4.トカゲを倒した
「き、君は……?」
「俺はリッターです! とりあえず逃げてください!」
少女の前に出て、俺は魔物を見据える。
相変わらずこのトカゲは大きくてデカい。
俺が記憶している魔法でどうにかなればいいのだが。
「でも相手は……!?」
「《ファイア》ッッ!」
俺が手を掲げると、一瞬にして魔法が放たれる。
秒数として0.1秒程度だろうか。
真っ直ぐ放たれた炎は相手を包み込み、メラメラと燃やす。
だが、あまり効果は見られないようだった。
恐らく炎属性があまり相性がよくないのだろう。
「《ブリザド》ならどうだっ!」
俺が無詠唱で魔法を放つ。
すると、どうやら氷属性には耐性がなかったらしく明らかにダメージを喰らっていた。
弱点が分かったならやることは決まっている。
それは《ブリザド》を連続で放つことだ。
馬鹿の一つ覚えみたいだが、今の俺は生憎とこれしか魔法を知らない。
格好は悪いが討伐できたらそれでいい。
「はぁぁぁッッッ!」
連続で相手に攻撃をしていると、次第に力を失い目の前のトカゲは倒れた。
よしっ。討伐は完了だ。
案外俺の能力も実戦では使えるらしい。
まあ見た目からして大きなトカゲ相手だから、そこまですごくはないかもしれないが。
俺は手を払って少女に近づく。
「大丈夫?」
「え、ええ……!? 君! 相手はドラゴンだよ!?」
「ドラゴン……? あれってトカゲじゃなかったのか?」
「トカゲじゃないよ!? っていうか、君は魔法を無詠唱で発動できるの!?」
どうやら俺が討伐したのはトカゲではなくドラゴンらしい。
ドラゴンってあれだよな。ゲームとかで出てくるトカゲみたいなやつだよな?
俺あんまファンタジー系のゲームしないから知らないんだよな。
ソシャゲばっかやってたし。
そんなに強い魔物だったのだろうか。
それよりも、この少女は俺が無詠唱で魔法を扱えていることに気がついてくれたらしい。
ふふふ……やっぱりすごいのかな。
「こ、こほん。私はアンナ。王都の冒険者をしているよ」
「俺はリッターです。ついさっき家を追い出された家なき子」
それにしても王都の冒険者か。
ということは、かなり都会っ子ってことだな。
俺は田舎育ちだから、あんまり変なところを出さないようにしないと。
「君について、私色々と聞きたいかも。助けてくれたお礼をさせてくれない? あと敬語じゃなくていいよ。私より強そうだし」
敬語じゃなくていいだなんて……なんて優しい女の子なんだ。
俺なんて前世では女子には敬語でペコペコしていたのに。
「いやいやお礼なんて……あ、俺今アルタール伯爵領外の町を目指しているんだ。よければ案内してくれないかな?」
そう言うと、彼女はにっこりと笑って頷く。
「いいよ。せっかくなら私が活動している王都で少し話がしたいかも。馬車代は私が出すから来てくれない?」
王都か。王都なら伯爵も手が届かないだろうし、ちょうどいいかもしれない。
俺はこくりと頷き、彼女と一緒に王都まで向かうことにした。
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