47.剣すげえ
「嘘でしょ……? あの巨体をあんなにもすんなり……!」
「やばすぎますぅ! 興奮しちゃいますよぉぉ!!」
おいおいマジか。
明らかに硬い岩の塊を一撃で斬り落としてしまった。
国王様から貰ったこの魔法、どうなってやがんだ。
いや……確か賢者クラスの人物が扱っていた代物だと言っていた記憶がある。
つまりこれって……かなりヤバい代物なんじゃないだろうか。
「って考えている暇なんてねえ!」
俺は体勢を立て直し、ゴーレムを見据える。
腕を斬り落としたわけだが、ゴーレムは近くに大量にある岩を吸収して腕を修復していた。
とどのつまり、腕を一発斬り落とす程度じゃ討伐できないってわけだ。
「なら、一気にぶっ壊すしかないな」
俺は剣を構え、息を整える。
大丈夫だ。今の俺ならある程度はどうにかなるはずだ。
「やっちゃって! リッター!」
「頼みましたよ!」
「ははは……! 任せてくれ!」
二人にこんなにも期待されているんだ。
俺がこんなところで失敗するわけにはいかない。
「ふぅ……よし」
ゴーレムがこちらに向かって攻撃を仕掛けてくる。
俺は軽くいなして、相手の足下にスライディング。
どうにかゴーレムのふところに入ることができた。
すかさず剣を両足に向かって振るう。
「うおっと」
ゴーレムはガタンと音を鳴らしながら、その場に倒れる。
だが足を失ったところでゴーレムは焦る様子は見せない。
すぐに回復を試みつつ、両手で俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。
「防御……!」
剣を構え、攻撃を防ごうとする――瞬間。
ゴーレムの手と剣が振れた刹那、巨大な岩の塊が瓦解した。
「おいおいマジか」
剣とゴーレムの手が当たった瞬間に瓦礫と化したのだ。
たった触れただけ。
それだけでゴーレムの手が無に還ったのだ。
「この剣……やべえな」
俺は感嘆しながらも、すぐに思考を切り替える。
すごいすごいだなんて言っている余裕はない。
今やるべきことはゴーレムをぶっ飛ばすことだ。
「チャンスよ!」
「やっちゃってください!」
「おう!」
俺は二人の声に返事をしながら、ゴーレムに向かって一閃。
腕と足を失ったゴーレムの胴体に向かって大きな一撃を与えた。
結果として、ゴーレムは自らの修復が間に合うことなく完全に崩壊した。
瓦礫の山となったゴーレムを一瞥した後、俺は大きく息を吐く。
「討伐完了……! やった!」
ぐっと拳を突き上げると、二人が急ぎ足でこちらに駆け寄ってきた。
「さすがだよリッター! かっこよかったよ!」
「好きです! もう好きです!」
「照るな……ってかエイラは好き好き簡単に言うなよな」
俺は苦笑しながらも、勝利を味わうことにした。




