58.一日ぶっ倒れていたらしい
「にしても、俺が倒れたのって昼間だったよな……? なんか今明るくないか?」
ギルドに向かう途中、俺はふと気になった。
宮廷に到着したのが昼間。そこから倒れたとなると、夜だったりすると思うのだが。
「丸一日寝てたのよ……」
「だから死んだと思ったんですよ……」
「マジか……反動ヤバいな」
どうやら俺は丸一日気絶してしまっていたらしい。
さすがにこればかりは気をつけないといけないな。
魔法の覚えすぎは辞めた方がいいだろう。
あの時は最上位のものだったと言うのもあるだろうが、今後は魔法を覚えるのは一日『二個』までとしよう。
この制限を守れば、恐らくぶっ倒れることはない。
「ともあれ、ギルドに行って簡単な依頼を受けてみよう。訓練場でもいいけど、やっぱり魔物で試してみたい」
◆
「おかえりなさい! 皆様お元気ですか!」
「元気だよ。受付嬢さんもなんだか元気そうじゃないか」
「えへへ……そうなんですよ……!」
俺がそう返すと、受付嬢さんはニヤニヤと笑う。
何か良いことでもあったのだろうか。
「実はですね……! 私ってアンナさんたちの担当じゃないですか……!」
「そうなのか?」
「ええ。この受付嬢さんにはお世話になってるわ」
「もう! リッター様は知らなかったのですか! 悲しいです!」
ツンツンと俺の頬を受付嬢さんが突いてくる。
……本当にテンションが高いな。
俺は苦笑しながら、軽く回避する。
「えへへ。アンナさんたちが色々と頑張ってくださったおかげでですね、担当している私の評価が大きく上がりまして……! 給料がめちゃくちゃ上がったんですよ!」
「なるほどね。だから機嫌がいいと」
「そうです! いやー、感謝してますよ皆さんにはー! ツンツン!」
「分かった。だから俺の頬は突かないでくれ」
「す、すみません……! テンションが上がっちゃって! えへへ……!」
全く、仕方がないな。
評価が上がったってことは、俺たちへの支援もしやすくなった可能性もあるし。
「ところで、今日は簡単な依頼を受けたくて来たんだ。新しい魔法を試すのに良い感じのやつあるかな?」
「もちろんありますよ! ガマガエルの討伐はいかがでしょう!」
「カエルか……さすがに小さいから試すには……」
俺が悩んでいると、エイラが肩を叩いてくる。
「その点は安心してください! クソデカいですよあれ!」
「え、デカいのか?」
「気持ち悪いくらいデカいです!」
デカいカエルか……気持ち悪いなそれ。
まあ討伐難易度も低いし、試すにはちょうどいいか。
「それじゃあそれでお願いします」
「もちろんです! 承認しましたので、いつでもどうぞ!」
デカいカエルって点が少し気持ち悪いけど、まあ経験だ経験。
よっし、魔法を試してみるか。




