25 スクワード領主
ここから少々面倒くさいと思われる内容が続きます。ごめんなさい。
ここまでついてきてくださっている方は神様です。お大尽様です。(泣)
意味なく長ったらしい文章読むのって体力いりますよね。
スクワード領主ルスカ=アーベルが王から受けた招待状を持参して、城門をくぐったのはつい三日ほど前のことだった。
「すみません。サムドロス、――私の弟を見ませんでしたか」
「これはルスカノウス様。弟君ですか?」
一緒に来た彼の弟は慣れぬ旅路に体調を崩したらしく、城へ着くなり寝室にこもる事を余儀なくされていた。その彼がようやく小康状態に落ち着いたと聞いて、ルスカは今朝方その見舞いに訪ねてみたのだ。
だが、ベッドの中に求める人は見つけられず、代わりに、『少し城内を散策してくると言って一人で部屋を出て行かれました』という侍女の言葉が返ってきた。
昔はこの城で起居していたとはいえ、病気がちだった弟は自分と違いそこまで宮中の地理には明るくないだろう、そう思い、ルスカは今その足跡を辿っているところだった。
――ルスカ=アーベル。
旧称を、ルスカノウス=マダルソニア=リジューという。
彼は、現国王ユリウス=シーザーと祖父を同じくする、れっきとした王族だった。国王ユリウスとは従兄弟関係に当たる。
彼の父と、ユリウスの母は異母兄妹であり、ルスカとユリウスの祖父とは二十五代目国王だった人である。
この、ルスカノウスという王家の血を継ぐ人物は、一風変わった経歴を持つ男だった。
二十五代目国王、アレニウス=マダルソニア=リジューには二人の子供がいた。
一人は正妻から産まれた妹王女、――ユリウスの母に当たる女性だ。
今一人は、第二夫人から産まれた兄王子、――ルスカとサムドロスの父に当たる男である。
今現在ユリウスが冠している号は、二十七代目国王。その祖父が二十五代目であるから、それでは間の二十六代目はいったい誰が継いだのだろうかと考えた時、系譜だけ見たのなら、二十五代目国王の王子、――即ちルスカの父がそれに当たると答えるのが、最も妥当であっただろう。
だが、実際その号を称したのは、その息子のルスカノウスだった。
かつて王だった男が今、姓名を改め臣籍に下り、現国王の前に膝を折っているのである。
本来なら、二十六代目国王はルスカノウスではなく、まして彼の父でもなく、ユリウスであるはずだった。
というのも、ユリウスの母であった女性は女ながら才知に長け、父王の施政に対して助言を与えられるほど英明であったのに比べ、その異母兄はあまりに愚鈍だった。
才覚に乏しく、それだけならまだしも、己の血に驕り、理非を知らず恣意に振る舞い、己の欲望にのみ忠実な男だった。とてもではないが、王の器ではない。そして、アレニウス王は賢い娘から産まれた自分の孫息子を第一位王位継承者に定めたのだ。
だが実際、数年後ユリウスはその地を追われることになる。
彼の一転した凋落人生は、彼の父が突然の死を遂げてから始まった。
サンカレラ騎士団総監を務めていたユリウスの父の死に続き、彼の祖父アレニウス王が病に倒れると、城では病身の国王の下で覇権を争う佞臣どもが跳梁するようになる。
――その中で、他を踏み台にして上り詰め、権力を手に入れた男がいた。
奸佞邪智のこの男は、謀略の限りを尽くして執政の地に就いた。
だが、いくら城中の覇権を征したところで、所詮は王の臣に過ぎない。王にはなれぬ。
そこでこの男は考えた。
別に王になどならなくても、王を従わせればよいのだと。
己にとって、最も扱いやすい王は誰かと彼は考えた。
病床の王もいずれは儚くなる身。己にとって最も都合のいい次代の王は誰か――。
一番玉座に近い場所にいたユリウスは論外だった。
男は、彼の父親を嫌っていた。憎んでいたと言ってもいい。加え、ユリウスは母に似て聡明な少年だった。直に、自分を脅かすようになるかもしれない。己にとって邪魔になるのが目に見えている存在。若い芽は早めに摘んでおくべきだ。
