義妹の嫌がらせがことごとく的外れな件
ウィールドン侯爵家の美人姉妹。
巷でそう呼ばれる私と義妹だが、血は繋がっていない。
私ユージェニーは、前妻の子供。
義妹アナベルは、侯爵家の後妻となった義母ナタリー様の連れ子だ。
私がお高くとまった近寄り難いタイプと言われるのに対し、アナベルは栗色の巻き毛も愛らしく、くるくると変わる表情が魅力的な女性だ。
白銀の髪と薄水色の瞳で、色素も表情も薄い私とは大違い。
私のことをよく知らない殿方からすれば、私も十分に声をかける価値のある女性に思われるのだろう。
だが、少し話をすれば、皆私から離れていく。
愛想もなければ愛嬌もない、つまらない人間。
真面目で勉強だけが取り柄の堅物。
アナベルは私のことをいつもそう呼んでいる。
ウィールドン家の子供は、私とアナベルの二人だけ。
女児は爵位を継ぐことが出来ないから、私かアナベルの夫が次期侯爵となる。
必然的に、私もアナベルも男性達の注目を集めてしまう。
長女であることと、正当なウィールドン家の血を受け継いでいることで、爵位の継承は私の夫が有力とされている。
しかし、我がエザリントン王国の国王陛下は実力主義者として有名だ。
私と私の夫になる人物よりも、アナベルとその夫になる人物の方が優秀だと判断したら、連れ子であるアナベルの夫に爵位を継がせることになるだろう。
連れ子とはいえ、養子縁組を済ませたアナベルはウィールドン家の一員。その資格は十分にあるのだ。
そんな状況もあってか、義母ナタリー様がアナベルに下した指令は、
『長女である私ユージェニーよりも、良い結婚相手を見つけること』だそうだ。
おかげで私が高位貴族の男性と話をする度に、かなりの確率でアナベルが割り込んでくるようになった。
「ユージェニー嬢、如何ですか。今度、是非一緒にお茶でも」
学園の廊下ですれ違った令息が、白い歯を光らせて微笑む。
線の細い、如何にも貴族令息と言った容姿の男性だ。
貴方みたいな方から声を掛けられたら、ほうら、廊下の向こうから砂埃を上げてアナベルが真っ直ぐこちらに走ってくる。
「まぁ、リドリー伯爵様のご令息、ジョナス様ではありませんの!」
全力疾走で切れた息を整えながら、アナベルが目をキラキラと輝かせて令息に声を掛ける。
なるほど、この方はリドリー伯のご令息ジョナス様とおっしゃるのね。
伯爵家のご令息まで記憶しているとは、流石はアナベル、チェックに余念が無い。我が義妹ながら、感心してしまうわ。
「ごめんなさいね、うちのお義姉様ったら無愛想でまともに応対も出来ませんの。もし我がウィールドン侯爵家にご用がおありでしたら、義妹の私が伺いますわ」
「そ、そうかい? それなら……」
愛らしいアナベルが腕を組むようにして身を寄せれば、大抵の男性は鼻の下を伸ばして言うことを聞く。
ちゃんと胸元を押しつけるようにしているあたり、女性の武器を最大限に生かしているのよね。
本当、私に近付いてくる男性を排除することに必死なんだから。
「あんなつまらないお義姉様は放っておいて、お茶ならば私がご一緒します!」
アナベルの行動はいつもこんな感じで、男性が私に近付こうとするのをとことん邪魔している。
結果あちこちの男性にアプローチをかけることになって、女性達から目の敵にされているのには気付いていない様子。
社交界のご令嬢方は、皆私に同情的だ。
『あんな義妹が居て大変ね』なんて言われたりもするけれど、私はまったく気にならない。
だって、義妹との趣味があまりに違い過ぎるんですもの。
義妹のアナベルは、線が細く綺麗な顔立ちの男性が好きなのだ。
タックルで私を押し退けてまで正対して話し込んだイライアス・エザリントン王太子殿下は、目映い金髪のキラキラ王子様系。
