53.熟睡はできないだろうなぁ
「ご報告ありがとうございます! しかし魔人族の動きが分からないですね……一体何が目的なのか……」
受付嬢さんに報告に来た俺たちであったが、案の定受付嬢さんも頭を悩ましていた。
やはり、魔人族の目的が未知数だ。
そりゃ一応アグ本人から目的は聞いているが、しかし信じ切れていない部分がある。
「だよねぇ。私たちで探るしかないけど、少し苦労しそうだわ」
「ですね。頑張るしかありません」
二人が俺を見て、こくりと頷く。
俺も頷き、受付嬢さんを見た。
「むむむ……他の魔人族からも情報を聞き出すことができればいいのですが……今のところ一人にしか会っていないからなぁ……むむむ……」
受付嬢さんはずっと頭を悩ませている状態だった。
だがすぐに俺たちの方を見て、笑顔を浮かべる。
「失礼しました! 国王様には伝えておきますので、引き続きアンナさんたちは探ってみてください! よろしくお願いいたします!」
「任せて!」
「もちろんです!」
「頑張ります」
そう言って、俺たちはギルドの外に出ることにした。
もう外は暗くなってしまっている。
「ううっ……今日は疲れたなぁ」
「色々あったからな。まあ明日のことを考えると、少しは元気が出る」
「ですです! 少し疲れましたが、明日リッターがもっと強くなるって思うとドキドキして眠れないかもしれません!」
「それは確かにだね! でもでも、エイラはちゃんと寝ようね!?」
「が、頑張ります!」
「ははは。なんで俺じゃなくてお前たちが眠れなくなってるんだよ」
俺はケラケラと笑いながら、夜道を歩く。
でも待てよ。
これからアンナたちの家に行くんだよな。
もれなく一緒に寝ることになるんだよな。
「これ……俺が眠れないかもな……」
俺がため息を吐くと、二人がじっと見てくる。
「どうしたの?」
「どうかしました?」
「いーや。なんでもないよ」
まあいつかは慣れるだろう。
どれくらい経てば俺は二人と一緒に寝て熟睡できるようになるんだろうなぁ……。