男は真っ先に、ユリウスを排斥することを考えた。
そして、彼はユリウスの伯父であるルスカの父と手を結んだ。ルスカの父もまた、己を差し置いて王位継承権を与えられたユリウスを憎んでいたからだ。
そして男は彼の耳元でこうささやいた。
『――貴方が王になどならなくとも、貴方のご子息を王に据えればいいのです。そうすれば、貴方は幼い王の父親という名目のもと、王の保護者としてこの宮城での実権を手にすることができるでしょう。煩わしい政務は息子に任せ、好きな時にその権力をお使いになればいい』
ルスカの父は執政である男の言葉を信じた。
男がその笑中に刃を研いでいたことなど、鈍物であった彼には分かりようがなかっただろう。
狡猾なこの男は、蒙昧の上自我の強いルスカの父を玉座に据えるよりは、まだ幼いその息子を傀儡にした方が好都合だと踏んだのだ。
ルスカの父を王に据えてしまえば、国の第一人者となった彼は自ずとその地位に慢心し、執政の思惑から外れ、ただ最高権力者である自分の感情のみを武器に得手勝手に振舞うようになるかもしれない。そのような男ほど扱いやすいということを執政であるその男は知っていたが、そのために、王になった彼にいちいち甘言を繕い、ご機嫌取りに要らぬ気を使うよりは、まだ物心もついていないような幼い子供を己の思い通りに洗脳してしまうほうが遥かに楽であった。
そうして執政はまだ十にも満たない幼児を贄に選んだのだ。
執政は病の床に臥して心の弱った老王を操り、ユリウスから王位継承権を剥奪した。
母の死後、己を擁護する者が誰一人いなくなった城を、ユリウスは自ら去った。
その一年後、若干六歳の幼王が生まれる。
史上最年少の少年王が生まれたその一年後、四十一年間の長きを国王として生きたアレニウスが死に、ユリウスが再び城に帰ってくるまでの十年間、ルスカノウスは誰を信じていいのかも分からないような城の中で、ただ己の利のみを追求する男の人形として、唯々諾々の生を強いられ続けた。
「ルスカ」
廊下で官吏の一人と立ち話をしていたルスカの背後から声がかかった。
その聞き覚えのある深い低音にルスカの双眸はパッチリと開かれる。慌てたように声の主を振り返った。
「――陛下」
己の従兄弟であり、君主である王の姿を認めて即座にその場に膝をつく。
その後ろでルスカが呼び止めた官人は、ルスカの淀みない速やかな対応に慌てた様子でそれに倣った。
地位ある大公のなりふりかまわない平身低頭に、ユリウスは苦笑する。
「お前までそのように頭を下げることはなかろうに」
「未熟ながらも四大公の内に数えられる身ではありますが、陛下に従う臣であることに変わりはありません」
「お前と私は従兄弟同士だったと思ったが、違ったか?」
おどけて言って見せた主に、彼の言わんとするところを察してルスカは困ったように笑いながら腰を上げた。
「そのように血縁を贔屓しては、他の者から不興を買ってしまいます」
「贔屓というものは身内にこそするものだろう? それに、お前が私の数少ない血縁であるという点においてのみ、私に重用されていると思っている者など、この城にはいまいよ」
「光栄です、陛下」
彼らしい言い分に、ルスカもまた笑った。
†††
ユリウスが王として即位するために城に戻ってきた時、ルスカノウスは十七歳だった。
彼は政権交代に当たって進んで譲位した。
ただのお飾りとして玉座にいる自分という存在に、彼もまた苦しんでいたのだ。
ルスカノウスの少年時代、彼は父よりも母に愛された。そして、父の前ではいつも萎縮して顔を硬くする母の姿を知っていた。彼は父親に愛されないことよりも、母のその姿を悲しく思うような子供だった。
諸悪の根源ともいうべき執政が死に、彼の父も死んだ時、ルスカは初めて自由に呼吸をすることを知った。
彼はユリウスに対面する時、意を決したようにこう言った。
『自分を貴方の臣下にしてはくれないか』と。
