54.宮廷図書館
「……眠い」
「大丈夫そう……?」
「相変わらず眠そうですね……」
結局俺は眠ることができなかった。
それもそうである。女の子が隣で寝ている状況で爆睡できる男なんていないだろう。
いや……それは俺がこじらせているだけか……?
ないない。そうだと信じたい。
世の男たちは俺みたいに貧弱なはずだ。
「大丈夫大丈夫。多少眠いだけで問題ないよ」
「それならいいけど……じゃあ行こっか!」
「宮廷図書館へレッツゴーです! ヒャッホー!」
やけにテンションが高いエイラが拳を突き上げる。
「レッツゴー! ひゃっはー!」
「……テンション高いわね」
「深夜テンションだからな」
「やっぱり眠れてないじゃない」
「おかげさまで色々と元気だから大丈夫」
アンナにツッコまれながらも、俺はにやりと笑う。
宮廷図書館って一体どんな場所だろうか。
前世では何度か図書館にいったが、宮廷っていうくらいだから規模が違うんだろうなぁ。
なんて思いながら、俺たちは宮廷へと歩き始めた。
門まで行くと、相変わらず目つきの悪い兵士が居座っていた。
「すみません」
アンナが恐る恐る話しかけると、兵士は突然姿勢を正して敬礼をした。
「アンナ様たちだな! 国王様から許可はでている! 宮廷には自由に出入りしてくれて構わない!」
そう言って兵士が道を空けてくれた。
「ははぁ……すげえな」
「すごいですね……! なんだか興奮しちゃいます!」
「私もちょっとびっくりしちゃった」
俺たちは目を輝かせながら、宮廷の中へと入る。
相変わらず中は広く、何も考えずに歩いていたら道に迷ってしまいそうだ。
「ええと……宮廷図書館は……あった!」
アンナが一つの扉の前で止まる。
近くには『図書館』と書かれた標識が立っていた。
「ここかぁ……」
そんなことを言いながら、俺は扉を開く。
すると、まるでファンタジー世界に出てくるような巨大な図書館の内部が見えた。
いや、ファンタジー世界なのには間違いないんだけど。
「うおおお! こんな図書館見たことありません! 一階も二階も本棚だらけですよ!」
「しっ! 図書館では静かに! で、でも……これは驚いちゃうわね」
エイラは大興奮といった様子である。
ただ俺も半ば興奮している部分があった。
こんなにも数多くの図書があるなら、魔導書だってごろごろあるはずだ。
「早速魔導書を読みあさろうぜ。俺もワクワクしてきた」
「そうね。探しましょう」
「小声でいえーい……!」
なんかエイラのキャラ変わっていないか?