距離が離れていたにもかかわらずスライディングで駆けつけた宰相閣下のご子息デューク様は、真面目で線の細い文官型。
二階の廊下から庭園にわざわざ飛び降りてまで声を掛けたファロン公爵令息サンディー様は、色気があると評判の小悪魔タイプ。
アナベルとお義母様が求める結婚相手は、当然地位の高い男性。
必然的に肉体労働よりも頭脳労働、頭脳労働よりも社交が求められ、しゃなりとした男性が多くなる。
私はと言えば、幼い頃から暇があれば騎士団の練習場に差し入れがてら顔を出していた。
そう。細身の男性よりも逞しい殿方の方が好みなのだ。
我がウィールドン侯爵家は、お抱えの騎士団を擁している。
令嬢である私が騎士達を慰労することは家の為になるし、義妹も義母も邪魔することはない。
二人にしてみれば、何を意味のないことをと思っているかもしれない。
なんてことはない、全ては自分の為なのだ。
アナベルなどは汗臭いからと、騎士の詰所や演習場に近付くことさえ嫌がる。
このように、私とアナベルは見事に男性の好みが異なっているのだ。
周囲が眉を顰める私への妨害行為? も、私にとってはなんの妨害にもなっていない。
『貴女好みの男性だものね、上手く行くといいわね~』
なんて思いながら、必死に私から令息を遠ざけようとするアナベルをニコニコ見守る毎日だ。
「どうして義妹の好きなようにさせているのですか?」
今も伯爵令息の手を取って立ち去るアナベルを笑顔で見送っていたら、ふと声を掛けられた。
振り返った先に居たのは、見上げるほどの長身。
広い肩幅。厚い胸板。服の上からでも分かるほどの、筋肉質な身体。
騎士科の生徒らしい、黒髪の男性だった。
「どうして……と言われますと」
内心の動揺を抑えながら、淑女らしく扇で口元を隠し、小さく首を傾げる。
いけない、好みドストライクの男性に声を掛けられたからって、それを表に出してはドン引きされるに違いない。
落ち着きなさい、ユージェニー。
「何も反論せず、言われっぱなしではありませんか。あんな、失礼な言葉を掛けられているというのに」
「ああ、そのことですの」
なるほど、私が反論せずに言われるがままになっているのが納得いかないということか。
よくご令嬢方にも言われる言葉だ。
「私が反論したら、学園内という公衆の面前で義妹とやりとりをすることになるでしょう。どのような会話をするにせよ、我が家の醜聞になりかねない言い合いを人前でする気にはなれませんわ」
私の返答に、彼はなおも納得がいかない様子だった。
真面目そうな顔立ち。きっと正義感がお強いのでしょうね。
見ず知らずの私の為に怒ってくれるなんて、優しい人だわ。
「あのご令嬢が王太子殿下とも懇意にしていることは、存じております」
「そのようね」
最初は私に興味を持って話しかけてくださった王太子殿下も、今ではアナベルとばかり話をしている。
きっと義妹から私の悪口をあれこれ聞いているのだろう、最近は私を見る眼差しは氷点下の如くだ。
「あのような方が王太子妃の最有力候補とは、嘆かわしい……」
あら。アナベルったら、いつの間にかそんな風に言われるまでになっていたのね。
随分と頑張っているじゃない。
「義姉に近付く男性を片っ端から遠ざけ、多数の男性にしなだれかかり、王太子殿下だけでなくあちこちで義姉の悪口を言いふらす。そんな方に将来お仕えする為に、騎士科に通って鍛えている訳ではないというのに……」
「まだあの子が王太子妃の座に就くと決まった訳ではありませんわ。それに、騎士の皆様は国を支える重要なお役目を担う方々。その忠誠は王太子妃殿下個人への物ばかりではありませんでしょう?」
私の言葉に、騎士科の生徒は真っ直ぐこちらを見つめた。
