33.国王様に会おう
「うおおお……やっぱすげえな」
宮廷へと続く道を歩いているのだが、やはり普通の道とは違う。
想像以上に人々が行き交っているし、立ち並んでいる建物も豪華だ。
やっぱり国王様が住まう場所までの道はすごいな。
「普段こんなところ歩かないから……少し緊張するね」
「ですね……普段から歩いている人ってどういうメンタルをしているのでしょうか……」
「そりゃ大層すごいんだろ。なんたって、普段から宮廷に出入りしているわけなんだからな」
そんな会話をしていると、気がつく頃には大きな門の前まで来ていた。
兵士たちが鋭い目つきで警備をしている。
「すみません。レッドル公爵からのご紹介で国王様に情報を提供することになっておりまして」
アンナが伝えると、兵士は静かに頷く。
「お前たちがアンナ一行だな。連絡は来ている。さあ入ってくれ、私が案内しよう」
「ありがとうございます」
一礼した後、俺たちは宮廷の中に入る。
「めちゃくちゃ兵士の皆さん怖かったですね……!」
「ああ……! 歴戦の猛者って感じがした……!」
俺とエイラは顔を見合わせて、少し興奮気味に話をする。
やはり宮廷に仕えている兵士はひと味違うな。
「もう。兵士の方が目の前にいるのだから、ちょっと落ち着いてね」
「も、もちろんです!」
「はいはい」
俺たちは適当に首肯した後、宮廷の中を進み続ける。
やっぱり宮廷の中は豪華だ。
高そうな装飾やら家具やら美術品やら。
まるで美術館の中に入ったかのような気分である。
こんな場所、現実では海外くらいにしかなさそうだよな。
俺が入って良い場所ではない。
「こちらが王の間だ。確認を取るから少し待ってくれ」
そう言って、兵士が大きな扉をノックする。
中に入っていき、どうやら話をしているようだった。
「緊張するな……」
「めちゃくちゃします……! 体ガクブルですよ……!」
「もう、緊張する必要はないよ……って言いたいところなんだけど……実は私も……」
全員が緊張していた。
そりゃ誰も経験したことがないからだろう。
特に俺なんて前世自宅警備員だったからな。
テレビや動画越しですごい人を見る機会はあったが、実際にあったことはあるわけがない。
特に国家のトップにご挨拶することになるだなんて、前世では絶対にありえなかったことである。
「大丈夫だそうだ。お前たち、入ってきてくれ」
「は、はい!」
「分かりました!」
「よし……入るか……」
兵士が入ってくるよう指示を出してきたので、俺たちは固唾を呑んで中に入る。
「待っておった。我がエルビダ王国国王である。お主たちがリッター一行だな?」
待て待て待て。
なんで国王様も最初に俺の名前が出てくるんだよ。




