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登場人物紹介

後書にオマケ有ります

☆登場人物紹介2

【ズーラウンド王国】


○シーラ・ランツ

12歳

このお話の主人公、伯爵令嬢、第二王子の婚約者、男を誑かす悪女

ふわふわとした赤茶色の髪に、薄緑色の瞳、猫のような釣り目

一見すると大人しそうな女の子に見える

英雄や女傑が好きで自国の英雄ヘクトール・グリズリーを尊敬している

好きな花アコニツム(鳥兜)

羊羹と碁が好き

自称ジクトールの弟子


○アティカス・ランツ

37歳

シーラと同じ赤茶色の髪、最近頭部が気になる

不自然な胃の痛みを感じる日々

ちょっと変わった思考をもつ娘のせいで気苦労が多い

最近は息子が娘に似だして気苦労が倍になっている


○セレナ・ランツ

32歳

シーラの母

現在妊娠後期で里帰り中(三人目)


○マティアス・ランツ

まもなく4歳

シーラの弟

カッコイイ姉に憧れている


○サーシャ・ランツ

0歳

シーラの妹になる予定


○ジェームズ・バード

12歳

シーラにひよこと名付けられた男の子

ふわふわな黄色い髪に黒い瞳

バード侯爵家次男

本好き、酷い人見知り、クールなメガネ男子

ニワトリぐらいには成長中


○サイラス・モンキナ

14歳

シーラにお猿と名付けられた男の子

貴族には珍しい暗い茶色の髪と琥珀色の瞳、手足が長い

モンキナ伯爵家長男

元いじめっ子、爽やかな剣術青年

ごぼうのようなテナガザルに成長中


○ヘクトール・グリズリー

享年81歳

ズーラウンド王国一の英雄

あだ名は熊将軍

大剣の使い手

シーラの初恋相手


○ジクトール・グリズリー

64歳

熊将軍の息子

あだ名は子熊将軍

王子の剣の指導者

シーラのセカンドな恋の相手

シーラの師匠


○ルーシー・ラトン

44歳

ラトン伯爵夫人

王妃の友人


○ブレンダ・ラトン

16歳

ラトン家の末娘

サイラスの婚約者


○ガブリエラ・ライオネス

44歳

ズーラウンド王国王妃

二人の息子がいる

次男の婚約者を自ら決めた

シーラを気に入っている

シーラのミューズ

孤高のメスライオン


○ウィルフッド・ライオネス

ズーラウンド王国国王

49歳

シーラにトウモロコシと呼ばれている


○ウィリアム・ライオネス

22歳

ズーラウンド王国第二王子

婚約を解消した過去有り

辛辣令嬢シーラ・ランツの婚約者となった

変態王子疑惑有り


○ウィルバー・ライオネス

26歳

ズーラウンド王国第一王子

ライオンよりなトウモロコシ


○グレース・ライオネス

24歳

ウィルバーの妻

白銀の髪

ビリジアン王国王女

シーラの中のヒロイン


○ヴァージル・ライオネス

4歳

ウィルバーとグレースの子供

トウモロコシの血を引く王子


○エブリン・レイヨウ

12歳

侯爵令嬢

気が強い

ツンデレ女子とシーラに思われている

シーラの心の友

ジェームズに恋してる


○メロディ・スクワロル

22歳

第二王子の元婚約者

他国へ嫁いだ


○ヴィオラ・スクワロル

19歳

子爵家の子息と結婚予定

スクワロル家の跡取り


○スクワロル伯爵

50歳

美人姉妹と呼ばれる娘達が自慢

自分に甘く、娘たちにも甘い


○スクワロル伯爵夫人

45歳

自分に似て美人揃いな娘が自慢


○ルーナ・スクワロル

14歳

メロディの妹

シーラを恨んでいる

ウィリアムの運命の相手は自分だと思っている


○ウィリアム・バッシ

50代

ルーナの結婚相手

貴族と縁を結びたく、ルーナと結婚した。


○エヴァ

?歳

変装名人、シーラの影の護衛


これはシーラとウィリアムの婚約が成立したばかりのころのお話。


第二王子であるウィリアムとの婚約が決まったシーラは、楽しみにしていた妃教育が始まり毎日のように王城へと出向いていた。


勉強熱心で探求心のあるシーラは教師たちからの評判も良く、授業は思わぬ速さで進んでいて未来の王子妃として期待されていた。


特に歴史を教える教師は、ウィリアムと結婚しないのならば歴史学者にするか自分の孫の嫁に欲しいぐらいだと、ウィリアムが笑えない冗談を吐くぐらいだった。


「それもありかも知れませんね」


ふんすと鼻息荒く答えるシーラを見て、自分と結婚した方が色々とお得だと言い続けなければと心に誓うウィリアム。


そうでなければ国の重鎮達がシーラの前に孫を差し出しそうで落ち着かない。


ただしその年齢差からどこまでシーラにアプローチを掛けて良いか悩んでいるのも本音。


一般のご令嬢ならばウィリアムが一言「綺麗だよ」と声を掛ければそれで十分なのだが、グリズリー親子を理想と掲げるシーラに対しそんなアプローチなど通用するはずもなく、ウィリアムが「お命頂戴いたす」と叫び切りかかった方が喜ばれることは確実だった。


