75.服選びを始めよう
俺はアンナたちに手を引かれながら、街を歩いていた。
女性物しかないのかなと思っていたが、少し進んでいると男物が置いている店も出てきた。
しかしながら、案の定オシャレな雰囲気のものばかりである。
陰キャの俺にとっては少し……眩しすぎる。
前世では絶対に寄りつかなかった場所だ。
だって……前世、俺が行く店っていうのは地味な服屋ばかりだったし。
「こことかどう? 良い感じにオシャレじゃない?」
「いいですね! ここにしませんか!」
アンナとエイラが立ち止まって、俺に聞いてくる。
指さした方向には、これまたオシャレな店があった。
中をちらりと覗いてみると、俺とは全く雰囲気の違う良い感じの男性店員とお客さんが楽しそうに会話をしている。
……恐ろしい。
だが、ここで怯んでいたら俺は前世と同じ人生を歩んでしまう気がする。
ここは……覚悟をするべきだ。
「ここにしよう! 俺は準備万端だ!」
ぐっと拳を握り、アンナたちに伝える。
「お! 気合い入ってるね!」
「わたしも気合い入れてリッター様の服を見ますね!」
そう言って、俺たちは店の中に入ることにした。
やはり普通の服屋とは雰囲気が違うような気がする。
「いらっしゃいませ! 今日はどんな服をお探しでしょうか!」
突然店員さんが声をかけてきたので、俺は体を震わせる。
え……なんで話しかけてくるの?
服屋に入って声かけられたの初めてなんだけど。
俺は恐怖で思い切り陰キャモードに突入してしまい、何も言えなくなってしまう。
「えっとね! 私たちで彼に良い感じの服を選んであげよう……って話になっているんだけど……」
アンナが色々と店員さんと話している間に、俺はエイラの背中に隠れる。
「リッター様! どうして隠れるのです?」
「陰のモードに入っちゃって……」
「つまりお恥ずかしいと?」
「……人見知り発揮してる」
「ふふふ……リッター様も可愛いところがありますねぇ……」
そう言って、エイラがこちらにウィンクをしてくる。
「せっかくなので、手助けしてあげますか」
エイラはアンナの方に駆け寄り、何かを伝えた。
すると、アンナが店員さんに会釈をしたあとこちらに戻ってきた。
「エイラのお願いでせっかくだから自分たちで選ぶって店員さんに伝えたよ! 店員さんに手伝って貰うっていうのでも良かったと思うんだけど……」
「まあまあいいじゃないですか! たまには!」
言いながら、エイラがこちらにウィンクをする。
ありがとうエイラ……お前は神だよ……。
俺は彼女に感謝をしなければならないな。
「それじゃあ選ぼっか! リッターの服!」
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