように瞬かせた。

 ははは、寝起きドッキリってやる側は面白いんだね。なんだろうこの爽快感。相手がゾーロって言うのも大きいかな。この人起きてる時は全ッ然隙がないんだもん。

 ――ユアンとかお兄様にやったらどうなるかな。

 と思ったけど、すぐやめる。怒られる。ガチで。


 ゾーロはベッドから降りると、にこりと笑った。

 ふうむ……神様は元から美形なのか、それとも神様になるとカッコよくなるのか……どっちだ。


「よく来たな、神楽。――待っていた」

「ふふ、私も楽しみにしてた、と、思うよ。忘れてたんは素直に申し訳ない」

「いいんだ。万智鶴に記憶を消されていたからな、しょうがない。それより、こっちに座ってくれ」

「お、サンキュ」


 ベッドに座るよう勧められたので、座る。おお、黒と白でシックないい感じのベッドだね~。うん、さすがゾーロ。オシャレセンスは私にゃよく分からないけども。

 紅茶が出て来た。あったかい!あったまる~。『神の間』はかなりいい温度なんだけど、白が多めだと寒く感じるんだよねー。なんでだろ。私だけか。


「最近はどう?何してるの」

「俺か?俺の事より神楽の事を聞きたい。忙しいようだが、大丈夫か?」

「私もゾーロの話聞きたいし。ちゃんと寝れてるの?夢ばっか見てない?」


 私が詰問するように言うと、ゾーロは一瞬ポカンとした後、幸せそうにふわりと笑った。

 

「……ああ、大丈夫だ。最近は良く寝れているし、神楽が来たからこれからは安眠できそうだぞ」

「そう?ならいいか。えーっと、私ね。私は全然疲れてないかなあ。楽しいのばっかりだし」


 寝れてるなら、良いか。時期的に今が一番つらい時かと思ってたんだけど、私が来ることで軽減されるならどんどん来てあげよう。

 まあ、精神的負荷がとんでもないからなるべく来たくはないんだけども。


「銀狐とも、関わってくれているようで有難い」

「……うん」


 あー、そっかそっか。

 どうしようかなー。私今まで狐ちゃんの仲間の事全然気にしたりしてなかったんだけど、マジか、前会った時狐族最後の生き残りの話聞いちゃったし、がっちり一致するし。

 どんな顔して狐ちゃんと会えば。


「あいつだけでも、救いたい。だから猫族に頼んだんだが、その巻き添えを喰らう事に」

「ストップ、ゾーロ、だめ、絶対。終わった事だし済んだ事。今はそーゆー時間じゃない。反省会は後で」

「ああ、そうだな。せっかく神楽が来ているのに、ネガティブな事を話す理由もない」


 ふふん、分かってんじゃん。

 紅茶を啜る。おおっ、これ地球の紅茶だ!名前は分からないけど飲んだ事ある(気がする)!懐かしー。


「魔法の訓練は捗っているみたいだな」

「まーねー。一時期剣ばっかりやってたから、それを取り戻してる感じかな?ビサには悪いけども」

「最初よりはだいぶ強くなっただろう」

「うん、強くなった。私もね。ていうか軍曹に勝つって」

「よっぽど神楽がスパルタだったんだろう?ちょっと聞いた話では、真剣で素振りをさせた後勝負、その後にダメ出しその上修正点を次回までに見出してこさせたとか」

「いいっしょ、ビサ特製コース」

「いや、磨り潰しかねん」


 磨り潰す、ね。

 ビサはそんな事なさそうだなーと思ったから、こういうコースにしたんだけど。それに疲れてるっぽい時はちゃんと調整したよ?


「楽しいなら何よりだ。あと、そうだ、鬼化したと聞いた時は無理やりこちらへ連れてこようかと思った」

「ははははっ!そだね、ありゃー皆驚くわな。特にニフテリザなんて慌てふためいてたと思うよ?くくく。あの後ユアンが戻してくん無かったら、本当にそうしてたかもねえ」

「……青髪」

「あ」


 なんだろう、言っちゃいけなかった感じかな?あれか?男の人と話す時は他の人の名前出すなっていう?無理くね?お話しに来たのに?

 きょとんとしていると、ゾーロが口を開いた。


「神楽、青髪と、何があった?」

「………は?」

「ニフテリザからは少し聞いている。口移し、あと神楽が警戒もせず夜中男の部屋へ行った事」

「それは申し訳ないと思ってます」


 それ、いろんな人から怒られてんなー。結局何もなかったのになあ。

 私もユアンが何もしないと思ってたから行ったわけで。


「けど、お前の心境は知らない。青髪の事が好きなのか、それとも全く関係ないのか、それとも別の誰かなのか?」

「誰でもない。ゾーロ、あのね、恋バナしたいのは分かるけど、逆ハー状態だし。けど私は誰も選ばないよ。ユアンは好き。親愛としてね。アイルズもそうだよ」

「けれど、俺は神楽が傷付いて欲しくはない。執事はお前を手に入れようとしているだろうし、青髪だって同じだと俺は思う。神楽がその結果、傷付くのは俺は嫌だ」


 驚くほど真っ直ぐだなこの人は!

 私は苦笑しながらゾーロの方を見た。なんで私なんかに付いてきたがるんだろうなあ、皆。


「……神楽、前に俺が聞いた事を、お前は忘れているだろうからもう一度問う」

「何?」

「もし俺が道に迷い、傷を負って、立ち止まっていたら、お前はどうする?」


 何それ?全然聞かれた覚えがないんだけども。あー、私結構いろいろ忘れてんだなあ。

 ま、いっか。


「道は自分で決めてね、手当も私は出来ないけれど、でも一緒に歩くために肩は貸してあげる、って言うよ」

「……」


 ゾーロが目を見開いて、その後ふっと笑った。


「王様らしくなったな」

「魔王だもん」


 私は笑って、目を細めた。

 この前はなんて答えたんだろなー。


「――ゾーロ、いつまで話してんの、そいつと」


 ゾク、と悪寒が走る。背後から感じる視線が痛い。振り返りたくない。

 恐る恐る、後ろを見た。


 蜘蛛が、獲物を見る目で、こちらを見ていた。

閲覧ありがとうございます。

ゾーロの質問、前に答えたのが『特別編 笑』で書かれています。よろしければどうぞ。

次回、トワルと直接対決です。一応ゾーロ編になってます。

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