射貫くような瞳に、ドキリと胸が高鳴る。
「……貴女のような方にならば、一命を賭してでもお仕えするのですが」
「あら、有難うございます。でも、私が高貴な座に就くことは有り得ませんわ」
いけない。心の臓がうるさく鳴り続けている。
急にそんなことを言われては、ときめいてしまうではありませんの。
意図せず言っているとしたら、恐ろしい。
女泣かせな方ね……。
「あの子の言う通り、私は面白味のない女ですし……何より、私は王太子殿下の好みではないようですから」
言ってしまえば、私は王太子殿下に嫌われている。
これも全て、アナベルのヘイト活動の賜だろう。
別にいいのよ、王太子殿下に気に入られてもろくなことにならないし。
女性達から嫉妬されたり、王太子妃教育だのなんだのと忙しくなったりするのはごめんだわ。
よほど好みのタイプならばともかく、王太子殿下の腕ったら枯れ枝の如き細さなんですもの。
騎士科の生徒はどこか悲しそうな、それでいて安心したような複雑な表情を浮かべていた。
彼の感情を、その表情から読み取ることは出来ない。
一体、何を考えているのかしら。
「あの、貴方は……?」
私ったら、大事なことを失念していたわ。
これだけお話をさせていただいたと言うのに、まだこの方のお名前さえ聞いていないなんて。
「失礼、騎士科のオズワルド・ファーバーと申します」
なるほど、オズワルド様ね。
私が記憶している貴族家に、ファーバーという名は存在しない。
下級貴族か、あるいは騎士の家系かしら。
「有難うございます、オズワルド様。私のことを気遣ってくださって、感謝申し上げます」
オズワルド様に御礼を言って、廊下を歩き出す。
これ以上一緒に居たら、私の身が保たないわ。心臓が破裂してしまうに違いない。
それにしても、いつもなら私が男性と話しているとすぐに飛んでくるアナベルが、オズワルド様と話している時だけは来なかったわね。
彼が好みのタイプではないからか、それとも声を掛けるほどの身分――高位貴族では無かったからか。両方かもしれない。
我が義妹ながら、分かりやすい子だわ。
その日以来、オズワルド様とは度々学園で話をさせていただくようになった。
また、アナベルの行動はますます露骨になっていった。
最近では王太子殿下をも巻き込んで、嫌がらせのようなことまでしてくる始末。
私は良いけれど、親しくさせていただいているオズワルド様に迷惑がかからないかが不安だわ。
巷の噂では、卒業パーティーの場で王太子殿下とアナベルが婚約発表をするらしい。
その際に余興みたいな物も計画されているんだとか。
何でも、大事な婚約者に嫌がらせをする女に制裁を加えるんですって。
一体何をするつもりなのかしらね。
王太子殿下は全て真に受けているようだけど、見る人が見れば、嫌がらせをしているのはアナベルの方だと丸分かりだと言うのに。
下手なことを言い出して、墓穴を掘ることにならなければ良いけど。
案の定、卒業パーティーは混迷を極めた。
「ウィールドン侯爵家令嬢ユージェニー。お前は事もあろうに義妹のアナベルに嫌がらせを繰り返し、俺が彼女に贈ったネックレスまで隠したと言うではないか!」
「何でしょうか、それ」
パーティー会場でこちらに指を突きつけるイライアス殿下に、思わず首を傾げてしまう。
卒業パーティー当日、突然王太子殿下から呼びつけられたと思ったら、この騒ぎだ。
いきなり何を言うのか、この人は。
「なっ、この期に及んでとぼける気か!?」
「とぼける気かと言われましても。この子が持っているネックレスなど、いちいち把握してはおりません」
当たり前だ。
ネックレスどころか、王太子殿下と恋仲なことさえ噂程度にしか知らないと言うのに。
