僕はここにいる
行き交う人々
無機物に囲まれて生きている人々
その中で僕だけが立ち止まる
世話しなく動き
今日を明日を掴むために体を任せる
時間という流れに身を任せる
その中で僕だけが流れに逆らい
僕は 空を見上げた
木々の間を視線が越える
ビルとビルの間を越える
晴れた雲を越えて
大気を越えて そこは無
僕は一直線に
星をも越えて、その果てを見た
何もない
黒い黒い 宇宙の彼方
人を、町を、国を、世界を、地球を、宇宙を感じると
「 僕はここにいる 」
誰もが興味を向けない
誰もが立ち止まる僕を避けてゆく
それでも僕は そこから動けなかった
宇宙を手のひらに乗せて
好きなように弄ぶ神がいたら
神は僕を見つけてくれるだろうか?
神は 地球すら見つけてくれないかもしれない
地球というボールの中ですら欠片になれない僕が
宇宙という机の上で 僕なんかを見つけることは出来ない
立ち止まる僕は
この世界の今一瞬の中で 微生物にも満たないんだ
「 僕はここにいる 」
だから怖いんだ
僕はここにいるのに 僕の存在が無いようで
僕が生きているのに 僕の価値がないようで
必死に手を伸ばして
指の先まで力を込めて 宇宙の彼方を見定める
触れはしなくても
手仁平に踊る宇宙の微かな情報でも
神が 僕を見てくれたら
僕はここにいたんだって思えるかもしれない
「 僕はここにいる 」
時間の流れの中を皆が流れていく中で 僕は叫ぶんだ