自分は今まで王として玉座に座りながら、ただ利用され、それを自覚していながら、結局何もできなかった。
父を諌めることもせず、ただ彼の所業からも目を背けてきた。時には己の身の上を自ら哀れみ、自分は何も悪くないと己で己を慰め、自分にできることなど何もないのだと己に言い聞かせながら、それでも自責の念を拭い去ることもできず、ただ言われるがままに生きてきた。
そうしたら、ある日、今まであれほど頑強に己を苦界の牢獄に押し止めようとしていた人間が、驚くほどあっさりと死んでしまった。
呆然としました、とルスカノウスはユリウスに言った。
彼らから解放されたことを、喜ぶこともできなかった。
だって、自分は何もしなかった。彼らの悪事を知りながら、見て見ぬ振りをしてきた。
彼らに天罰が下ったというのなら、それは自分にも落ちてしかるべきものだ。
『僕はそう思いました』
けれども、心のどこかで彼らだけが死んだことを当然のことだと思っている自分がいた。
己は何も悪くない、だから罰は下されなかったのだ、自分は許されてしかるべきなのだと、彼らが自分の目の前からいなくなったことを心のどこかでそう安堵していた。
『それに気がついた時、僕は心底自分という人間に失望したんです』
そう告白したルスカの言葉と表情には真に迫るものがあった。
『自分の臆病で卑怯な心が、己の罪から目を背け、必死に自己を弁護しようとしていることに気がついたその時の気持ちは、到底口に出しては言えるようなものではありません。この世で一番醜い人間は自分なのではないかと、初めて僕は恐怖しました』
自分だって同罪だったのだと、切々と訴えるルスカノウスの声に耳を傾けながら、この時ユリウスは彼の言葉を鵜呑みにしていいものかどうかを慎重に推し量ろうとしていた。
ユリウスが昔城にいた頃、従兄弟であったルスカノウスとの交流は全くと言っていいほどなかった。
ルスカノウスが産まれた当時、ユリウスは既に執政の思惑により、心理的にも物理的にも阻隔された生活を送っていたため、同じ城に住んでいながら、従兄弟である少年のその顔すら目にしたことがなかったのだ。
ただ、汚い大人の権力欲の為に利用されようとしている幼い少年を哀れむ気持ちはあったが、今その少年が成長し、精神衛生上劣悪であっただろうと思われる生活環境の中で、いったいどういった人格形成を経るに至ったのか、ユリウスは見極めなければならなかった。
ユリウスが王として起つため十数年ぶりに入城して、初めて対面したルスカノウスの第一印象は、〝優柔そうな少年〟だった。
この少年では周りの大人達に抗うことはできなかっただろうと、容易に察せられる温順さを、ルスカノウスは持っていた。
だが一方で、その目には彼の父にはない理知的なものも感じられた。自ら進んで王位から退いたのも、単に王という立場にいることを嫌ったためだけではなく、時勢を見る目が多少なりとあったからだろう。
そう、ユリウスの目に、ルスカノウスは、至って良識のある真っ当な人間に映った。
彼の父のように、露骨に己の我欲のために生きている風でもなく、執政のようにあくどく権力に執着しているようにも見えなかった。第一印象は決して悪いものではない。
だが、『己を臣下にしてくれ』と、自ら進言してくるとなると、この少年の正確な見極めがユリウスには必要だった。
ユリウスは、自分が王として即位した途端、掌を返したように阿諛追従を始めた多くの人間を知っていた。
十数年前彼が城にいた当時、執政の権勢を恐れ、〝執政の嫌われ者〟であった彼を一顧だにせず、己の涜職行為にも恬として恥じることを知らなかった者達だった。
かつての奸臣共が口々に吐く言葉は、他人に罪をなすり付けるのに必死な聞くに堪えないものばかり。また中には早々と己の非を認め、一心に許しを請う輩もいたが、彼らのほとんどは決して真心から悔やんでいるのではなく、上辺だけの恭順を見せて王である自分の歓心を買おうとしているのだということをユリウスは知っていた。
