56.三属性の最上位魔法の記憶
「ヤバすぎませんか!?」
「ほ、本当に覚えることができたの!?」
二人が興奮しながら俺に詰め寄ってくる。
待て待て。近い近い。
「静かにしてください」
「あ……すみません……」
「失礼しました……」
たまたま通りかかったであろう職員に二人は注意されていた。
まあ……あんだけ騒いだら怒られるよな。
俺もぺこりと頭を下げた後、静かに声を出す。
「本当に覚えることができた。多分、いつだって発動することはできる」
「あのあの……! それじゃあこれも……!」
そう言って、エイラが先程まで持っていた魔導書を手渡してきた。
「これは《獄炎》という魔法で、炎属性の最上位魔法です……!」
「なるほどな。ちょっと覚えてみる」
俺は魔導書をめくり、内容を記憶していく。
最後のページを閲覧した頃には、もう《獄炎》を手に入れることができていた。
――――――――――――――――――――――
《獄炎》を魔術書から記憶しました。
それに伴い《ファイア》を消去しました。
あなたが使用できるショートカットコマンド一覧
・《ヒール》
・《イカズチ》
・《スラッシュ》
・《聖者の剣》
・《絶対零度》
・《獄炎》NEW!
――――――――――――――――――――――
「覚えることができた。これも使用可能だ」
「うおおお……! すごいです……! まるで賢者みたい……!」
エイラは目を輝かせながら、俺の手を握ってくる。
「それじゃあこれも覚えれたりするの? せっかくだから炎氷雷三属性の全てを最上位にしてみたいなって」
「これは……《雷電》って魔法か。やってみる」
「《雷電》も半端ないですよ……!? すごいなぁ……!」
俺は《雷電》の魔導書を受け取り、ページをめくっていく。
しかし……ちょっと頭が痛くなってきた。
どうしてだろうか。
――――――――――――――――――――――
《雷電》を魔術書から記憶しました。
それに伴い《イカズチ》を消去しました。
あなたが使用できるショートカットコマンド一覧
・《ヒール》
・《スラッシュ》
・《聖者の剣》
・《絶対零度》
・《獄炎》
・《雷電》NEW!
――――――――――――――――――――――
「よし。記憶完了だ」
「本当!? さすがに驚いちゃうわね……」
「やっぱりリッター様は賢者様ですよ! 間違いありません!」
「ははは……そんなに褒めるなって」
でも、これで俺の三大魔法はかなり強化することができた。
これから戦いのレベルも上がってくるだろうが、どうにか付いていくことができるだろう。
「よし、もっと魔法を記憶しよう……う……」
瞬間、急に目眩がした。
頭が……痛い……。
「ヤバい……ダメだ……休ませてく……れ……」
「リッター!?」
「大丈夫ですか!?」
「多分……だ、大丈夫……だ……」
しかし、自分の体を支えることができず、俺はそのまま倒れてしまった。




