64.は?
「い、イダト様が来ました!」
「……本当に来やがったか」
俺は嘆息しながら、席から立ち上がる。
本当に会いたくないが、迷惑をこれ以上かけるわけにもいかない。
イダトがどこにいるのか、俺は視界を巡らせる。
「リッターはどこだ!? リッターはどこにいる!?」
「おいおい」
入り口近くにイダトの姿が見えた。
必死な形相で冒険者の胸ぐらを掴み、暴言を吐き捨てている。
一体どうしてイダトはそんなことをしているんだ。
性格が終わっているとは思っていたが、以前より更に磨きがかかっているんじゃないか?
「リ、リッター?」
「大丈夫そうですか……?」
「任せてくれ。これは俺の責任だ」
そう言って、イダトの方に歩く。
「……リッター!!」
イダトと俺で目が合った。
途端に彼は俺の方に走ってくる。
「っ」
勢い任せに胸ぐらを掴んできて、何度も力を込めて揺さぶってくる。
「お前のせいでこっちは……! お前のせいで……!」
どうするのかと思っていると、イダトが拳を構えた。
「お前のような無能の烙印が押された屑のせいで! こっちの面目は丸潰れだ!」
刹那、俺の頬に鈍い痛みが走る。
「リッター!?」
「ちょ、ちょっと!?」
「ははは! 一発くれてやったぞ!」
どうやら俺はイダトに殴られてしまったらしい。
まさか、再会してそうそう殴られるとは思わなかった。
「イダト、今更何の用だ。多少は知ってはいるが、お前からも聞いておきたい」
「……お前だと?」
不満を覚えたのか、イダトが睨んでくる。
「なんだ」
「……っ」
だが、こちらも応戦するとイダトは不服そうに舌打ちをつく。
以前まではこちらも頷くしかなかったが、今はもうアルタール家とは関係ないのだ。
これくらいのことはしたっても構わないだろう。
「……父上からお前を連れ戻すよう指示があった! 感謝するがいい! お前のような無能をもう一度家族にしてやってもいいと言っているんだ!」
まあ、そうだよな。
俺はため息を吐きながら頭をかく。
「俺は帰らない。別にもう、アルタール家には興味ないんだ」
「……は?」
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