82.動く
「ルドック洞窟……か。色々と情報は調べてみたが、特に気になるようなものは出てこなかったな」
俺たちは馬車に乗り込み、お互いが集めた情報を共有していた。
魔人族が逃げ隠れた場所なのだから、何か噂程度でもあるものかと思っていたのだが……そもそも洞窟の存在を知らない人間の方が多かった。
知っていたとしても、「ただの洞窟だろ?」といった答えしか返ってこない。
やはり、過去に起きた出来事は一般市民はあまり知らないようだった。
「まあ……Sランク冒険者の私たちが知らないのだから、他の人が知っているわけがないわよね」
「そうです……一応わたしたちはある程度の情報にはアクセスできますが、それでもですから……」
「ああ。この様子だと、本当に行ってみないと分からないかもな」
事前に情報が手に入れば、色々と動くことはできたが。
ともあれ、結果に悲観している暇はない。
俺たちは実際に動いて、結果を確かめるしかないのだ。
「しかしこの辺りはかなり平和なんだな」
俺は馬車から顔を出して、そんなことをぼやいた。
一応、今の場所としてはルドック洞窟付近にまでは到達している。
御者さんに聞いたところ、洞窟付近は魔物もあまり出ないようだった。
辺境だから人間もあまりいないし、落ち着くには良い場所だと。
まあ、わざわざ弱った魔人族が危険な場所に逃げたりはしないだろうから当然かもしれないが。
「そろそろ、かな」
アンナがぼそりと呟いて、剣を握る。
俺も息を少し吐いた後、ぐっと拳を握った。
「しっかり調査していこう。これも未来のためだ」
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