73.なんでだよ!
「うわ~服がたくさんある」
俺が手を引かれた先は、かわいい系の服屋だった。
若い女の子が好きそうな服が色々と並んでいる。
もちろん前世日本であった服とは色々と違うところもあるが、可愛さで言えばどっちも同じくらいだと思う。
「男なんて誰もいねえ……」
周囲を見渡してみると、アンナと同い年くらいの女の子しかいない。
まさに場違いである。
俺は若干の気まずさを覚えながら、二人の背中に隠れる。
「どんな服があるのかな~! 新作あるかな!」
「しっんさく! しっんさく!」
「服に新作とかいう概念あるのか……?」
俺が怯えながら尋ねると、アンナが驚いたような表情を見せる。
「え……!? そこから!?」
「マジですかリッター様!? まことですか!?」
そんな顔しないでくれ。
俺は服とか興味なさすぎて、色々と分からないことがあるんだ。
前世では服なんて同じものを三着くらい買って、それを着回していただけだし。
「まあいいや! リッターには可愛いか可愛くないか判断してもらうだけだし!」
「男の人の意見は貴重ですからね! ふんふん!」
テンション高いなぁ……。
俺は変わらず、二人の背中に隠れながら服を選んでいる様子を見ていた。
「これとかどうかな? ひらひら!」
「水色ってのがいいですね! 綺麗な感じです! こっちもいいですよ!」
「ピンクかぁ! でも私に似合うかなぁ?」
何やら、服の色で悩んでいるようだった。
俺はこんなのもあるんだなぁと思いながら眺めていたのだが。
「リッターは何色がいいと思う?」
「……お、俺!? 俺に聞くのか!?」
まさか俺に聞かれるとは思わなくて驚いてしまう。
「当たり前じゃん! 男の人の意見が聞きたいって!」
「なのですよ!」
マジか……。
でも俺なんて何も分からないしな。
女の子の気持ちなんて学んだ経験ないし。
「ぴ、ピンク?」
俺が恐る恐る指を差すと、二人はうむむと唸る。
「なんか違うから水色にしよっと!」
「いいですね! それが良いと私も思っていました!」
「なんで俺に聞いたんだよ!? 決まってんじゃん!?」
「ふふふ。そういうものなのだよ」
「リッター少年! 理解するのです!」
「…………」
そう、なのか……。
【夜分からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が夜分の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!




