50.依頼達成
「やっぱりこの武具屋は色々と目立つな……」
俺たちは王都へと帰還し、武具屋の前まで来ていた。
しかし……本当にこの武具屋はキラキラしている。
俺はあまり記憶力がいいわけではなくて、一回来たくらいでは道なんて覚えることができないのだが。
この武具屋はキラキラしすぎて、迷うなんて概念すら悠久の彼方に飛んで行くレベル。
「ただいま! 戻ったよー!」
「戻りました!」
二人が嬉々として中へと入っていくのを、俺は後ろから付いていく。
少し待っていると、奥からバタバタと音を立ててルビーが飛び出してきた。
「おうおう! 戻ったねー! もしかしてもしかしてミスリル持ってきてくれたの!?」
「もちろんだ。ほら、ミスリル」
ルビーに手渡すと、彼女は目を輝かせて喜んだ。
「うおおおおお!! ミスリルだ-!! この輝き、艶、堅さ! エロい! すっごく扇情的!」
「お前は一体何を言っているんだ……大丈夫か?」
「そうは思わないかね男子!?」
「鉱石はちょっと……専門外ですかね……」
「なんだ専門外かぁ!? 性癖の幅が狭いねぇ訓練したまえ!」
「……アンナ。彼女って興奮したらこんな感じになるのか?」
「えっと……変わった子でしょ?」
変わった子というか、ヤバい人というか。
まさか鉱石がエロいか否かを問われる日が来るとは思いもしなかった。
生きていたら色々とあるもんなんだなぁ。
「うひゅ~……ミスリル最高だった……えへへ……よっし! すっきりした!」
「すっきりしたか。よかった」
やけに彼女の顔が艶々している。
なんなんだこの人は。
「ああ! そうそう! それじゃあ、お礼の品物ね!」
そう言って、ルビーが武器をアンナたちに渡す。
これで俺たちもかなりの強化が入ったはずだ。
「ルビーちゃんありがとう!」
「ありがとうございます!」
「いいのだよいいのだよ! こちらこそありがとうね!」
ルビーも満足そうである。
とりあえず依頼は完了ってことで良さそうだな。
「あ、そういえばリッターの武器はどうする?」
「そうでしたそうでした! あ……でもリッター様って見た感じ武器を魔法で出せますよね?」
「え!? 魔法で武器を出せるの!? すげぇ!!」
ああ……確かそんな話をしていたっけ。
ただ実際問題、超強い武器をいつでも取り出せる魔法を手に入れてしまったんだよな。
武器はとりあえずはいいってことにしようか。
「ねえねえ! その魔法見せてよ! あたし超気になるー!」
「……そんなに見たいのか。分かった分かった」
せっかくなので、ルビーに俺の武器を見せることにした。




