48.二度目
「えっとドロップ品は……」
アンナはゴーレムが倒れた場所に向かい、ドロップ品を漁っていた。
できればここでミスリルも出てほしいんだけど。
「あ、これかも」
そう言って、アンナが何かに手を伸ばす。
瞬間のことだった。
「え――」
「よぉ。アンナさんだっけか?」
「お前……!」
アンナが伸ばした手を、どこからともなく現れた魔人族――アグが握っていた。
俺は咄嗟にアグに接近し、アンナから手を離させる。
「おお怖い怖い。オレは別に挨拶がしたかっただけなんだけどなぁ」
「やっぱり魔人族関連だったか」
「魔人族関連だぁ? なんだお前ら、何かオレのことを探ってたのか?」
言いながらアグは面倒くさそうに頭をかく。
しかし本当に魔人族が現れるとは。
やっぱり色々と動いてそうだな。
「まあいい。お前らの目的はどうせミスリルだろ。自分のは回収したから、残りはお前らにやるよ」
アグは近くにドロップしていたミスリルを拾い、こちらに投げてきた。
「あわっ」
エイラが慌ててキャッチをする。
が、俺はすぐに魔法を放つ準備をした。
「なんでミスリルなんかお前が回収してんだよ。目的はなんだ」
「言うわけないだろ。ただ、大方お前らが考えている通りだよ。ククク……怖いか?」
「《ファイア》」
「おっと危ない。リッターさんよぉ、簡単にオレを倒せるだなんて考えるんじゃないぜ?」
「考えてねえよ。俺はまだまだ実力不足だ」
「それならいい。雑魚は雑魚らしく、大人しくしているのが吉だぜ?」
こいつは本当に嫌な喋り方をする。
だけど、それ以上に自分に自信を持っていないとできない口調だ。
恐らく彼は本当に実力者なのだろう。
今の俺が真面目に戦って勝てるかどうかは未知数だ。
「せっかくなら戦ってやってもいいが、ちょっと時期が早いな。お前たちをさっさと殺しちまったら、楽しみが減っちまう」
そう言って、アグはくつくつと笑う。
「また会おう。時期が来たら、戦ってやるよ」
アグは静かに闇の中に体を沈める。
……行ってしまったか。
「あいつの目的、分からないわ」
アンナが消えたアグを見ながらぼそりと呟く。
「復讐だとか、更に上に行くだとか言っていましたけれど……なんだか分からなくなってきますね」
「ああ。何を考えているのか全く分からない」
俺は大きく嘆息した後、くるりと踵を返す。
「とりあえず帰還しよう。ここにずっといても危ないだけだしな」
ひとまず、王都へ戻ることにした。