彼はそれら己の保身のため臨機応変に動いた者達を、一言の下に処断した。
ことごとくを顕職から追放したその解職処分が、懲戒免職ではなく諭旨免職であったのが、彼なりの恩情だったのか、彼独自の意趣返しだったのかは、本人しか与り知らぬところではあるのだが。
それらと同様にルスカノウスの話にも耳を傾けながら、ユリウスは彼の言葉に引っ掛かりを覚えずにはいられなかった。
ルスカノウスもまた己の非を認めてはいたが、その言葉は少々大げさに過ぎるように、ユリウスには感じられた。
穿った見方をすれば、過剰に己の悔恨の深さをアピールして、同情を得ようとしているのではないか、と。――それに、正直ユリウスは初めて会った時から不審だったのだ。六歳の頃から他者のための生を強いられ、欺瞞と疑心に満ち虚飾で埋め尽くされた悪意の巣窟のような場所で育った人間が、こうも清廉なままでいられるだろうか、と。
汚いものを、多く、見てきたはずだ。かつての自分もそれに耐え切れなくなり、自ら城を出奔したのだから。
ルスカノウスのいた場所は、正しく情けある人間ほど馬鹿を見る、そういう場所であったはずだった。彼のその殊勝過ぎる態度がユリウスには解せないのだ。
己が執政の都合のいい駒に過ぎなかったということを自覚できていたというのなら、「己は利用されただけだ」「何も悪くない」と主張することだってできるのに、この少年はそれをしない。そういう思いを抱く自分がいることを認めてはいるが、それを盾に、「何故自分が責められねばならぬことがあろうか」と、訴えることをしない。
本当に何の他意もなく、己の非を素直に認めているとのだとしたら、この少年は純良すぎる。このように甘い性情では、宮中での暮らしはさぞ苦痛であっただろう。だが、その苦しみは果たして本当のものであろうか――。
ユリウスには、ルスカノウスが己の保身のために頭を働かせる人間であったほうが、よっぽど得心がいった。そうでなければ、利害得失にしか興味のない人間ばかりが横行闊歩していた宮中では生きていけなかったはずだからだ。
また、目の前の少年の立場も大いに問題だった。
彼は仮にも、王であった人間なのだ。
たとえそれが他者に利用された結果であり、本人の意思がまるで反映されなかったものだとしても。――民はそうは見ない。責任追及を騒ぎ立てる者も出てくるだろう。
それにユリウスは、即位するに当たって王家の血を否定した。
血はただの血であり、そこに貴賎は存在し得ない。王家の血にも、意味などないのだと。
この少年の処遇が、ある意味でその公約の虚実を決定付けることになる。
彼を濫りに重用してしまえば、ユリウスを非難する者も出てくるだろう。身内だからといって、簡単に臣下に迎えることはできないのだ。身内だからこそ、ユリウスは私情を捨てなくてはならなかった。
ユリウスだとて己の従兄弟を猜疑の目で見たいわけではなかった。だが、身内だからこそ疑ってかからなくてはならない場合があるということを、彼は身をもって知っていたし、数少ない血縁に対する己の心情があるがゆえに、彼は王としていつも以上に冷厳であることを己に課さねばならなかった。
信じたい。だが、その心こそが正しい判断を誤まらせるような事態だけは、避けねばならなかった。ルスカノウスの処遇は極めて難しい問題といえた。
だから、ユリウスはルスカノウスという人間を正確に見定めようとした。
ルスカノウスの言を丸呑みするわけにはいかない。冷静な目で、客観的に、従兄弟である少年を見なくてはならない。自然、ユリウスの目は厳しいものになる。
もし、哀切に訴えているその姿が演技だったとしたら。
同情で王の庇護を得るために懺悔を演じて見せられる人間ならば、信用はできない。
そういった類の立ち回りができる人間ならば、無能ではないだろうが、今ユリウスに必要なのは、己の保身のために立ち回れる処世術に長けた人間ではなく、国のために自らを捧げられる愚直なまでにひたむきな人間だった。
