表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】外れスキル《ショートカットコマンド》で異世界最強〜実家を追放されたけど、俺だけスキルの真価を理解しているので新天地で成り上がる〜  作者: 夜分長文
第一部四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/111

37.温泉

「それじゃあ私たちはここでお別れね」


 中に入った俺たちは料金を支払い、後はもう準備をするだけとなった。


 そんな中アンナはにやりと笑って俺のことを見てくる。


「一緒に入れなくて寂しい?」


「さ、寂しくない。なんで急にからかうようなことを言うんだよ!」


「可愛いからかな」


「ふふふ……確かに可愛いですよね。一緒にお風呂入れなくて残念ですか~?」


「エイラまで……! 別に残念じゃない! やめてくれ!」


 そう言うと、二人は満足そうに笑う。


 全く……からかうのは勘弁してほしい。


 恥ずかしいじゃないか。


「それじゃあね。温泉楽しんで」


「ばいばーいです!」


「ああ。そっちもな」


 適当に言った後、俺はのれんをくぐった。


 ◆


 温泉っていうのは、本当に心が安らぐものだ。


 湯に浸かっている時だけは、全てを許してしまうって言うか……。


「だけど……違うんだよなぁ……」


 俺は温泉の中で大きく息を吐く。


 もう心臓はバクバクで安らぐなんて段階ではなかった。


「どうして……どうしてアンナたちの声がこんなにも聞こえるんだよ」


 実際問題。


 現状、アンナたちの声が男湯なのにめちゃくちゃ響いてきていた。


 もちろんアンナたちが入っている女湯は隣である。


 ちょっとした壁を乗り越えたらそこはもう女湯だ。


 だけどだ。


 実際距離はだいぶ離れている。


 そりゃちょっと声を出したらどちらにも筒抜け……だなんて設計はしないだろう。


「女湯私たちしかいないね!」


「貸し切りです! テンション上がっちゃいますね!」


 どうやら貸し切り状態らしく、それでテンションが上がっているようだった。


 だが……男湯も貸し切り状態である。


 だからそれ自体は問題ないのだが……。


「なんか……あれだよな……ダメだよな……」


 なんだか声を聞いているだけでも、ダメなことをしているようで心が持たない。


 俺は大きく息を吐く。


「ははは! 体洗ってあげるよ!」


「いいんですか! それじゃあわたしも洗ってあげます!」


「……二人は一体なにをしているんだ」


 体の洗いっこを始めたらしい。


 ダメダメダメ!


 俺は一体どうして耳を傾けているんだ!


 慌てて耳を塞ぐ。


 だけど……耳を塞いでも普通に聞こえてくる。


 俺は諦めて、温泉の壁に背中を預けた。


「可愛い! こちょこちょこちょこちょ!」


「きゃ! やめてくださいよ! 恥ずかしいじゃないですか!」


 俺の方が恥ずかしい。


 二人は一体何をしているんだ……。


 俺は顔が赤くなるのを感じながら、息を吐いたあと湯の中に顔を埋めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