63.可能なら来ないで欲しい
「まあ……食事はタダにしてくれたから、妥協点ってところか」
イダトがここに来るまで、半永久的にギルドで待機することになったからか、食事はタダでしてくれても構わないと言われた。
色々と文句は言ったが、ともあれ受付嬢さんには感謝せねばならない。
「飯は美味しいが、やっぱイダトが来るってなると面倒くさいが勝つなぁ」
彼は本当に性根が腐っている。
俺が言うのもなんだが、相当人間性には問題があると思う。
なんたってイダトなのだ。
もうイダトという存在がダメなのだ。
「でも大変だね。確かアルタール伯爵ってリッターを追放した大馬鹿者なんでしょ?」
アンナが食事をする手を止め、心配そうに見てくる。
「大馬鹿者かどうかは分からないけれど、あまり良い人……ではないかな」
今でも覚えている。
俺の意識がはっきりした時、あの人は赤子の俺を外れだと言った。
あんなの、俺じゃなければ心が折れていたと思う。
「どうして今更なんだよ……」
俺がそう呟くと、エイラが語る。
「リッター様はこちらに来てから、数多くの実績を積み上げてきました。恐らく、その話がアルタール伯爵にも行ったのだと思います」
「俺の実績って……そんな大層なことじゃないんだけどなぁ」
そう言うと、二人が全力で首を振ってきた。
「いーや! 相当だからね!」
「謙遜しないでください! マジヤバですから!」
「そう言ってくれるのは二人だけだよ」
「他の人も思っているから!」
「そうです!」
「はは……そうかなぁ」
頭をかきながら、飲み物に口をつける。
「ところで、イダトが来たらどうしようか。二人は近くで見ているか?」
あいつと喧嘩はしたくないけど、多分イダトの方からふっかけてくると思う。
可能なら関係のないアンナたちを巻き込みたくはない。
「私たちも一緒にイダトっていうやつに一言言ってやるわ」
「安心してください! 仲間を見捨てたりなんかはしません!」
「お前ら……!」
少し感動してしまった。
俺のために面倒なこともしてやってもいいと言ってくれているのだ。
このような人達に、前世では出会ったことがなかったので驚いてしまう。
「分かった。二人にも応戦してもらうよ」
そう言って、俺は時計を見る。
もう夜22時を回っていた。
この時間になっても、相変わらずギルドは騒がしい。
まあ、賑やかだから多少は気持ちも楽だけれど。
「さすがに……来ないよな、今日」
俺は冷や汗をかきながら、一人ごちる。
しかし、現実はそう上手くはいかないらしい。
「リッター様!」
受付嬢さんが慌てて、俺の方に駆け寄ってきたのだ。
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