国の再建は一朝一夕でできるものではないだろう。一からやり直すには相応の苦労も覚悟しなければならない。そのためには見返りを求めず国のために働ける強い意志と情熱を持った人間が必要だった。
国の建て直し、その礎になる土台部分が脆いものでは話にならないのだ。
国のため――、ただその一点のために一丸となれる人間がそろって、初めて足固めが完成する。己の思惑を腹に抱えた人間があちらこちらにいては、磐石な土台など望めようもない。
済世の志を持った真に結束の取れた信頼できる仲間の存在が、己の信用できる人間が、ユリウスには必要だった。
かつて、彼がいた城は、そういう意味では既に破綻していた。
信じられる人間が、ユリウスの周りには誰一人としていなかったのだ。
理非【りひ】…道理と非理。道理にかなっていることとはずれていること。是非。
恣意【しい】…気ままな心。自分勝手な考え。
凋落【ちょうらく】…おちぶれること。
佞臣【ねいしん】…表面は従順に見せかけて内心はねじけてよこしまな臣。口先が巧みで心の正しくない臣。へつらう臣。
跳梁【ちょうりょう】…悪人などがわがもの顔にのさばること。
奸佞邪知【かんねいじゃち】…よこしまな心で人にへつらい、悪知恵にたけていること。
排斥【はいせき】…(人物・思想などを)おしのけしりぞけること。
笑中に刃を研ぐ【しょうちゅうにやいばをとぐ】…うわべは人当たりをよく見せかけながら内心陰険で、人を陥れようとすること。
鈍物【どんぶつ】…才知のにぶい者。
傀儡【かいらい/くぐつ】…あやつり人形。転じて、人の手先になってその意のままに動く者。
得手勝手【えてかって】…他人のことはかまわず、自分の都合のよいことばかりを考えること。
甘言【かんげん】…相手の気に入るように巧みにいう言葉。
苦界【くかい】…苦しみの絶えない世界。人間界。
阻隔【そかく】…じゃまして間をへだてること。また、へだたりができること。
優柔【ゆうじゅう】…やさしくものやわらかなこと。物事に煮えきらないこと。はきはきしないこと。決断力に乏しいこと。
温順【おんじゅん】…おだやかですなおなこと。おとなしくて人にさからわないこと。温柔。
時勢【じせい】…時代の移り変わるいきおい。世のなりゆき。時代の趨勢。
一顧【いっこ】…ちょっと振り返って見ること。ちょっと注意を払うこと。
涜職【とくしょく】…職をけがすこと。私欲のために職務・地位を濫用すること。汚職。
恬として【てんとして】…平気で。少しも気にかけないで。頓着しないで。
奸臣【かんしん】…心のねじけた家来。わるだくみをする臣。
恭順【きょうじゅん】…つつしんで従うこと。心から服従すること。
歓心を買う【かんしんをかう】…人の気に入られるように努める。
顕職【けんしょく】…位の高い官職。高官。要職。
懲戒免職【ちょうかいめんしょく】…不正または不当な行為に対しての制裁として、免職すること。
諭旨免職【ゆしめんしょく】…行為の非をさとし、本人のための取り計らいとして、懲戒処分に代えて認める辞職。形式上は依願退職。自主的に辞職するようすすめる免職。
穿つ【うがつ】…せんさくする。普通には知られていない所をあばく。微妙な点を言い表す。
欺瞞【ぎまん】…人目をあざむき、だますこと。
虚飾【きょしょく】…外見ばかりを飾ること。みえ。
出奔【しゅっぽん】…逃げて跡をくらますこと。逐電。
利害得失【りがいとくしつ】…得になるか損になるかということ。利益と損失。
横行闊歩【おうこうかっぽ】…傍若無人の態度で、勝手気ままに歩くこと。また、悪事がのさばることのたとえ。
濫りに【みだりに】…秩序を乱して。むやみに。わけもなく。思慮もなく。無作法に。しまりなく。
猜疑【さいぎ】…人をそねみうたがうこと。
済世の志【さいせいのこころざし】…世の中をよくして、困窮をなくそうとする志のこと。