そんな悩みを抱える中、二人の親睦は進む。

妃教育を終えたシーラは毎回必ずウィリアムの下へ顔を出し、婚約者同士の逢瀬を楽しむのだ。


ただしシーラが楽しみにしているのはウィリアムに会えることではなく。

ウィリアムの部屋で読める王城の書物。

王城内にはシーラが目を輝かせるほどの歴史的重要な書物がたっぷりとあり、それをウィリアムの部屋で読むことが今のシーラのお気に入りの様だった。


勿論その間目の前に座るウィリアムの顔など見ることは無い。

一人「むふふ」と声を出し、ニマニマしながら本を読むシーラ。


見ている分には可愛いけれど、トウモロコシからコーンスープ辺りにはそろそろなりたいウィリアム。

流石にこのままではいけないだろうとそう思っていた。


「ウィリアムさま」


本に夢中なシーラが珍しく声を掛けて来た。

ウィリアムは少しでもシーラの気を引こうと、令嬢が失神するほどの美しい微笑みをシーラに向け「何だい?」と朗らかに答えてみたが、シーラには生のトウモロコシでも見ているような、全く興味がないスンとした顔で見られ少し落ち込む。作戦は失敗したようだ。


「この字がむずかしくて読めません、もうしわけありませんがわたくしに教えていただけるでしょうか?」


シーラからの初めてのお願いにウィリアムはちょっとだけ嬉しくなる。

字を教える程度でウィリアムがノーと答えるはずもなく、「いいよ」と答えシーラが持つ分厚く重い歴史書を覗きその文字を確認する。


「ああ、これは孤軍奮闘と読むんだよ」

「こぐんふんとー?」

「そう、孤軍奮闘。助けがない中一人で戦うって意味だよ。シーラにはまだ難しかったかな」

「おおお、一人で戦う……こぐんふんとー……ぬほぅ、カッコイイです」

「ハハハ、そうだね、カッコイイね」

「はい!」


孤軍奮闘とは正に今の自分に宛てた言葉の様だが、猫のような目を輝かせて自分を見つめるシーラが可愛くって先程までの悩みなどどうでも良くなる。


「おいで、書き方も教えてあげるよ」

「はい!」


キラキラ顔で元気よく答えたシーラはウィリアムの横にちょこんと座った。

警戒が取れた猫が自分に寄り添っているようで可愛くって喉がグッと鳴る。


(くそ可愛い、撫で繰り回したい!)


小さなシーラはウィリアムの部屋のテーブルでは書き取りが難しいため、靴を脱がせ椅子の上に登らせた。

そしてシーラの小さな手を取り、『孤軍奮闘』と一緒に書き取りを始めると、シーラはまた「ぬおおお」と令嬢らしかぬ面白い声を上げた。


「ほら、今度は一人で書いてみてごらん、シーラならもう書けるだろう」


こくんと頷くシーラ、頭頂部からはお日様のような良い匂いがして、ついクンクンと嗅いでしまう。誰かに見られたら終わりだろう。


「ウィリアムさま、こぐんふんとー、書けました!」


嬉しそうに自書を掲げ笑うシーラ。

よく頑張ったねとウィリアムは自然とシーラの額に口づけを落していた。


チュッと音がして固まるシーラ。

残念ながら顔は赤くなってはいない。


「あ、ごめん、つい……」


結婚前の……いや、まだ幼いシーラに何をしているんだと焦るウィリアム。

口に口づけを落したわけではないが、それでもシーラはまだ八歳。

流石にこれは衝撃が強すぎただろうかと不安になる。


「……これは、もしやの、ごほーび……?」

「えっ?」

「ウィリアムさま、これはごほーびですね!」


額を押さえ目を輝かせるシーラ。

ウィリアムは自分の後ろめたさと、シーラの喜びようを見て「うん、そうだよ、ご褒美だよ」と答えてしまう。


「わたくし、ウィリアム様からごほーびがいっぱい貰えるようにもっともっとがんばります!」


頬を高揚させふんすと力を入れるシーラに、自分のキスがご褒美になるのかと分かり口元が緩むウイリアム。


自分達は婚約者同士なのだ。額への口付けなど許容される範囲だろうと、ウィリアムが自分の理性を曲げ欲望に負けた瞬間だった。


「じゃあシーラには沢山のご褒美を上げないとね、いつも頑張っているものね」


そう言ってウィリアムはシーラの頭頂部に口づけを落す。

やっぱりお日様のような良い匂いがして癒される。癖になりそうだがやめられない。猫吸いをする人の気持ちが分かる。


「はい!わたくしはウィリアムさまにほめられるようなりっぱな婚約者になってみせます!」


どうやら孤軍奮闘だと思っていたウィリアムの考えは間違っていたようだ。

シーラの頭に何度も口づけを落しながら「一緒に頑張ろうね」と笑顔で答えたウィリアムなのだった。





ただしこの数年後、シーラがこの日の出来事を家族の前で暴露することを、ウィリアムはまだ知らない。


変態王子。


そう呼ばれる日までのカウントダウンは、この日から始まったのだった。



~おしまい~

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