81.一緒に(イダト視点)
「どうして……どうして貴様はこうも無能なのだ!? 貴様のせいで私は大恥をかいたのだぞ!?」
リッターに追い返されたイダトは、アルタール伯爵に叱責されていた。
それも、実の親にゴミ虫を見るような目で睨まれながら。
あれほど自分のことを愛してくれていたはずのアルタールが、息子を呆れた目で見ている。
「いいか! 貴様にできる選択視はもう二つしかない! この家を出て行くか、リッターを連れ戻すかだ!」
「父上……僕はリッターよりも下なのですか? 僕が一番大切なんじゃないのですか?」
散々な言われようで、イダトも疲れてしまっていた。
最後にはすがるような思いでアルタールに語りかけるが、決して自分が望むようには言ってくれない。
「今一番大切なのはリッターだ! 貴様など我が家にはもう必要ない!」
「そう……ですか」
《剣聖》を持つ自分は、リッターよりも優れているはずだった。
リッターだけじゃない。
どれほど世界を見渡しても、自分が一番恵まれている自信だってあった。
だが……今はもう自分は特別じゃない。
誰のせいで?
……全部、リッターのせいだ。
あいつのせいで……自分が世界一だったはずなのに……!
「どうしてだよっ……! どうしてなんだよぉぉっ!!」
アルタール家から追い出されたイダトは、目の前にあった石を蹴り飛ばした。
次第に雨も降り始めてきて、子供連れの母親が急ぎ足で家に帰っていく。
イダトはその光景を見て、更にイライラが募っていく。
自分が愛した父上はリッターのせいで変わってしまった。
全部あいつのせいだ。全部あいつのせいで自分は家族を失ってしまったのだ。
「やっぱり殺すしかない……僕はどうにかしてあいつを殺さなければならない……!!」
これはただの喧嘩なんかじゃない。
復讐だ。
全てを奪ったあいつへの復讐なんだ。
「リッターァァァァァ!! 僕は絶対にお前を殺す!! 意地でも殺してやる!! 僕じゃなくて、お前が幸せになるだなんて……絶対に許さない……!!」
イダトは雨に濡れながら叫ぶ。
血が滲むほど唇を噛みしめて、死ぬ気で叫ぶ。
自分がどうなったってもうどうでもいい。
リッターさえ不幸になれば、ただそれだけでいい。
イダトは願い、拳を握る。
「よぉ。なんかいい声が聞こえたかと思ったら……さてはお前、復讐に燃えてるな?」
「……っなんだよ! 今僕は忙しいんだ!」
「おいおいおい、オレが暇人だっていいたいのか? せっかくお前に面白い提案があるってのによ」
そう言いながら、一人の男がにやりと笑う。
「オレはアグ。よかったら一緒に、王都を壊さないか?」
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