86.何かがある
「しかし……どうして全く魔物の気配なんてなかったのに、ドレイクが現れたんだ?」
俺がぼそりと呟くと、アンナが首を傾げて唸る。
相変わらず疑問は拭えないでいた。
ここに来た当初は確かに魔物の気配なんてなかったのだ。
なのにどうして魔物が現れたのか。
考えれば考えるほど謎が増える。
「ここに何か……あるんでしょうね……たとえば」
そう言って、エイラが周囲を見る。
「魔力や魔物の気配を外に漏らさないために、結界を張ったり……だとか」
「結界? そんなことができるのか?」
確かに結界という理屈は理解できるが、それが実際に可能なものなのか。
俺はこの世界に来てかなり経っているが、決して魔法に詳しいわけではない。
だからエイラの言っていることをあまり分かっていない節があるのだけれど。
「可能です。といいますか、現状それしかありえません」
となると、ここには結界が張られていて外には魔物や魔力の気配を感じさせないようなっていた……と。
……ってことは、ここは間違いなく黒ということになる。
何者かが外にバレないように結界魔法を貼ったということなのだから、少なくとも何かはあるってことだ。
「しかし……結界魔法というものはかなり高度なものですから、扱える人間なんてあまりいないのですが……」
「人間じゃないってことでしょ。もう確実ね」
「ああ。ここには魔人族の何かがある。なんせ、わざわざ魔人族が丁重に守っているんだからな」
何もない場所に、結界を張ったりだとか魔物を仕掛けたりはしない。
少なくとも、ここに何かがあるのは確定してしまったわけだ。
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