95.始まり(イダト視点)
「これが精霊火薬だ。お前にもやるよ」
王都内、時計台の頂上にて。
アグはイダトに精霊火薬を手渡した。
現在は夕方であり、空はオレンジ色に染まっている。
「ああ。貰っておく」
イダトはこくりと頷き、精霊火薬を受け取った。
これから復讐が決行される。
自分にとって、運命の日とも言えよう。
自分は、リッターによって全てをめちゃくちゃにされた。
だから、自分はリッターの人生をめちゃくちゃにする権利もあるはずだ。
「それにしても綺麗な夕焼けだぜ。これから、もっと赤くなる」
時計台に座ったアグは、くつくつと笑いながら呟く。
「お前も楽しみだろ? なあ?」
「もちろんだ。絶対に……リッターは殺す」
イダトはぎゅっと精霊火薬を握り、唇を噛みしめた。
「いいねぇ、その顔だよ。一番美しい顔をしている」
そう言って、アグは立ち上がる。
「……リッターたちが来ているな。まさか感づいたか」
「リッターが来ているのか!? 本当に言っているのか!?」
彼の名前を聞いた瞬間、イダトは慌てた様子でアグの肩を揺さぶる。
今すぐに戦いたい。
今すぐに戦って、今すぐに殺してやりたい。
「まあ待て。まずは精霊火薬だ」
「……分かってるよ! たっく!」
イダトは悪態を吐きながら、地面を蹴る。
さっさと殺してやりたいのに。
「しかし……成長したようだなぁあいつも。そろそろ相手してやらねえとなぁ」
言いながら、アグは地面に手を置く。
「それじゃあ行こうぜイダトさんよぉ? 精霊火薬がどんなものか見せてやるよ」
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