98.接敵
「久々だなぁ。そうは思わねえかい?」
声がした方を見る。
瓦礫の上。
そこには、くつくつと笑うアグの姿があった。
彼の手には、キラキラと輝く宝石のようなものが浮かんでいる。
「ああ? これか? これはさっき言った精霊火薬だよ。綺麗だろ?」
アグは自慢げに鼻で笑う。
が、俺は彼の答えに反応することはない。
「アンナ、エイラ」
「分かっているわ」
「ええ。言いたいことは理解してます」
俺は《絶対零度》を発動する。
同時に、エイラが《ファイガ》を。アンナが剣を引き抜いた。
《絶対零度》はすさまじい速度で地面を凍てつかせ、アグに直進していく。
エイラが放った魔法と同時にアグに到達――刹那、アンナも彼に飛びつく。
間違いなく一撃は与えた――そう思ったのだが。
「きゃっ!?」
ガキンと金属音が響いたと同時に、剣を放ったアンナが弾かれる。
「アンナさん――ううっ!」
咄嗟にエイラが彼女をキャッチするが、衝撃に耐えきれず尻餅をついた。
「大丈夫か!?」
俺は駆け寄ろうとする。
だが。
「っ……!」
アンナたちに伸ばした手は、突如現れたアグの右手に掴まれる形で二人に届くことはなかった。
いつの間に……ここまで移動してきたんだ……?
距離は……かなりあったはずなのに。
一瞬で俺の隣まで……。
「たっく、甘いねぇ。せっかく相手してやるんだからもっと努力しなきゃなぁ?」
「アグ……!」
【夜分からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が夜分の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!




