52.そこなら
「よしっ。それじゃあ私たちはそろそろ帰ろうかな」
「およ! もう帰るのかぁ~寂しいけどまた来てね! 特に!」
そう言って、ルビーがこちらに詰め寄ってくる。
ぐっと顔を寄せて来て、にんまりと笑って見せた。
「また剣を見せてね……! あれ、見てるだけですっごく興奮しちゃうから……じゅるり……思い出すだけで体が熱くなってきた……」
「お、おう。ほどほどにな」
「ほどほどってなに!? さてはさては……リッターあたしに引いてるな?」
「引いてないよ。ヤバいやつだなって思ってるだけ」
「それを引いているっていうの! というか、『ヤバいやつ』ってわざわざ言葉にしなくてもいいじゃん!」
「いや~……」
「もういい! とりまばいばーい! さよならの投げキッスもしとくね! ちゅっ!」
「また来るわねルビーちゃん!」
「ばいばいです!」
俺たちはキラキラ武具屋から出ることにした。
しっかし騒がしい人だったなぁ。
「うう……疲れた! ひとまずギルドに報告だけして、その後はどうしようかな」
「外も暗いですし、休んでもいいかもですね」
「だねぇ。明日はとりあえず魔導書を見に行こうかな……あ、でもさすがに店で得られるものでは限界が出てきたかも……」
「店以外に何かあるのか?」
俺が尋ねると、アンナがこくりと頷く。
「国王様から宮廷の出入りを許可してもらったじゃない。実は宮廷の中には関係者しか入れない国家運営の図書館があってね。そこなら……」
「なんだそれ。絶対やべえ魔導書があるじゃないか」
関係者しか入れない図書館があっただなんて知らなかった。
しかしそこなら店以上に強力な魔法がありそうだ。
それに俺のスキルは見るだけで魔法を記憶することができる。
店ではマナー的に決してしなかった流し読みで記憶していくという荒技が使えるかもしれない。
「明日行ってみましょうか。期待しているわよ、リッター!」
「絶対最強じゃないですか! 楽しみです!」
「俺も楽しみになってきた! いやーどんな魔法を覚えようかな」
俺たちはドキドキワクワクしながら、魔法のことを考えていた。
ひとまずギルドが先だが、やることがあるっていうのはいいことだ。
「よーし! それじゃあ報告しに行こう!」
「いえあ!」
「だな!」
そう言って、俺たちはギルドへと歩み始めた。
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