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飯食い機のムスメ

作者: SANA
掲載日:2026/01/01


 ウチの母は飯食い機である。

 ものの例えでも誇張でもない、本当に飯食い機なのである。


 飯食い機は、朝、メシを食うために起き、朝飯を食う。

 昼飯まではウトウトしているか、ぼんやりしている。

 夕飯までも同様。

 夕飯を食うと、寝ていることが多い。


 私が思うに、メシを食わない時間は、飯食い機が電源を切っているか、スリープ状態になっていると思っている。


 いつから、こうなったのだろうか。


□□□□


 はじめは人間だった……いや、人間だったと思っていた。

 人間の母だと思っていたが、気付いたら、いつの間にか飯食い機になっていた。


 ……どういうことだ?


 人間か、人間になりすました何かなのか、飯食い機なのか。

 というか、なんなのだ、飯食い機とは。

 メシを食う機械?

 そんなものが存在するとでもいうのか。

 そんなはずがない。


 そもそも、メシを食うだけの機械など、何のために作られたのか。

 食料が無駄になるだけではないか。

 しかも、飯食い機がウチの母とは、どういうことだ?


 メシを食う機械とは、一体何なのだろうか。


□□□□


 私は、ウチの母のことは、食事がいる地蔵ではないかと思っていた。

 これも、いつからか判明しない。

 気付いたら、そう認識していた。

 おそらく、食事をする以外、殆ど動かないので、地蔵だと認識したのだろう。

 よく考えたら、動かないものは地蔵以外にもあるのに、何故地蔵だと思ったのかは、今となっては全くわからない。

 ただ、地蔵だと認識していた。


 しかし、ある日、父が言ったのだ。

 あれは『飯食い機』だと。

 父は飯食い機を知っていたのか?

 いつから飯食い機だと認識していたのか?

 そして、何故?

 何故、飯食い機のことを知っているのか?


 疑問だらけだ。


 そもそも、あれは秘密ではなかったのか?


□□□□


 あれとは何だろう。

 年を取ると忘れっぽくなって困る。

 先日など、『玉ねぎ』が出てこなかった……いや、玉ねぎだけではなく、人参もジャガイモも出てこなかった。

 まな板を『なまいた』と間違えて覚えていたこともあった。


 故障だろうか。


 …………故障?


 誰が……いや、何が?

 忘れっぽくなったのは、故障なのか?

 いや、そもそも人間の私が故障など、あるはずがない。

 本当に人間か?

 ちょっと自信がなくなってきたので、鏡でも見ようと思う。

 記憶にある人間のワタシが映っていれば、ワタシハ人間であって、故障などするハズがナイ。


 鏡を見たら、ソコには地蔵がいた。


 何故、地蔵が?

 今、ウチには私しかいないのに。

 その鏡には、ワタシが映っているハズなのに。


 ドウシテ……?


 ワタシハ、いつカラ、地蔵だっタのカ……?


□□□□


 …………アァ、秘密ダッタ。


 ワタシガ、いや、ワタシ達の本当のコトは。


 ハハはメシを食う機械。


 ムスメのワタシハ、メシを作る地蔵。


 チチは…………@$#%*&¥



□□□□


 記録は、そこで途切れていた。

 私は、一体何を読んでいたのだろう。

 もしこれが本当なら、地球人になりすましたモノが二人いることになる。

 いや、本当に二人なのか?


 『父』は?


 少なくとも、三人はいるのではないだろうか。

 まあ、これが本当だとしたら、だが。


 地球人に成りすました宇宙人など、いるわけがない。

 そんなことが、あるはずがな


(記録は、ここで途切れている)


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