ネックレスを贈られていたこと自体が初耳だ。
「アナベルの話では、そのネックレスがお前の部屋から見付かったと言うではないか!」
「そうなのです、殿下どうか義姉を罰してくださいませ……!」
今日のアナベルは露出高めのドレスで、分かりやすくイライアス殿下の腕に胸を押し当てている。
周囲のご令嬢達が眉を顰めていようと、気にしない。
まったく、この肝の太さだけは感心するわ。
「このように、証拠は既に挙がっている。ウィールドン家令嬢ユージェニー、お前を国外追放の刑に処す!!」
殿下の声に、パーティー会場が静まり返った。
皆が皆、呆気にとられて言葉も無い様子だ。
それもそのはず、いくら王太子殿下とはいえ、司法官では無い彼に人を裁く権利など無い。
司法官以外にその権利を持つのは、この国では国王陛下ただお一人。
王太子殿下の言葉は、越権行為そのものだ。
「えぇと……かしこまりましたと言うべきでしょうか」
呆れ混じりに言葉を返せば、ふんと荒い鼻息が返ってきた。
「今更悔いても、もう遅い!」
悔いてなどいない。
そもそも、お話にもならない。
皆が白ける中で、王太子殿下以外にただ一人、アナベルだけがキャッキャッとはしゃいでいる。
「ユージェニー嬢が国外追放になるならば、私もお供しましょう」
そんな中、一人歩み出る者が居た。オズワルド様だ。
「あら。オズワルド様、せっかく騎士になる為に頑張って、今日めでたく卒業を迎えましたのに」
私が声を掛けると、彼はゆるりと首を振った。
「そのつもりだったが……この様子では、貴女と共に国外に行った方が良さそうだ」
そういえば、オズワルド様はアナベルが王太子妃になることを憂いておられましたものね。
それどころか次期国王であるイライアス殿下がアナベルの言葉を真に受けて、裁判も無しに刑を言い渡す始末。
騎士となるべく修行を重ねていた彼だが、この国を見限るに十分な事態と判断したのだろう。
「女性の一人旅はなにかと危険です。護衛が居た方が良いでしょう」
「では、お願いしようかしら」
「ええ、是非に」
私が差し伸べた手を、オズワルド様が強く握りしめる。
そんな私達の様子を温かく見守っていた周囲から、拍手が沸き起こった。
「な、なんだ貴様等! なんでこんな奴等に拍手など――」
「それくらいになさいませ、殿下」
感情的な王太子殿下の声とは対照的な、冷ややかな声が響く。
野次馬の人垣を掻き分けて、見覚えのある男性が現れた。
「貴方は――」
そう、確か彼は宰相閣下のご子息――ハーリー侯爵家のデューク様だ。
「そんな女性と一緒に居ると聞いて、心配しておりましたが……やはり、このような騒ぎになるとは」
デューク様は深く皺の寄った眉間を押さえ、ため息を吐いた。
彼はアナベルが学園で声を掛けた時、ギョッとして逃げ腰になっていたっけ。
王太子殿下とは違い、アナベルの色香に惑わされてはいないようだ。
「不敬だぞ、デューク!」
「お言葉ですが、僕は何度も忠告したでしょう。アナベル嬢に心を許さぬようにと」
それどころか、デューク様は王太子殿下を諫めてくれていたらしい。
流石は国の中枢を担う宰相閣下のご子息だわ。
「お前こそ、ユージェニーに誑かされているのではないか!?」
「とんでもない。僕は彼女と話したことなど、一度もありませんよ。なにせ、話そうとしても妨害が入るもので」
どこからともなくアナベルがやってくる訳ですよね、分かります。
「僕としては、試験でいつも首席の座を争う相手ですから、一度くらいは話してみたかったのですが……」
なるほど、デューク様が私に声を掛けてくださったのは、そんな理由でしたか。
私とデューク様は淑女科と行政科で所属する科こそ違いますが、期末に行われる全クラス共通科目試験では、いつも首席の座を争っていました。
