特別編 酷
今回、少し読みにくいかもしれません。
あと彩里の性格最悪です。ご了承ください。
神楽は、嫌い。
だってうじうじしてるし、楽しんだ方が人生(?)楽しーのに。なんであんなふーにヘンな目で見るんだろー。
こっち見て、静かに目線を外してたしなー。よっくわっかんないや。あれ、ケーベツって言うんだよね。気分悪ーい。
「でー、トワルちゃん、何やってるの?」
「分かってないなあ彩里は。魔王の周り掻き乱してるに決まってんじゃん」
おお、さすがトワルちゃん。
でも、えぐいねー。私は全然いいんだけど、好きな人に嫌われるかもなのにどーしてそういうことするんだろ?謎だな。
私はじーっとトワルちゃんが開いてるパネルを覗き込む。そこには複雑な円グラフや比率とかいろんな数字が描かれていた。トワルちゃんはそれを細かく操作していく。心底楽しそうな意地悪い笑顔を浮かべながら。
……くだらな。
「じゃーねー」
「うん」
私はトワルちゃんのとこから離れると、ゾーロのとこに行こーと思って歩き出す。
ゾーロ、どう思ってるんだろーなー。自分の事大っ好きな人が、自分が大っ好きな人を傷付けてるーって。そもそも知ってるのかなあ?
てくてくと歩いて、ゾーロのところまで来た。ちなみに距離は、六千二百キロだよ!
ここん
「何だ」
「しっつれーい!」
「……」
ゾーロが寝てた体を起き上がらす。あれ、起こしちゃったかー。あ、や、最近ずーっと寝てるんだっけ?怠け者だなー。
そこまでして神楽に会いたいかー。どーしてそんなシューチャクするんだろ。むつかしいのは分からないな。好きだからってここまでされて、神楽、迷惑じゃないのかな?
「何の用だ?」
「んん、トワルちゃんがね、ずーっと感情操作してるからね、誰かに言っとかなくちゃーって思ったんだ。万智鶴さんから言われてたしねー」
「ああ……」
ゾーロがあからさまに顔をしかめた。こっちを見ながら、私の様子を見てた。
多分観察されてるんだろうなー。いーけど、恥ずかしーや。でもでも、やっぱりゾーロも大変だなー。万智鶴さんはゾーロにトワルちゃんの管理するように言ったんだもんねっ。
「それで、本当は何しに来た」
「ほんとう?」
何言ってるんだろう?ほんとう、って、ほんとうに今、トワルちゃんがいろいろやってるよって言いに来ただけなのに。
きょとんとしてると、ゾーロは深い溜息を吐いた。わあ、仕草がお医者さんに似てて面白い。
「そうだったな。お前は悪気はないんだったな」
「悪気?ないよ?代わりに善意もないけど」
ほんとうの事を言うと、ゾーロは嫌そうにこちらを見る。なんでだろ?正直に答えても嘘ついても睨まれちゃうんだもん。
もっと、ぱーっと生きればいーのに。神楽もゾーロも、トワルちゃんも万智鶴さんも。ニフテリザだけだよー、守る物は大切な物だけって公言してるの。
大切な物だけ守るっていうのは、すっごく大変なんだよ?
火事になっても、家族が助かればそれでいいって言いきれる?
預金つーちょー、持って来たいとも思わない?
大切なネックレス、持って来たくない?
それで持って来たら、ついでに高級な腕時計とかも持ってきたくなっちゃったり。
その結果、大切な家族を傷付けるんだよー。
「もういい、行け。トワルの事は俺がどうにかしてやる」
「……はあい」
うー。やだなー。もーっと『もういいよー』って言ってくれればいいのに。
トワルちゃん、人の感情操作は操作されてない人にも影響があるって、わっかんないのかなー。カンタンなのに。
人が傷付いたら違う人が傷付く、これ基本。
わわ、なんだか久々にやりたくなってきちゃった♪
「じゃーねー、ゾーロっ!」
「ああ」
どうしよっかな、やろっかな。でもでも、やっちゃったら万智鶴さんに怒られるかなっ?
ああ、もういいや、やっちゃえっ!
クーストースからもらった門を開いて、時空間移動を行う。
緑がいーっぱいで、お花が咲いてて、小さな丘になっている。小さな家がぽつぽつと建っていて、今は人が居ないけど、きっとずっと前は人が住んでたんだろうなー。きっと、大事な大事な思い出があるんだね。お父さんとぎゅーってしたり、お母さんとお父さんの帰りを待ったりねっ!
お友達もいたんじゃないかなあ。楽しく遊んでたんだろうなー。
あの丘で待ち合わせとかっ。その後、ボールとかで遊んだのかなー。ああ、ううん、ねこちゃんとかわんちゃんとか、飼ってたかも!あ、ううん、小鳥ちゃんかな?
飼ってなくても、空を飛んでる小鳥ちゃんにお名前付けてたりとかっ!
わあ、楽しそうだなあ。この丘で、お花のネックレスとか、作ってたのかも!
すっごくすっごく、たくさんの思い出が、あるんだろうなあっ!
うぅ、ちょっとやりたくなくなってきた……かも?
でもでも、やっぱり故郷と人は一緒に、逝かなくちゃねっ!
「逝っちゃえ」
次の瞬間、丘は無くなり、家は消え、緑は焼け焦げお花は灰になっていた。
あ、この村、まだおじーちゃん四人くらい住んでたっけかな?
……血の臭い、しないなー。あ、それって四百年前、だっけ。なあんだ。ずうっと前だ。
ふふふ、遣っちゃった♪
そう思った次の瞬間、ポツン、と真っ赤な真っ赤な花が咲いてきた。
……あ。
私は花に手を近付けると、手ではなく足で踏み折った。
「手折ってもらえると思った?……くだらない」
私は『赤い花』の場所に行っていた。多分、あれって、万智鶴さんが呼んでるんだもん。
神楽の来る赤い場所。
そこにもー少しで、神楽が来る。
乱れろ、乱れろ。
踊れ、踊れ。
神を、楽しませてね、神楽ちゃん♪
閲覧ありがとうございます。
彩里はたまに、里(村・集落などの小さな家)を吹っ飛ばしています。それとトワルみたいな天然の振りじゃなく、ガチで天然です。悪気はないんですよ。
次回、神楽が神の間へ。