78.ナイフを貸してくれ
回復魔法を試すと言っても、やはり無傷では意味がない。
何か外傷がないと、試すに試せないからだ。
「アンナ。ちょっとナイフを貸してくれ」
「え……ナイフ? 確かにあるけれど……」
そう言って、アンナがナイフを手渡してくれる。
うん、見た感じ切れ味は良さそうだな。
この様子だと、あまり痛みはなさそうだ。
「っ……とはいえ痛いな……!」
「ちょ!? ええ!? なにやってるの!?」
「なんで突然腕を切ったんですか!? ち、血が!」
俺は今、自分の腕をナイフで切った。
といっても、思い切りではない。
軽く切り傷を付けただけだ。
「《治癒》を試してみたくてな。ほら、《ヒール》だと確かに治るが時間がかかったりしたからね」
「で、でも!」
「まあまあいいから。よし、《治癒》」
俺が呟くと、緑色の魔法陣が浮かび上がる。
切り傷がキラキラと輝いたかと思うと、すぐに治ってしまった。
一切傷を治した跡は残っていない。
「おお。すげえな」
「うわ……一瞬で治っちゃった……」
「これが《治癒》ですか……」
これはすごいな。
戦闘中でも、かなり有効な魔法になりそうだ。
ともあれ、実際最上位のものだから当然とも言えるが。
「全く……驚いたよ……心臓が持たないわ……」
「本当にびっくりしましたよ! でも、《治癒》はかなり良さそうですね」
「ははは。ごめんごめん」
そう言って、アンナにナイフを返す。
エイラはちらりと《治癒》の魔導書を確認する。
「どうやらこの魔法、腕を切り落としても再生できるようです。やっぱり最上位は段違いですね……」
「マジか……確かにすごいけど、さすがにそんな事態にはなってほしくないな……」
想像するだけで体が震える。
まあ、万が一の時があっても対応可能って考えたら助かるけれども。
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