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1.役立たず!

「すまない、大男オーオ。今後は、パーティを抜けてほしいんだ」


 冒険から帰った後、宿屋で、勇者に呼び出された俺は告げられた。


『……』


 俺は仁王立ちになり、黙っていた。


「口数が少なく、給料が少なくても文句を言わない大男は、荷物持ちとして役に立ってくれた。仲間が倒れたときには、特に助かった。最初のうちは、いつも盾になってくれたよな」


『……』


「けれども、最近は敵が強くなり、最大6人しかない枠を、大男で1人使うには厳しくなったんだ」


『……』



 パーティとして一緒に冒険できる人数は決まっており、それ以上だと冒険者としての特権を受けられなくなる。

 だから、余計な奴で枠を埋めたくないというのは、俺でも理解できた。


 俺には何も言えなかった。


 口下手だというのが最大の理由だが、何を言えば良いのだろう。

 どうかパーティに残してくれとお願いすればいいのだろうか。

 それとも、今後の生活はどうすればいいのかと、食い下がればいいのか。


「退職金としては、3ヵ月分の給料を用意しておいた。今日の夜は、大男の壮行会(仲間の門出を祝うための前向きな会)をしよう。近所の料理屋で、僕たちがごちそうをするから」


『……』


 俺は、黙ってうなずいた。

 勇者が泊まる部屋は、夕闇で薄暗くなっていた。


 俺たちは黙ったまま、近所の料理屋に歩いて行った。



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