67.久々
「殺してやるよリッター! お前のせいで僕は父上からの信用を失ったんだ!」
イダトは剣を構え、俺に向かって吠える。
「かかってこい。久々だなぁ……兄弟喧嘩は……!」
俺はにやりと笑い、拳をぎゅっと握った。
相手は《剣聖》。
俺より格上で、俺より当たりのスキルを持っている。
だが――今は勝つしかない。
「おやぁ!? リッターさぁ、お前武器持ってねえじゃん!」
そう言って、イダトはケラケラと笑う。
どうやら俺が武器を身につけていないのが面白かったらしい。
「そんなんで俺に勝とうとしているわけ? 可哀想なやつだなぁ!」
「へへ……実はあるんだな」
俺は手を掲げ、
「《聖者の剣》」
そう口ずさむと、魔法陣が生成される。
魔法陣に腕を突っ込み、そこから剣を取り出した。
「は……? なんだよそれ? そんな魔法……見たことない……」
「これは《聖者の剣》って魔法でな、国王様から貰ったんだよ」
俺はあえて、国王様という単語を出す。
あまり関係ない人物の名前を出すのは良くないが、今は仕方がない。
「国王!? お前が!? 嘘だろ嘘……っっ……僕をまた馬鹿にしているのか!?」
予想通り、イダトには効いたらしい。
彼は顔を真っ赤にして、俺に怒鳴ってきている。
卑怯な作戦だが、相手の動揺を誘うことには成功したらしい。
「っち……ムカつくぜ! お前なんか、僕の手にかかれば一瞬だ……!」
イダトは叫び、こちらに走ってくる。
だが――遅い。
俺が成長したのだろうか分からないが、今はイダトの動きが読める。
「なっ!?」
俺はイダトの攻撃を回避する。
だが、イダトも反応することはできた。
すぐに俺の方に向いて、剣をこちらに向ける。
俺も反応し、剣で攻撃を防ごうとした――刹那のことだった。
「……うわ。マジか」
「は……?」
俺の剣にイダトの剣が当たった瞬間、砕け散ったのだ。
俺の剣ではなく、《剣聖》を付与されたイダトの剣が。
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