とはいえ、戦績は僅かながら彼に軍配が上がるでしょうか。
口にこそしないけれど、私にとっても彼は良きライバル的な存在です。
「だから何だ。その女がアナベルを虐げ、嫌がらせをしていたことに変わりは無いだろう!」
「それも全て、アナベル嬢の言い分だけではないですか?」
声を荒らげる王太子殿下に対し、デューク様はあくまでも冷静に言葉を返す。
「虐げると言いますが、学園で目撃されていた様子では、むしろアナベル嬢の方がユージェニー嬢を虐げていたかと」
デューク様の言葉に、周囲のギャラリー達が一斉に頷く。
まぁ、そうですよね。
皆様、私達姉妹の動向には注目しておられたようですし。
アナベルの態度は、良くも悪くも目立つ。
あんな光景を日常的に目にしていれば、皆さんが誤解する余地などないでしょう。
「馬鹿な、アナベルに限ってそんな――…」
「恐れながら貴方様にはもう少し人を見る目を養っていただかなければならないようですな、第一王子殿下」
ざわりと、空気が揺れた。
デュークの背後から、ゆっくり歩み寄ってくる人物。
学生ではない、落ち着いた雰囲気の大人の男性。
これくらいの年だと、文官タイプでも大人の渋みがあってなかなか良いわね……なんて、品定めをしている場合ではなかったわ。
卒業パーティー会場に現れたのは、ローレンス・ハーリー侯爵。
我がエザリントン王国きっての切れ者、敏腕宰相閣下だ。
「第一王子とはどういうことだ、ハーリー侯爵」
問いかける殿下の声は、震えていた。
ハーリー侯爵様は、我が国の宰相。
そんな彼が、意味のないことを言うとは思えない。
「文字通りですよ。王太子の座には、弟君が就くことに決まりました」
「な――…」
イライアス殿下にとっては、死刑宣告にも近い言葉だった。
その後、国王陛下によって正式なお言葉があった。
イライアス殿下は廃位され、いまだ幼い第二王子殿下が王太子の座に就くことになった。
そして虚偽によりイライアス殿下を惑わせたとして、私ではなくアナベルが国外追放に処された。
刑を言い渡されたアナベルは、彼女と親しくしていた令息達に助けを求めた。
だが、手を差し伸べる者は誰もいない。
最終的に私と共に旅に出てくれると言ったオズワルド様に同行を求めたが、即座に断られていた。
当たり前とは思いつつ、オズワルド様が断った時、私は確かに安堵していた。
ひょっとして、心のどこかで不安を感じていたのだろうか……自分でもよく分からない。
結局、彼と二人で旅に出る必要はなくなってしまった。
アナベルと共に社交界で様々な噂をばら撒いていたらしいお義母様は、修道院へと送られた。
学園を卒業した後、オズワルド様は王宮騎士団に入団した。
私はと言えば侯爵家唯一の後継者として夫となる人を探しつつ、侯爵夫人となるための勉強をする毎日だ。
私の夫になる人は、すなわち次期侯爵になる人でもある。
アナベルという防波堤が無くなって、高位貴族の令息達からのアプローチは激化している。
好みではない殿方に囲まれるというのは、なかなかに苦痛だ。
最近はハーリー侯爵夫人――宰相閣下の奥様が、よくお茶会に誘ってくださるようになった。
どうやら彼のご子息と私の縁談をと考えているらしい。
デューク様とは良きライバルではありますが、異性として意識したことはありません。
さてどう答えるべきかと考えていると、侯爵夫人は悪戯っぽく笑った。
「デュークのことではないのよ。最近、将来有望な騎士様を養子に迎えたの」
何でも卒業パーティーでの勇気ある行動が、宰相閣下の目に留まったらしい。
「今度、貴女にも紹介してあげるわ」
それが誰かと聞くより先に、私の胸は彼に初めて会った時のように、高鳴るのでした。