71.付き合ってもらいたいこと
「ギルドにはアルタール伯爵から直々に帰還命令が出ていたから、イダトを追い返したらどうなるかと思ったけども……どうやら何もなかったようだな」
数日後、俺は少し平和になったギルドにて受付嬢さんにそんな会話をしていた。
イダトが来る際には、アルタール伯爵からギルドに命令が入っていた。
受付嬢さんも慌てていたから、相当マジなやつだったのだと思う。
「そうですね。イダト様を追い返してからアルタール伯爵からの連絡もなくなりましたので恐らく、諦めてくれたのでしょう……いやー……大変でした……」
受付嬢さんは苦笑しながら、頭をかく。
「ともあれ、何かあったら言ってくれ。これは俺の責任でもあるからさ」
「もちろんです! 何かあったら、全てリッター様が悪いってことにしておきますね!」
「ははは……全責任を押しつけられるのは辛いなぁ……」
まあ、俺が悪いのには変わりないので仕方がない。
俺は息を吐いた後、受付嬢さんに礼を言ってアンナたちのもとに戻る。
「受付嬢さんと楽しそうにしてたね……もしかして浮気?」
「許せませんね……しかも三股……!」
「お前らは一体何を言っているんだ?」
一体何がどうなって俺が浮気しているってことになるんだよ。
っていうか浮気ってなんだよ。意味が分からないよ。
俺が困っていると、アンナたちは楽しそうに笑う。
「冗談だよ。でも何事もなくてよかったよ。どうやらイダトたちは諦めてくれたようだね」
「ですです! 安心しましたよ!」
「俺も安心した。これでまだ何かあったら……ちょっと困ってた」
アルタール伯爵のことだから、色々としてくるだろうとは思っていたが、諦めてくれたようでよかったよ。
まあ……あいつらの性格の悪さは知っているから、懲りずにまだやってくる可能性もあるけれど。
だが、同時に彼らはプライドの高さも異次元だから、そういう意味ではもう安心なのかもしれない。
「さーて、リッターは無事過去の呪縛から解放されたし、ちょっと付き合ってもらいたいことがあるんだけどいいかな?」
そう言って、アンナが俺の顔を覗き込んでくる。
付き合ってもらいたいことか。
「なんだ? また武器とか見るのか?」
「違う違う。もしかして……私ってば、ずっと冒険者業のことを考えているって思ってる?」
「違うの?」
「違います~! ね、エイラ!」
「そうですよ! わたしたちも乙女なのですから!」
乙女なのか……。
乙女が浮気とか三股とかいう単語を使うのか……?
まあそんな意地悪な思考は捨ててあげよう。
「リッターには少しプライベートな買い物に付き合ってもらいたくてさ」
「なのです! みなまで言わずに付いてくるのです!」
「ははぁ……まあ変なことじゃないなら別に構わないさ」
【夜分からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が夜分の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!




