6.未来の賢者ではないんだけどな……
「うー……! やっと王都に着いたぁ~!」
「ありがとうアンナ。お金出してもらっちゃって」
王都に着いた俺は、アンナにペコペコと頭を下げていた。
やっぱり女の子にお金を出してもらっちゃうなんて、申し訳ない気持ちが大きい。
「いいのいいの! それじゃ早速仲間に紹介したいから、ギルドまでついてきて!」
「うん。分かったよ」
彼女が手招きをしてくるので、俺は背中を追いかけることにした。
それにしても王都ってのは本当に建物も大きいし人間も多くいる。
田舎出身だから、人混みだけで酔ってしまいそうだ。
「ここここ! ここがギルドだよ!」
「おお~……ここがギルドか」
やはり他の建物に比例して、ギルドもかなり大きなものだ。
俺は半ば圧倒されていると、彼女がにこりと笑う。
「先入ってて! 私、仲間呼んでくるから!」
「分かった。それじゃあ先入ってる」
俺はそう言って、ギルドの門をくぐった。
すげ~……筋肉質な冒険者だけじゃなくて可愛い女の子もいる。
これが冒険者ギルドってやつか。
少し感動しつつも、座るための席を探していたのだが。
「なんだぁお前。新人か?」
「え……? はいそうですけど」
何か急に男が俺に話しかけてきた。
片手にはジョッキを持っていて、顔も赤い。
もしかして酔っ払いか?
「新人はギルドの席に座っちゃダメなんだぜ? お前分かってやってんのか?」
「そうなんですか? ここ、別に誰も座ってなかったのでいいと思っていたのですが」
「はぁ~……お前さ? あんま舐めたこと言ってるとどうなるか分かってんの?」
「どうなるんです?」
俺が尋ねようとした刹那。
男は拳を握り、こちらに向かって放ってきた。
「ちょっと! あなた何やってるの!」
ふと、アンナの声が響く。
男は手を止めて、アンナの方を見た。
「あ、アンナさん……!?」
急に男は強気な態度から一瞬で萎縮して、拳を沈めた。
な、なんだなんだ?
「その人、私の仲間なんだけど」
「アンナさんの!? そんな馬鹿な!?」
「あなたより何倍も才能のある人間だよ。いいから謝って」
そう言うと、男は慌てて俺に頭を下げてきた。
「すみませんでしたぁぁぁ! それでは!」
男が泣きそうな目をして走り去っていく。
……アンナさんの一声でああなるって、彼女は一体何者なんだろう。
でも助かったのには変わりない。感謝しないとな。
「ごめんね。冒険者って気が強い人が多いんだよ」
「いや、助かったよ。ありがとう」
俺が感謝を伝えると、アンナが嬉しそうに笑う。
「あなたが未来の賢者であるリッター様ですか? わたしはエイラです!」
「えっと……俺は賢者とかじゃないけど……。俺はリッター、君がアンナの仲間?」
「ですです! 魔法使いをやっています!」
なんていうか、とても可愛い女の子だなぁ。
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