7.プレゼント
「話は聞いていますよ! リッターさんは魔法を無詠唱で発動できるとか!」
「うん。でも俺が扱える魔法は全部弱いけどね」
「ドラゴンを倒したって聞きましたが……?」
「たまたまだよ」
俺が苦笑しながら首を横に振ると、エイラがむむむと唸る。
「む~……アンナさん。やっぱりこの人は天才ですよ」
「無自覚ってところが天才っぽさを引き立てているね……」
いやいや、無自覚ではないと思うんだけどな。
だって実際俺はこのスキルで追放されたのだから、世間からの評価は分かりきっている。
まあ彼女たちが褒めてくれるのは嬉しいんだけど。
「ところで、二人は何者なんだ? さっき絡んできた男が一声で逃げていくって相当だろ」
それはそれで、さっきの現象が気になって仕方がない。
二人は一体何者なんだ?
「えっとね、私たちはSランク冒険者って立ち位置なの。まあ~このギルドに所属している冒険者では一番偉いって感じかな」
「マジで……? そんなすごい人たちが俺のことを勧誘しているの?」
「そうそう! 自信持ってくれていいんだからね~!」
「ですよ! リッター様はすごいのです!」
あはは、なんか照れるな。
でもすごいのは俺じゃなくて彼女たちだ。
なんだか恐縮してしまう。
「で、パーティに入ってくれる?」
アンナが顔をぐっと寄せてきて聞いてくる。
正直、俺に断る理由なんてない。
彼女が提案してくれた条件は魅力的だし、俺がしようとしていた目的に合致する。
それに……二人が可愛いし。
前世自宅警備員だった俺にとっては、とてもいい話だ。
「もちろん参加させてくれ。でも……あまり期待しないでくれよ?」
俺が恐縮しながら言うと、二人はくすくすと笑う。
「大丈夫大丈夫! 私たち信じてるから!」
「信じてますよ!」
「……恥ずかしいな」
だけど仲間ができて内心は嬉しい。
転生しても苦労ばっかだったけど、少しは報われるといいな。
「それじゃあ! 早速参加してくれたお礼をしないとね! エイラ!」
「もちろんです! ええと……」
アンナが視線をエイラに向けると、彼女はバッグの中に手を入れる。
ガサゴソと捜し物をしているようだ。
「あ、ありました! これプレゼントです!」
「おおお! 魔導書じゃないか! 本当にくれるのか?」
「いいよ! なんなら、これからもっとあげちゃう!」
「いくらでもプレゼントしますよ!」
マジか……! 俺なんかのために魔導書をくれるなんて……!
家族は俺に何も与えてくれなかったからな。
「これ、早速試していい?」
早く魔導書を読んで、記憶してみたい。
俺のスキルがどれほど可能性があるのか試してみたい。
「いいよ! 私も君の能力が見てみたいし!」
「ギルドに頼んで訓練場を借りましょうか! ちょっと行ってきますね!」
そう言って、エイラが受付嬢さんに交渉をしに行った。
しかし楽しみだ。前世は勉強なんかしてこなかったけど、この世界だと色々と楽しいものだな。
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