68.侮辱しやがって
「防御しただけなのに相手の剣を破壊するなんて……やっぱりこの剣はぶっ壊れてるな……」
俺が困惑していると、イダトは愕然とした様子でこちらを見てくる。
「ど、どういうことだよ……? 僕の剣が……当たっただけで砕け散るって……」
説明しろと言われても……できないなぁ。
この剣自体がよく分からないものだし。
賢者クラスが扱っていたもの、としか聞いていない。
「どうなってんだよ! おい!」
そう言って、イダトが俺の胸ぐらを掴んでくる。
何度も何度も力強く揺さぶってきた。
「お前みたいなマヌケがこんなことできるわけがない……! お前みたいな雑魚ができるわけがない……! さては……僕に何かしたな!?」
「いや、俺は何も」
「な、なんだよそれ……! 僕を……侮辱しやがって……! 絶対に許さない……お前だけは絶対に殺す……!」
「だから――っ」
俺が言おうとした刹那、イダトが何かを手にしたのが見えた。
なんだ――ナイフだ。
今、イダトはナイフを取り出したっ……!
脳はそう認識し危機感を覚えるが、あまりにも近距離だったため体が反応できていない。
このままでは――刺される!
「相手が油断している時に攻撃するだなんて、あまりにも卑怯よ。最低ね」
「アンナ……!」
ナイフを持っているイダトの右腕を、アンナが掴んでいた。
今の一瞬で、アンナが反応したのか!?
「ふふふ……念のためにバフを発動していたのです! どうやら、間違いではなかったようですね!」
「そうそう。エイラにバフを付与してもらって、何かあった時にでも反応できるようにしていたの」
おいおいマジか!
さすがはSランクパーティだ!
俺なんて何もできなかったのに、彼女たちは数手先の未来も読んでいたんだ!
「あぐっ……痛いから……離してくれ……頼む……!」
イダトが涙を流しながら、アンナに手を離すよう懇願していた。
「それじゃ、ナイフは回収するわね」
アンナはイダトからナイフを取り上げる。
そして、すぐにイダトを解放してやった。
「なんで……! どうして……! 僕がぁ……!」
「無様ね。あなたは負けたのよ」
「そうです。あなたの負けです」
二人はイダトに対し、冷たくいいのける。
ただただイダトは悔しそうに拳を握るのみで、何も言わない。
ここまで女の子に言われたら、俺は立ち直れないな。
彼女たちが味方でよかったとつくづく思う。
「なぁ……なぁリッター……! なぁ……!?」
突然俺の肩を掴み、息切れした様子でイダトが叫んでくる。
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